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祖母は亡くなったが、その顔はまるで寝ているかのよう。
しかし、そんな祖母が寝ているのは大きな棺の中である。
平沢先生に死亡診断書を書いてもらって、亡くなったことを知らせると、さすがにお父さんもお母さんも職場から帰ってきた。
そこからは葬儀屋さんに連絡したり、親戚に連絡したりと慌ただしいままに夜を迎えた。
ひと段落したころには、夜の二十一時を過ぎていた。
「お腹、空いたわね」
そんなお母さんの言葉に、私たちはようやく空腹を思い出し、夕飯を食べていないことに気づく。
私はお祖母ちゃんの急変もあり、お昼も食べていないままだった。
「簡単になにか作ろうか?」
私がそう声を掛ければ、お母さんは苦笑して言う。
「あんたが一番大変だったでしょう? ごめんね、最後あんたに任せちゃって。ご飯、炊けてるし、簡単にチャーハンにでもしようか」
そうして、お母さんが台所に立ち、遅くなったが夕飯の準備を始める。
そうして立ち上る、ご飯の香りを感じながら、私はダイニングの椅子に座ってぼんやりしていた。
そんなに待ってはいなかったのだろう。
ほんの少しの間に、目の前にはチャーハンとインスタントのワカメのスープが出ている。
「さ、食べちゃいましょう。明日も、また忙しいんだから」
そうして、食べたチャーハンはお祖母ちゃんが作ってくれていたのと同じ味で、でももうここには一緒に食べてくれるお祖母ちゃんはいない。 ぽろっと涙がこぼれてくる。
私はようやく、今日落ち着いて泣くことが出来た。
あぁ、いなくなってしまったんだって、そう思うと止まらなくて。
私は泣きながら、ご飯を食べてお風呂に入り、そのまま祖母の棺の横にごろ寝座布団を敷く。
今日は、久しぶりにお祖母ちゃんと一緒に寝よう。
そんな行動をする私を、お父さんも、お母さんも見守りつつ、特になにかを言うことは無かった。
翌日、自治会にもお知らせすると昔から付き合いのあるご近所さんが焼香に訪れ、やはり忙しくなる。
夕方には、遠くに住む叔母家族もやってきて、この日はお祖母ちゃんの昔の話なんかをしつつ、出前で夕食を済ませた。
翌々日、もう祖母も歳だったので友人なども数えるほどにしか残っておらず、遠方や、来ることが困難な方も多いので葬儀は家族葬で、通夜や告別式と分けることもせずに初七日までまとめてお経をあげて、そのあとは火葬場へ。
いい天気の、午後。
お骨になったお祖母ちゃんはやっぱり小さくて、そんな遺骨を抱えて自宅へと帰ってきた。
祭壇に置くと、やっぱり少し泣けてきた。
少しお茶をすると、叔母家族も帰って行った。
しかし、そんな祖母が寝ているのは大きな棺の中である。
平沢先生に死亡診断書を書いてもらって、亡くなったことを知らせると、さすがにお父さんもお母さんも職場から帰ってきた。
そこからは葬儀屋さんに連絡したり、親戚に連絡したりと慌ただしいままに夜を迎えた。
ひと段落したころには、夜の二十一時を過ぎていた。
「お腹、空いたわね」
そんなお母さんの言葉に、私たちはようやく空腹を思い出し、夕飯を食べていないことに気づく。
私はお祖母ちゃんの急変もあり、お昼も食べていないままだった。
「簡単になにか作ろうか?」
私がそう声を掛ければ、お母さんは苦笑して言う。
「あんたが一番大変だったでしょう? ごめんね、最後あんたに任せちゃって。ご飯、炊けてるし、簡単にチャーハンにでもしようか」
そうして、お母さんが台所に立ち、遅くなったが夕飯の準備を始める。
そうして立ち上る、ご飯の香りを感じながら、私はダイニングの椅子に座ってぼんやりしていた。
そんなに待ってはいなかったのだろう。
ほんの少しの間に、目の前にはチャーハンとインスタントのワカメのスープが出ている。
「さ、食べちゃいましょう。明日も、また忙しいんだから」
そうして、食べたチャーハンはお祖母ちゃんが作ってくれていたのと同じ味で、でももうここには一緒に食べてくれるお祖母ちゃんはいない。 ぽろっと涙がこぼれてくる。
私はようやく、今日落ち着いて泣くことが出来た。
あぁ、いなくなってしまったんだって、そう思うと止まらなくて。
私は泣きながら、ご飯を食べてお風呂に入り、そのまま祖母の棺の横にごろ寝座布団を敷く。
今日は、久しぶりにお祖母ちゃんと一緒に寝よう。
そんな行動をする私を、お父さんも、お母さんも見守りつつ、特になにかを言うことは無かった。
翌日、自治会にもお知らせすると昔から付き合いのあるご近所さんが焼香に訪れ、やはり忙しくなる。
夕方には、遠くに住む叔母家族もやってきて、この日はお祖母ちゃんの昔の話なんかをしつつ、出前で夕食を済ませた。
翌々日、もう祖母も歳だったので友人なども数えるほどにしか残っておらず、遠方や、来ることが困難な方も多いので葬儀は家族葬で、通夜や告別式と分けることもせずに初七日までまとめてお経をあげて、そのあとは火葬場へ。
いい天気の、午後。
お骨になったお祖母ちゃんはやっぱり小さくて、そんな遺骨を抱えて自宅へと帰ってきた。
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少しお茶をすると、叔母家族も帰って行った。
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