階段落ちたら異世界に落ちてました!

織原深雪

文字の大きさ
109 / 110
番外編

族長会議後日談sideマール

しおりを挟む
久しぶりの族長会議で王宮に行くと元気なまどかに出会えた。


やはり当代サールーン国王のエドアルド陛下の番だったまどかは陛下の腕に抱っこされて出迎えてくれた。



さすが竜人族。
番命の彼らは得た番を生涯慈しみ愛おしみ守る。


陛下の目にはまどかへの愛情がたっぷりと見て取れる。


甘い、甘いわ。

砂吐きそうなレベルの甘さダダ漏れよ。

竜人族の番はみんな大変ね・・・


他の獣人族はここまでではないのだ。
番は確かに唯一無二。
しかしほかの種族は意外と自由に恋愛するし、番以外とも子を残すことはある。
特に唯一無二の番と出会う前ならという前提でだが。
だからここまでの溺愛はなかなか無いのだ。


でも、竜人族のこの溺愛っぷりを見ると私も番に出会いたいものだと思う。


私はまだ唯一無二の番を得ていない。

まだ産まれていないのか、それとも先に亡くなってしまったか。
今居る羊人族の中には私の番は居なかった。
大体同じ種族の中に番が居るものなのに。


ウィルとショーンともここに来るまでに話したが、2人は意味深にこう言った。


「そろそろマールも出会えるさ。」
「案外すぐ近くにいるぞ。種族の違いを無視して感じてみろ?」

そう2人は言ったので、私も今回の族長会議に参加する別の族長が私の番の可能性があると何となく察して気にしてみることにした。

ちなみにウィルとショーンには同じ種族の番が居るし、可愛い子どもたちもいる。



しかし、気にしてみたもののサッパリと分からず。
更には久しぶりのまどかとの会話を楽しんでいて番探しはすっかり頭の外に飛んでいた。


食べ物をつまみながらお酒を楽しんでいた所に


「マール、ちょっといいか?」


そう声をかけてきたのは鳥人族長のハーバイト。


「あら?ハーバイトなぁに?」



この時いつになく幸せそうな陛下とまどかを見て安心からかお酒が進み珍しく酔っていた私。


トローンとしつつニコッと微笑めば


「クッ、これはヤバイだろ・・・。マールちょっとこっち来い!」

グイッと引かれて連れて行かれたのはバルコニー。

私達の後ろ姿は族長達と王宮の竜人族とまどかにバッチリと、かつニヤニヤと見守られていた。



「なぁ、マール。今俺といて何か感じないか?」


そうおもむろに聞いてくるハーバイト。
ハーバイトと出会ったのは私が族長に就任してからなのでホントにごく最近。


羊人族は世代交代したばかりで私はまだまだ新米族長だ。


それに比べハーバイトはもう長い事族長をしているベテランである。


しかし、何かを感じないかとは何だ?
かなり漠然と聞かれて小首を傾げてしまう。


「あー、もう!!この鈍感娘!」


ハーバイトは髪をかきあげて、くしゃくしゃとした。
そして唐突に抱きしめられた。


抱きしめられてフワッと香るのは夏の風の空気。


そして抱きしめられた瞬間ストンと落ちてきたこの嵌る感じは。


「あぁ、やっと見つけた俺の番。」


そう言ってハーバイトは頬を私の頭にすり寄せている。


この無かったところに嵌った感覚。
これが番なのか。

今までこれ無しで居られたなんてすごい・・・


嵌った途端それは無くてはならない唯一無二の者だと分かる。

番を得るとはこうなのか。


「ハーバイト、待たせてゴメンね。」

そう言うとぎゅーっと抱きしめ返す。


ハーバイトは450歳。
私は150歳。

大体みんな100歳超える頃に番を探し始める。
寿命が長い程探す相手が見つからない時間が長いのは拷問であろう。


「あぁ、確かに長かったな。だが出会えた。それで充分さ。これからはいつでも会えるしな。」

そう言って私の髪を撫でるハーバイトの表情は甘い。


「会いに来てくれるの?」

私は地上の領土の族長。そこをなかなか離れられない。


「俺は鳥人族だ。空を統べるが、割と自由が効く種族だ。心配するな、しばらく羊人族の領土で過ごす。それにそろそろ世代交代して良い時期だからな。交代すればずっと一緒に居られるさ。」


そう微笑んで言うハーバイトに急にドキドキとしてきた。


照れから顔が赤くなってきてるのが恥ずかしくてハーバイトの胸に顔を押し付けて止まる。


「マール、共に過ごしてくれるか?」
髪を撫でながら言うハーバイトに

慌ててて顔を上げて
「もちろんよ!」

そう答えた。



そうして微笑みあってキスを交わす。


私の番は鳥人族だったんだ。
どおりで領土で見つからなかったわけだ。


しかしウィルとショーンは何か知っているようだった。


「ねぇ、ウィルとショーンは何か知ってる風だったんだけど。」

そう聞くと


「あぁ、ウィルとショーンには相談していた。マールにもう相手がいるのか?とか何が好きそうだとかな。」

そう照れくさそうに話すハーバイトは私よりずっと大人なのに可愛い。


「マール、これを。」


そう言って差し出された箱の中には


「可愛い・・・」


四つ葉のクローバーと鳥の羽根を模したリングとネックレスのセット。

「ありがとう!」

嬉しくて見上げたその先は愛しさを隠さない番の瞳。


「マール、一緒に幸せになろう。」


「えぇ、一緒に」


再びキスを交わして微笑みあって。


番を得て私はその幸運をかみしめた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

処理中です...