キラキラヒカル

羽澄

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 福井県鯖江市はメガネ産業が盛んで、私が働いているのもその中の小さな下請け会社の一つだ。
 下請け会社ではあるけど、新商品の提案や開発も手掛けていこうという会社の方針で、とりあえず今回担当になったのがヒロさんと私だった。


 お互い顔と名前はなんとかわかるけど、というレベルの私達のために先輩が顔合わせの飲み会をセッティングしてくれたのだけど、こんな訳であえなくポシャり、結局ヒロさんとは会社の会議室で初対面となった。


「初めまして。この前はすみませんでした。」
「いえいえ、とんでもない。トラブル対応、大変でしたね。」
と普通の挨拶から始まり、週に三回、三時間のミーティング実施が決まった。


「お疲れ様です。サキちゃん、早いねぇ。」
「あ、ヒロさん。お疲れ様です。三十分前までここで別の会議してたんですよ。で、そのままここでサボってましたぁ。」
「あぁ、なるほど。息抜き、大事だよね。ちなみに僕もさっきまでそこで課長と缶コーヒー飲みながら、子供の頃の武勇伝競争してたよ。」

 笑いながらヒロさんは言うけど、ちゃんと仕事の話をしていた事を私は知っている。そして手元には、今日のミーティングで必要になるかもしれない(ほとんどが使われずに終わるのだが)資料が何種類もある事も。

「じゃあ、始めようか。」
「はい。よろしくお願いします。」 
「えーっと、前回のミーティングでは対象者を二十~三十代カップルに絞ってみようという事になったよね。」
「はい。いわゆる"ラブラブ"な二人です。」
「じゃあ今日は、具体的な"モノ"を決めていこうか。サキちゃんだったら、どんなモノが欲しい?」
「そうですねぇ。王道はペアモノですよね。色違いとかの。もしくは、二つ併せると一つのモノになるとか。」
「なるほど。そっかぁ。あ、そういえばメガネとは関係ないんだけど、そういう感じの製品を集めた資料が、どこかにあったような…。」
そう言ってヒロさんは、手元の資料の束をゴソゴソしだした。

 あぁ、やっぱりね。多分ヒロさんは、私を育てようとしてくれている。それが会社側から言われているかどうかはわからないけど、少なくとも今の私はヒロさんの厚意で"企画する事"を覚えていっている。

「うーん。どれも何となく知ってるというか、だよねー、みたいな感じだねぇ。」
「そうですね。後追いになりますし。」
「んー、じゃあさ、せめてご当地って言うか、鯖江感を出そうと思うと、どうなる?」
「鯖江感って!ヒロさん、面白い言葉使いますね。まぁ、メガネを出すか、ヒロさんの言ってる鯖江感をこの企画で作り出すか、ですかね。」
「お!作り出す‼︎いいねぇ。一発、作り出してみますか。」
「いやいや、ヒロさん。そんな簡単に言わないで下さいよ。それ、もの凄く大変なヤツじゃないですか。」
「まぁ、そうかもしれないけど、とりあえずその方向で考えていこうよ。もちろん、他の可能性も探りながら、随時方向転換してさ。」
 

 あ、もしかして私、とんでもない方向に舵を切ってしまったのかも…。
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