廻って異世界

フォウ

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ゲーム世界に転生?

第2話 ヒロインとの邂逅

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「うん?
 生きてる?」

 頬を撫でる風を感じて、目を開く。
 どうやら生き延びたらしい。
 或いは人生3周目の可能性も否定は出来ないのだが……。

「ハル?
 やっと目が覚めたのね!」

 いまいちはっきりしない状況に、戸惑っていたのだが、視界の隅から伸びてきた腕に思いっきり抱き着かれる。
 ……柔らかい。
 じゃなくて!

「ちょっと待って!
 離れてくれ!」

 抱き着いてきた誰かを突き放す。
 訳の分からない状況だけに、相手は知らない誰かだろう。
 そんな人物に抱き着かれても安心より不安が募る。

「何よ?
 心配したのに……。
 わかったわよ」

 当然、相手は文句を返すが、それでも離れて向き合ってくれたので敵意はなさそうで……。
 えらく見覚えがあるような……。
 転生のパターンで、前世の記憶が戻る前の記憶が残っているヤツか?
 いや、違う。
 良く見知った人物だが、何かが決定的に違う印象。
 強いて言うなら、2次元のゲームキャラを3次元に……。

「もしかして、雛菊《ひなぎく》?
 妖狐の……」
「何を当たり前のことを言ってるのよ?
 寝惚けているの?」

 思い当たったのは、アプリゲーム『夢幻千年京』のキャラクターの1人であり、俺が初めてゲットしたSSRキャラの大妖狐『雛菊』。
 彼女を人間にするとこんな感じだろうと訊ねてみれば、当たり前のことだと呆れられた。

「それじゃあここは、夢幻千年京の世界ってこと?」

 ゲームの世界かと訊ねてみたのだが、

「何を言ってるの?
 ここはカントウヘイヤのトウキョウでしょ?
 ハルが自分で名付けた地名じゃないの……。
 寝惚けているって言うよりも、都落ちのショックで記憶が飛んでいるのかしら?」

 雛菊は、心配したかのように頬に手を当てる。
 まあ、ゲームの世界の住人に、ゲームの世界の名前を訊ねても、答えは返ってこないわけだ。
 しかし、出てきた単語が正しいならば、ゲームの世界との証明になるはずだ。
 都落ちと言う情報もゲームのオープニングに合致する。

「そんなことはないよ。
 東関《あずませき》の先に造る新しい桃源郷で関桃平野《かんとうへいや》、その首都となる桃 京《とうきょう》だろ!」
「あら、覚えていたのね?
 じゃあ、寝惚けていただけかしら?」

 試しにこのゲームの設定を口にすると、正解だと微笑む。
 つまり、俺はアプリゲーム『夢幻千年京』の主人公に転生したってことかな?
 主人公の初期パートナーは、座敷童子《ざしきわらし》の『紗智《さち》』のはずだけど、そこはゲームとの差ってことだろうか?
 ひとまず、寝惚けていたことにして、話を進めるかな。

「酷いな。
 けど、今は何をするんだっけ?」
「本当に寝惚けているのね?
 まず、この地の妖精達を従えて、配下を増やす計画でしょ?
 しっかりしなさいよ?」
「ごめんって、じゃあ早速行くのか?」

 ……やっぱり、ゲームのオープニングの所だ。
 『夢幻千年京』は、妖怪と主従の契りを結ぶ能力を持つ主人公が、その能力を危険視した政敵に嵌められて、都を守る結界の外へ新しい街を造る任務を受ける所がスタート。
 都の東へ赴いた主人公は、味方妖怪達の力を借りて、敵対妖怪を従属させて、土地を手に入れ、建物を設置、街を発展させていくゲームだ。

「ええ。
 もういい加減、野宿にはうんざりだもの」
「じゃあ龍穴を見付けて、仲間を増やさないと……」

 龍穴と言うエネルギーの塊に呪符を捧げると、様々な美少女妖怪が顕れ仲間になる。
 顕れる妖怪はランダムだが、龍穴毎に属性が決まっているので、部隊編成はある程度調整が出来た。
 ぶっちゃけ、良くある課金用システムだけど……。

「何を言ってるの?
 確かに龍穴はエネルギーの塊だけど、そこからどうやったら仲間が増えるのよ?」
「え?
 呪符を捧げて、妖怪を召喚するんじゃ……」
「本当に寝惚けているようね?
 ハルの夢の中じゃ、そんな奇天烈な方法でも妖怪を召喚出来たかもしれないけどね?
 現実じゃあり得ないわよ?」

 まさか、現実世界になった影響でガチャガチャシステムがなくなった?

「じゃあどうやって妖怪を仲間にするんだよ?」
「当然屈服させるしかないじゃない」

 確かにストーリーを進めると仲間になるキャラもいたけど。
 ……確か、雛菊は生産特化系のキャラだったはず。
 戦闘力皆無の男と戦闘力は最下級妖怪の雛菊で、バリバリの戦闘妖怪を倒せと?
 ……いきなり詰んでない?

「とにかく、もうすぐ2人で決めた桃京の候補地。
 気合いを入れなさいよ!」

 俺とは対照的に、気合い充分な様子の雛菊。
 ……実に不安である。
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