19 / 139
ゲーム世界に転生?
第19話 冬の日の訪れ
しおりを挟む
「頭おかしいのですよ。
なにですのよ、これは。
何で、こんな寒くなるですのよ!」
口をガチガチと震わせながら、文句を言う紅葉。
山間部出身で、ここより寒いところに住んでたはずなのにと、不思議に思いながらも窓越しの空を見上げる。
その空は灰色の雲に覆われ、白い欠片を撒き散らす。
「……確かに寒いな。
マジで洒落にならない」
雛菊が出掛けて数日後から、時折ちらつくようになった雪は、ここ数日でうっすら積もるようになった。
こんな小さな小屋では、寒さを凌ぐにも限度があり、龍脈エネルギーで設置してもらった暖炉の前で、殆どの日をくっついて過ごしていた。
幸い、妖精達には寒さを感じるような性質はないらしく、平然と森へ赴けるので、薬草の代わりに食用の山菜を集めるようにしている。
でないと、餓死か凍死の未来が見えているのだ。
ガチャ!
パチパチと言う薪の爆ぜる音を除けば、寒さに愚痴る紅葉の声くらいしかなかった空間に、昨日振りの扉を開く音が響く。
妖精達がやって来るのは、いつも夕方なので、この時間の来客はないはずだ。
あるとすれば、やっと返ってきた従姉くらいのはずで、
「……何をやってるのよ?」
呆れた様子の雛菊が、扉の前に立っていた。
「寒いので扉を早く閉めてほしいのです!
こんな寒くなるとは聞いていないのです!」
そんな雛菊へ毛布にくるまったままで、猛抗議をする紅葉。
そんなに動かれると俺が寒いんだが!
「何で龍脈エネルギーを使って、防寒用品を整えないのよ?」
「防寒用品って何があるですの!
私には材質も何も想像が付かないですの!」
呆れる雛菊であったが、俺は紅葉の抗議が正しいと身を持って知っている。
この2人でくるまっている毛布や、火を灯している暖炉すらも、元々雛菊が準備したもので紅葉が創造したものではないのだ。
「龍脈エネルギーを使って、必要なモノを用意しろと言われたのは、事実ですの!
でも、あんな複雑な代物扱えないじゃないですの!」
紅葉曰く、どういう材質をどのように加工し、どうやって組み立てるのかを全部指示する必要があり、完成形を思い描いてポンと出てくる類いではないとのことだった。
そうなると、元高校生と戦闘系妖怪の俺達コンビには、お手上げ状態であった。
『夢幻千年京』で生産系の妖怪が加入すると、新施設が設置解放される理由を知ったわけだけど、そのせいで連日凍える羽目になるとは、思わなかった。
「……なるほど。
まさか、最低限の衣食住の知識もなかったとは思わなかったわ……」
更に呆れた表情となる雛菊だが、
「いやいや!
こっちもまさかこの家がこんなに隙間風を通すような作りだとは思わなかったからな!
何だよ!
寒くて寝れないような家だなんて聞いてないぞ!」
俺も文句を我慢できない。
冬が近かったのに、こんな隙間風が入るような小屋を用意したなんて……、
「そういえば、最低限のレベルで設置してアップグレードしてなかったわね。
……冬を準備するつもりはなかったし」
冬を準備?
あ、冬支度の準備か!
「酷いじゃないか!
俺らがどれだけ寒い思いをしたと思っているんだよ!」
「!!
……ごめんなさいね。
直ぐにあれこれ準備を整えるから、先にこの子達と自己紹介でもしていて?」
一瞬、驚いたような顔になったが、直ぐにいつもの澄まし顔で、後ろにいた2人を前に出す。
……やはり、ゲームで知ってる顔だな。
しかし、
「朧《おぼろ》と朔《さく》。
長老樹の枝を手に入れにいく時に拾ったの」
「……鬼族だよな?
仲間に加わってくれるのか?」
『夢幻千年京』に置ける鬼の存在は特別だ。
他の妖怪が草木に関する名前を持つのに対し、鬼族だけが月に関わる名前を持つ。
そして、ゲームでは決して仲間にならない敵対勢力だったはずの存在だ。
「…………はい」
「よろしくなのだ!」
消えそうな声で答える無口キャラの朧に、無邪気な元気キャラの朔。
性格はゲームと同じようだが、それなら、何故鬼が仲間に?
「この子達は、龍脈エネルギーの制御に関しては、私以上の専門家よ?
今までよりも効率良く龍脈エネルギーを使えるようになるから、喜びなさい!」
……ゲームでは妖狐も鬼とは敵対気味だった。
度々都へ侵略行為を行う鬼達。
その際に、妖狐の里も食料略奪の被害にあっていたとか言う情報があったはずだ。
だけど、雛菊にこの子達への敵意は感じられない。
ゲームとは違う関係性ってことだろうから……、
「よろしく。
是非協力してほしい」
笑顔で受け入れてみよう。
少なくとも、この双子と個人的な確執はないのだから。
なにですのよ、これは。
何で、こんな寒くなるですのよ!」
口をガチガチと震わせながら、文句を言う紅葉。
山間部出身で、ここより寒いところに住んでたはずなのにと、不思議に思いながらも窓越しの空を見上げる。
その空は灰色の雲に覆われ、白い欠片を撒き散らす。
「……確かに寒いな。
マジで洒落にならない」
雛菊が出掛けて数日後から、時折ちらつくようになった雪は、ここ数日でうっすら積もるようになった。
こんな小さな小屋では、寒さを凌ぐにも限度があり、龍脈エネルギーで設置してもらった暖炉の前で、殆どの日をくっついて過ごしていた。
幸い、妖精達には寒さを感じるような性質はないらしく、平然と森へ赴けるので、薬草の代わりに食用の山菜を集めるようにしている。
でないと、餓死か凍死の未来が見えているのだ。
ガチャ!
パチパチと言う薪の爆ぜる音を除けば、寒さに愚痴る紅葉の声くらいしかなかった空間に、昨日振りの扉を開く音が響く。
妖精達がやって来るのは、いつも夕方なので、この時間の来客はないはずだ。
あるとすれば、やっと返ってきた従姉くらいのはずで、
「……何をやってるのよ?」
呆れた様子の雛菊が、扉の前に立っていた。
「寒いので扉を早く閉めてほしいのです!
こんな寒くなるとは聞いていないのです!」
そんな雛菊へ毛布にくるまったままで、猛抗議をする紅葉。
そんなに動かれると俺が寒いんだが!
「何で龍脈エネルギーを使って、防寒用品を整えないのよ?」
「防寒用品って何があるですの!
私には材質も何も想像が付かないですの!」
呆れる雛菊であったが、俺は紅葉の抗議が正しいと身を持って知っている。
この2人でくるまっている毛布や、火を灯している暖炉すらも、元々雛菊が準備したもので紅葉が創造したものではないのだ。
「龍脈エネルギーを使って、必要なモノを用意しろと言われたのは、事実ですの!
でも、あんな複雑な代物扱えないじゃないですの!」
紅葉曰く、どういう材質をどのように加工し、どうやって組み立てるのかを全部指示する必要があり、完成形を思い描いてポンと出てくる類いではないとのことだった。
そうなると、元高校生と戦闘系妖怪の俺達コンビには、お手上げ状態であった。
『夢幻千年京』で生産系の妖怪が加入すると、新施設が設置解放される理由を知ったわけだけど、そのせいで連日凍える羽目になるとは、思わなかった。
「……なるほど。
まさか、最低限の衣食住の知識もなかったとは思わなかったわ……」
更に呆れた表情となる雛菊だが、
「いやいや!
こっちもまさかこの家がこんなに隙間風を通すような作りだとは思わなかったからな!
何だよ!
寒くて寝れないような家だなんて聞いてないぞ!」
俺も文句を我慢できない。
冬が近かったのに、こんな隙間風が入るような小屋を用意したなんて……、
「そういえば、最低限のレベルで設置してアップグレードしてなかったわね。
……冬を準備するつもりはなかったし」
冬を準備?
あ、冬支度の準備か!
「酷いじゃないか!
俺らがどれだけ寒い思いをしたと思っているんだよ!」
「!!
……ごめんなさいね。
直ぐにあれこれ準備を整えるから、先にこの子達と自己紹介でもしていて?」
一瞬、驚いたような顔になったが、直ぐにいつもの澄まし顔で、後ろにいた2人を前に出す。
……やはり、ゲームで知ってる顔だな。
しかし、
「朧《おぼろ》と朔《さく》。
長老樹の枝を手に入れにいく時に拾ったの」
「……鬼族だよな?
仲間に加わってくれるのか?」
『夢幻千年京』に置ける鬼の存在は特別だ。
他の妖怪が草木に関する名前を持つのに対し、鬼族だけが月に関わる名前を持つ。
そして、ゲームでは決して仲間にならない敵対勢力だったはずの存在だ。
「…………はい」
「よろしくなのだ!」
消えそうな声で答える無口キャラの朧に、無邪気な元気キャラの朔。
性格はゲームと同じようだが、それなら、何故鬼が仲間に?
「この子達は、龍脈エネルギーの制御に関しては、私以上の専門家よ?
今までよりも効率良く龍脈エネルギーを使えるようになるから、喜びなさい!」
……ゲームでは妖狐も鬼とは敵対気味だった。
度々都へ侵略行為を行う鬼達。
その際に、妖狐の里も食料略奪の被害にあっていたとか言う情報があったはずだ。
だけど、雛菊にこの子達への敵意は感じられない。
ゲームとは違う関係性ってことだろうから……、
「よろしく。
是非協力してほしい」
笑顔で受け入れてみよう。
少なくとも、この双子と個人的な確執はないのだから。
0
あなたにおすすめの小説
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

