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千客万来?
第33話 蛇
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あからさまに不機嫌な紅葉と苦笑気味の莧が、沼地にやってくると、白い大蛇が待ち構えていた。
「ようやく来たのぅ。
さあ、妾にも早ようその血をおくれ」
大蛇は開口1番に、従属に入ることを求める。
その話しぶりから、紅葉は理解する。
……コイツ、ずっと視てましたの。
と。
血を飲むことで使い魔となることまで知っている上に、その痛みを知っている辺り、自分が雛菊に屈した時から、何らかの方法で監視していたと推察する。
猪の状況だけを視ていたなら、こんな自信満々に出てこずに、今回はやりすごそうと企むだろう。
あの痙攣を視て、即座に対応策を組めるとは思わない。
「良いのかい?
かなりの激痛を味わうことになるよ?」
蛇の内面を考察する紅葉を他所に、先ほど経験したばかりの莧が、心配そうに訊ねる。
しかし、
「大丈夫。
頭の悪いその方らと違ごうて妾は、痛覚遮断の術が使えるでな」
蛇は小馬鹿にした口調で問題ないと話す。
……コイツ、バカですの。
いえ、違いますの。
脳への情報刷り込みは、傍目には異様な痛みを、感じているように見えるはずですの。
つまり、本質を知らないままこちらを小馬鹿にしているですのね……。
……面白いですの。
「これがあなた用の血ですの。
どうぞお召し上がりなさいですの」
さすがの紅葉も、ストレスが溜まっていたのであろう。
ニヤつこうとする顔を必死に抑えて、蛇の口へと血を流し込み。
……素早く、距離を取る。
「……どうしたんだい? 紅葉」
その様を不思議そうに見ている莧。
十分距離を取ったのと判断した紅葉は、
「莧も下がるですの。
巻き添えを喰らいますですの」
と叫ぶ。
「巻き添え?
よく分からないが……。
のっわぁあぁ!!」
紅葉を見て首を傾げていた莧が、蛇の尻尾で高々と打ち上げられる。
紅葉の近くまで吹き飛ばされた莧が見たのは、のたくり回りながら、口から泡を吐く大蛇。
つまり、自分の時と同じだと気付く莧。
「痛覚遮断をしてるんじゃなかったのかい?」
「効くわけないですの。
痛覚遮断ってのは、各部と脳を繋ぐ神経系を麻痺させるですの。
脳に直接情報が書き込まれている激痛は、遮断できないですの」
隣の紅葉に訊ねると、清々しい笑顔でさらりと答えが返ってくる。
「と言うことは、知っていてやったのかい?
意外と良い性格をしているよ……」
「あら、あなただってすっきりしたのと違いますの?」
紅葉の返答に下手なことは言わないとばかりに、肩を竦める莧。
その態度が心情を雄弁に語っている。
「……まさか、妾がこんな目に遭うなんて」
「思ったより、早い復帰ですの?」
もう少し苦しんで欲しかったと言う思いを隠しつつ、話す紅葉。
対して、
「雛菊とやらが求める配役と妾自身が近かっただけであろうな。
おそらく1番ダメージが大きかったのは、紅葉じゃないかえ?」
「聞きたくなかった話ですの……」
涼しい顔で、嫌な事実を宣告する蛇。
それに打ちひしがれる紅葉だったが、
「それより、蛇。
この後も、全身を作り替える痛みが走るが、身構えていなくて良いのかい?」
人の良い莧は、紅葉を置いておいて、蛇へと忠告をすることを優先する。
しかし、蛇の方は問題ないとばかりに、身を持ち上げ、
「あら、それこそ痛覚遮断で……。
で、で、でうじてぇぇ?」
結局、激痛を味わうことになった。
「……どう言うことだい?」
「当然ですの。
新しい手足を作るですのよ?
神経も作り替えられていくですのに、それをどうやって遮断するですの?」
言った傍から苦しむ蛇の様子に、呆れた顔で莧は隣の紅葉に訊ねる。
問い掛けられた紅葉の方は、明らかに面白がった顔をして、今までなかったものは遮断出来ないと種を明けす。
確かに道理ではあるが、
「打ちひしがれる真似もわざとかい?」
「ですの。
策士を気取る割りに抜けてる蛇は、ざまあないですの!」
紅葉《このこ》も性格変わったな……
それほど、頻繁に遭う間柄ではなかったが、それでも同格の魔物として、長年同じ階層で過ごしてきた仲である。
その相手の変貌具合に、まだあったことのない筆頭使い魔雛菊の影響力を感じて戦慄してしまう莧であった。
「ようやく来たのぅ。
さあ、妾にも早ようその血をおくれ」
大蛇は開口1番に、従属に入ることを求める。
その話しぶりから、紅葉は理解する。
……コイツ、ずっと視てましたの。
と。
血を飲むことで使い魔となることまで知っている上に、その痛みを知っている辺り、自分が雛菊に屈した時から、何らかの方法で監視していたと推察する。
猪の状況だけを視ていたなら、こんな自信満々に出てこずに、今回はやりすごそうと企むだろう。
あの痙攣を視て、即座に対応策を組めるとは思わない。
「良いのかい?
かなりの激痛を味わうことになるよ?」
蛇の内面を考察する紅葉を他所に、先ほど経験したばかりの莧が、心配そうに訊ねる。
しかし、
「大丈夫。
頭の悪いその方らと違ごうて妾は、痛覚遮断の術が使えるでな」
蛇は小馬鹿にした口調で問題ないと話す。
……コイツ、バカですの。
いえ、違いますの。
脳への情報刷り込みは、傍目には異様な痛みを、感じているように見えるはずですの。
つまり、本質を知らないままこちらを小馬鹿にしているですのね……。
……面白いですの。
「これがあなた用の血ですの。
どうぞお召し上がりなさいですの」
さすがの紅葉も、ストレスが溜まっていたのであろう。
ニヤつこうとする顔を必死に抑えて、蛇の口へと血を流し込み。
……素早く、距離を取る。
「……どうしたんだい? 紅葉」
その様を不思議そうに見ている莧。
十分距離を取ったのと判断した紅葉は、
「莧も下がるですの。
巻き添えを喰らいますですの」
と叫ぶ。
「巻き添え?
よく分からないが……。
のっわぁあぁ!!」
紅葉を見て首を傾げていた莧が、蛇の尻尾で高々と打ち上げられる。
紅葉の近くまで吹き飛ばされた莧が見たのは、のたくり回りながら、口から泡を吐く大蛇。
つまり、自分の時と同じだと気付く莧。
「痛覚遮断をしてるんじゃなかったのかい?」
「効くわけないですの。
痛覚遮断ってのは、各部と脳を繋ぐ神経系を麻痺させるですの。
脳に直接情報が書き込まれている激痛は、遮断できないですの」
隣の紅葉に訊ねると、清々しい笑顔でさらりと答えが返ってくる。
「と言うことは、知っていてやったのかい?
意外と良い性格をしているよ……」
「あら、あなただってすっきりしたのと違いますの?」
紅葉の返答に下手なことは言わないとばかりに、肩を竦める莧。
その態度が心情を雄弁に語っている。
「……まさか、妾がこんな目に遭うなんて」
「思ったより、早い復帰ですの?」
もう少し苦しんで欲しかったと言う思いを隠しつつ、話す紅葉。
対して、
「雛菊とやらが求める配役と妾自身が近かっただけであろうな。
おそらく1番ダメージが大きかったのは、紅葉じゃないかえ?」
「聞きたくなかった話ですの……」
涼しい顔で、嫌な事実を宣告する蛇。
それに打ちひしがれる紅葉だったが、
「それより、蛇。
この後も、全身を作り替える痛みが走るが、身構えていなくて良いのかい?」
人の良い莧は、紅葉を置いておいて、蛇へと忠告をすることを優先する。
しかし、蛇の方は問題ないとばかりに、身を持ち上げ、
「あら、それこそ痛覚遮断で……。
で、で、でうじてぇぇ?」
結局、激痛を味わうことになった。
「……どう言うことだい?」
「当然ですの。
新しい手足を作るですのよ?
神経も作り替えられていくですのに、それをどうやって遮断するですの?」
言った傍から苦しむ蛇の様子に、呆れた顔で莧は隣の紅葉に訊ねる。
問い掛けられた紅葉の方は、明らかに面白がった顔をして、今までなかったものは遮断出来ないと種を明けす。
確かに道理ではあるが、
「打ちひしがれる真似もわざとかい?」
「ですの。
策士を気取る割りに抜けてる蛇は、ざまあないですの!」
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それほど、頻繁に遭う間柄ではなかったが、それでも同格の魔物として、長年同じ階層で過ごしてきた仲である。
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