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千客万来?
第34話 丘の上
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小高い丘の上、緑が生い茂る6階層において、白い雪化粧となっている特異点を見つめる3人。
周囲には数十からなる彼らの眷属達。
訂正、莧の眷属たる巨猪と、元巨大蛇の眷属の大蛇が集まっている。
しかし、
「知識としては知ってはいたが、とんでもないね」
「……うむ。
正直、手を出したくないのう」
眷属の主達は、心底嫌そうな顔をしている。
ここからでも、筆頭使い魔の尋常ではない力の片鱗が分かるのだ。
ましてや、双子の鬼が控えているし、今は隣で駄弁っている紅葉も、襲撃時は、あちら側に回る。
八百長試合とは言え、死傷リスクがあるのだ。
『安心しなさい。
幻術で派手に戦ってるように見せるけど、実際には互いに怪我をすることはないわ』
不安そうな新入り2人にそう諭すのは、紅葉。
……の肩に乗るフィレットモドキ。
雛菊の造った通話用の式神とのことだ。
「……まあ、信じるしかないよね。
茨《いばら》もそれで良い?」
莧が隣の元蛇へと訊ねる。
「ええ。
それに戦うのは基本的に眷属達とのことであろう?」
『その予定よ。
流れとしては、北側の柵を壊して侵入。
眷属が、防衛側の妖精を襲う。
紅葉が、眷属を撃退。
莧と茨が、紅葉を追い込む。
遅れてきた朧と朔の登場で、撤退の流れ』
元蛇こと茨が、改めて式神越しに雛菊に問えば、茶番劇の流れを説明される。
昭和の特撮のような正統派の流れである。
「……1つ良いですの?
何故、雛菊の出番がないですの?」
違和感を覚えた紅葉が訊ねる。
雛菊が晴彦に良い格好をするチャンスを逃がすとは思えないのだ。
『まあそう思うわね。
理由は3つ。
表向きは、本来の雛菊は戦闘向けじゃないから、あまり違和感を与えたくない。
実際には、結構な数の結界を維持しなきゃならないでしょ?
その上、下手に暴れて、お腹の子に悪影響が出るのは避けたい』
「雛菊にも人並みに親としての自覚があったことが意外ですの……」
前半はともかく、後半は雛菊らしくない殊勝な理由であったので、驚き半分に返す紅葉。
「うむ。
3つと申したのう?
最後の1つは?」
そんな紅葉に代わって、横で聞いていた茨が先を促す。
『紅葉へのご褒美よ。
正直、もっと余裕がなくなって、柵を壊す時間はないと思っていたけど、良くやってくれたわ』
「……先ほどから、柵を壊すことをかなり重視しておるのう?
何を企んでいるのじゃ?」
予想以上に早く対応した紅葉への謝礼と言う雛菊。
たかが、柵を壊すことをそこまで重視する理由が分からない。
あまりにも、不思議に思った茨が訊ねてみるが、
『今は知らなくて良いのよ。
けどね、これは私以上にあなた達のためでもあるわ。
だから安心しなさい』
優しい声で、しかししっかりと答えを拒絶する雛菊。
「「……」」
「……追及はしないですの。
ここで雛菊が嘘をつく必要がないですの」
一瞬、血色ばむ2人を制して、紅葉が応える。
1人で何でも出来てしまう化物の癖に、妙に群れを意識する言動があるのが雛菊。
ならば、これは本当だろうと判断したのだ。
『……。
……さて、襲撃の前に2人はその格好をどうにかしなさいな?
どこの世界に真冬に薄着1枚の娘がいるのよ?
十二単みたいな着物の襲撃者もおかしいわよ?』
苦笑する気配を漂わせた式神の視線の先にいた莧と茨は、お互いを見てこれはないなと頷きあった。
しかし、
「そもそも、元キャラの格好がこれなんだけどね?」
「そんなにも時間がないのであれば、その辺も加味して、血を分けて欲しかったのう」
服装の好みは、『夢幻千年京』に置ける志向が反映されているので、それを踏まえれば、雛菊の言い分が言いがかりに近いとも思う。
『……そうね。
実行は明後日。
今日は、この後3人でそれなりの格好を考えなさい。
明日に紅葉の帰還。
明後日が襲撃当日の流れよ
しっかりね!』
まるで避難訓練のような妖怪襲撃イベントの日程である。
……本当は、ただの雛菊の気まぐれなんじゃないかと、猜疑心が首をもたげる新入り2人であった。
周囲には数十からなる彼らの眷属達。
訂正、莧の眷属たる巨猪と、元巨大蛇の眷属の大蛇が集まっている。
しかし、
「知識としては知ってはいたが、とんでもないね」
「……うむ。
正直、手を出したくないのう」
眷属の主達は、心底嫌そうな顔をしている。
ここからでも、筆頭使い魔の尋常ではない力の片鱗が分かるのだ。
ましてや、双子の鬼が控えているし、今は隣で駄弁っている紅葉も、襲撃時は、あちら側に回る。
八百長試合とは言え、死傷リスクがあるのだ。
『安心しなさい。
幻術で派手に戦ってるように見せるけど、実際には互いに怪我をすることはないわ』
不安そうな新入り2人にそう諭すのは、紅葉。
……の肩に乗るフィレットモドキ。
雛菊の造った通話用の式神とのことだ。
「……まあ、信じるしかないよね。
茨《いばら》もそれで良い?」
莧が隣の元蛇へと訊ねる。
「ええ。
それに戦うのは基本的に眷属達とのことであろう?」
『その予定よ。
流れとしては、北側の柵を壊して侵入。
眷属が、防衛側の妖精を襲う。
紅葉が、眷属を撃退。
莧と茨が、紅葉を追い込む。
遅れてきた朧と朔の登場で、撤退の流れ』
元蛇こと茨が、改めて式神越しに雛菊に問えば、茶番劇の流れを説明される。
昭和の特撮のような正統派の流れである。
「……1つ良いですの?
何故、雛菊の出番がないですの?」
違和感を覚えた紅葉が訊ねる。
雛菊が晴彦に良い格好をするチャンスを逃がすとは思えないのだ。
『まあそう思うわね。
理由は3つ。
表向きは、本来の雛菊は戦闘向けじゃないから、あまり違和感を与えたくない。
実際には、結構な数の結界を維持しなきゃならないでしょ?
その上、下手に暴れて、お腹の子に悪影響が出るのは避けたい』
「雛菊にも人並みに親としての自覚があったことが意外ですの……」
前半はともかく、後半は雛菊らしくない殊勝な理由であったので、驚き半分に返す紅葉。
「うむ。
3つと申したのう?
最後の1つは?」
そんな紅葉に代わって、横で聞いていた茨が先を促す。
『紅葉へのご褒美よ。
正直、もっと余裕がなくなって、柵を壊す時間はないと思っていたけど、良くやってくれたわ』
「……先ほどから、柵を壊すことをかなり重視しておるのう?
何を企んでいるのじゃ?」
予想以上に早く対応した紅葉への謝礼と言う雛菊。
たかが、柵を壊すことをそこまで重視する理由が分からない。
あまりにも、不思議に思った茨が訊ねてみるが、
『今は知らなくて良いのよ。
けどね、これは私以上にあなた達のためでもあるわ。
だから安心しなさい』
優しい声で、しかししっかりと答えを拒絶する雛菊。
「「……」」
「……追及はしないですの。
ここで雛菊が嘘をつく必要がないですの」
一瞬、血色ばむ2人を制して、紅葉が応える。
1人で何でも出来てしまう化物の癖に、妙に群れを意識する言動があるのが雛菊。
ならば、これは本当だろうと判断したのだ。
『……。
……さて、襲撃の前に2人はその格好をどうにかしなさいな?
どこの世界に真冬に薄着1枚の娘がいるのよ?
十二単みたいな着物の襲撃者もおかしいわよ?』
苦笑する気配を漂わせた式神の視線の先にいた莧と茨は、お互いを見てこれはないなと頷きあった。
しかし、
「そもそも、元キャラの格好がこれなんだけどね?」
「そんなにも時間がないのであれば、その辺も加味して、血を分けて欲しかったのう」
服装の好みは、『夢幻千年京』に置ける志向が反映されているので、それを踏まえれば、雛菊の言い分が言いがかりに近いとも思う。
『……そうね。
実行は明後日。
今日は、この後3人でそれなりの格好を考えなさい。
明日に紅葉の帰還。
明後日が襲撃当日の流れよ
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