廻って異世界

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村造りシミュレーション

第49話 チュートリアル(モノ造り)の裏話

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「……約束通り、莧と茨を合流させるための口実は用意したわよ。
 ついでに、紅葉への報酬もこれで清算だから!」

 晴彦を朧達と一緒に追い出した後、雛菊と紅葉は恒例の地下会議室へ。
 そして、密談の開始と共に机を叩きながら、言い切る。

「分かってるですの。
 それで何故お兄を釣りへ行かせたですの?」
「……何が言いたいの?」
「海に見えるだけで、あれはただの水溜まりですの。
 当然、魚なんて取れないはずですの?」

 魚のいない水溜まりで、魚を釣るなんてどっかの難関大学の入試問題じゃあるまいし、と思うのも当然だろう。

「そっちは問題ないわ。
 あの釣竿には、水に浸けると魔素から魚を生成する釣り針が付いているの。
 誰でも絶対に魚が釣れるわ」
「……無駄に高性能な機能ですの。
 本当に何がしたいですの?」

 泳いでいる魚を釣ってるのではなく、水中で直接魚を創っているわけだ。

「適当なことを言って、干物を作る施設を用意した方が早いですの。
 妖精が取ってきているとでも、言えば十分ですのに……」 
「ダメよ。
 魔素、じゃなかった龍脈エネルギーには縛りがあることになってるのに、魚の干物を作る施設は建てられないでしょ?」

 結構なエネルギーコストが掛かると言う雛菊。
 アホですの? と思う紅葉は多分正しい。

「どれだけでも誤魔化せるじゃないですの?
 それこそ、ゲームと現実は別物だと開き直れば良いですの!」
「そうはいかないわ。
 違和感を覚えたら……」
「既に最初から違うですの!
 座敷わらしの紗智ではなく、妖狐の雛菊が相棒の時点で、違和感がとかの次元じゃないですの!」

 晴彦本人がゲームと違うことに納得気味なのに、今さら何を言っているのかと叱り付ける紅葉。

「そもそも、こんな寒い時期に海釣りで風邪なんて引いたら、どうしてくれよ、う……と?」

 自分で言っていて、違和感に気付く。
 晴彦第一主義の雛菊が、晴彦が風邪を引くのを許容するだろうかと、そして、するとしたらどんな可能性が?

「雛菊!
 まさか、私とお兄の逢瀬を邪魔するために!」
「誤解よ!
 もうすぐ、地上勢力との接触があるかもしれないのに、仲間内で争う気はないわ!
 そもそも、ハルには寒いと言ってあるけど、海辺りは常時夏くらいの気温に設定してあるの!
 今のハルなら、風邪なんて引かないわ!」

 紅葉の剣幕に圧されないように、必死に言い募る雛菊。
 確かに海と呼んでいる辺りに近付くと、暖かい気はするので、嘘ではなさそうだ。

「では何を狙っているですの?」
「何も狙っていな……」
「嘘ですの!」

 絶対に、雛菊には何か狙いがあるはずだと思う紅葉。
 日頃の行いは大事と言うべきか。

「本当に狙いなんて……」
「まだ、しらをきる気ですの?」

 追及を緩める気のない紅葉だが、証拠がないために、決定打に欠けていた。
 こうなってくると、

「……しつこいわね。
 あまりに疑り深い娘は、素直な良い娘になるまでお仕置きしちゃうわよ」

 雛菊は濃厚なプレッシャーを掛けて、黙らせに来る。
 元々、策士気取りながら沸点が低い雛菊。
 しかも、紅葉は1日独占券を持っているので、気にくわないのだ。
 だが、

「分かったですの!
 その反応! 下らない自分の趣味ですの!」

 反骨心の強い狼だった紅葉は、雛菊の反応から答えを導き出す。
 本当に必要な策略であれば、ここまで理不尽な手を打ってこない。
 すなわち、周囲へ説明しても納得が得られない。
 極々個人的な目的だと!

「そんなことはないわ!
 ネットで、男性の日焼け跡がセクシーだとか言う記事を見たとかではないもの!」
「……嘘ですわよね?」

 あまりにも馬鹿馬鹿しい自白に、戦慄する紅葉。
 幾らなんでも、コレが自分達の筆頭と言うのは、情けなさ過ぎる。

「!!
 もちろんよ!
 これには深い事情があるの!
 ハルって海に行くことがなかったから、日焼けしたとこ見たことないな……。
 じゃなくて!
 健康的な日焼けハルはきっと眼福!
 でもなくて!
 ……えっと、えと……。えええ?」

 テンパりすぎだと言いたくなるほど、目が泳ぎまくる雛菊。
 しばらく考えた後、

「……そう!
 地上勢力との接触があるかもしれないでしょ!
 ハルは、魔素との親和が高いから、海水浴なんて行ったこともない。
 なら、ハルの家族が来ても、日焼けしたハルは見たことない!」
「……ハア」

 取って付けた言い訳に、もはやため息しか出ない紅葉。
 貴重な男である父親は、攻略チームに入る可能性皆無、母親の素質は不明。
 最も攻略チーム入りの可能性があるのは、血を分けた妹くらいだろうが、彼女は精々中学生である。
 つまり、可能性はほぼない。
 晴彦だとバレないようにと言う言い訳は通用しないのだ。

「大体、攻略チームが来たらお兄は接触しないように対応するんですの」
「ウグッ!」

 呆れ顔の紅葉の指摘に、顔を強張らせる雛菊。
 つくづく、どうしょうもない使い魔筆頭だと思い、更に気になる点が出てきた。

「……お兄に渡した伊達メガネ。
 まさか、お兄のメガネ姿が見たかっただけですの?」
「……」

 ……沈黙が答えだった。

「雛菊は1度特大の罰でも当たるべきですの」
「もう当たってるわよ!
 私のハルが、紅葉に取られるんだから!」

 紅葉の言葉が、どうやら雛菊の1番大事な所に触れたらしい。
 目に涙を湛えて、文句を言う。
 一応、先日のやらかしは雛菊なりに堪えたようではあった。
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