廻って異世界

フォウ

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村造りシミュレーション

第61話 デートリベンジ

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「お兄!
 明日は朝から泉へ遊びに行くですの!」

 紅葉とのデートイベントから数日経ったある日。
 眷属と雛菊のせいで狂った予定のやり直しを要求されて、再度泉へ遊びに行くこととなった。

「大丈夫なのか?」
「泉周辺の確認は完了。
 もう変な邪魔が入ることはないですの!」

 この間のような緊急事態を警戒する俺だったが、この数日で紅葉は泉周辺の眷属を掃討したらしく、同じような事態は起こらないと太鼓判を押す。
 加えて、今回は雛菊達が邪魔をしないように日程表を提出したらしい。
 ちょっとしたお出掛け程度の話で大袈裟なと思ったが、正直にそれを口にしたら、全員から叱責された。
 妖怪から見た人の男と言うのは、それだけ価値があるらしい。
 と、余計なことを言って説教を喰らう羽目になったものの、無事に泉へ遊びにきた。

「今日は夕暮れを見て帰りますの」

 と言う紅葉。
 曰く、この時期の夕暮れは素晴らしいので、それを見せたいと言うことだった。

「本当はサプライズで見せたかったですの!
 けど、どっかの嫉妬深い女狐のせいで計画が狂ったですの!
 なので、サプライズはなしですの……」

 微妙に拗ねてる口調の紅葉。
 まあ、せっかくのお出掛けを邪魔されればな。
 特にメインディッシュの前に帰宅となったわけだし……。

「さて、今日は釣竿で、川魚を釣って塩焼きですの!」
「オッケー!」

 とは言え、すぐに気分を切り替えたらしい紅葉が、釣竿をこちらに渡してくれる。

「私は焚き火を用意するですの。
 釣りはお兄にお任せしますの」
「……釣れるかな?
 海だとよく釣れるけど……」

 殆ど釣り人がいないせいか、この辺りの海は入れ食い状態だが、泉と海じゃ勝手が違うと思うんだよな?
 少し心配しながら、練り餌を針に付けて投げ入れる。
 淡水の釣りだと草影とかを狙うんだっけ?

「ととっ!」

 漠然と釣り方を考えているうちに、1匹目が掛かってしまった。
 やはり、この辺りも魚釣りをするヤツはいないのか、警戒心ゼロだわ。

「ここにいれてほしいですの!
 焚き火が準備できたら焼いていきますの」

 クーラーボックスを開く紅葉に頷いて、針を外す。
 こんなことがあっさり出来るようになるなんて、昔の自分からは想像も出来なかったな……。

「そう言えば、この練り餌って何で出来てるの?」

 ふと思った。
 こういう練り餌って、小麦粉とかじゃないかな?
 って、なので聞くだけ聞いてみようと思ったんだけど、

「……さあ?
 分からないですの。
 龍脈エネルギーで、生成してると思いますので、雛菊か結に聞くと分かるですの」
「……そう」

 そう言えば、結構ファンタジーな世界で生活してたね、俺達。

「さあ、どんどん釣ってくださいですの!
 こっちは焼き始めるですの」
「了解。
 それじゃあ、焼くのは任せるよ」

 漫画で見るような石を組んで囲った中に、焚き火が揺れる。
 頭から棒を差した川魚が周囲に立て掛けられて、熱で炙られ始める。
 パチパチと音を奏で始める横で釣りを続ける。

「アウトドアって、楽しいんだな……」
「お兄?
 どうしたですの?」

 つい呟いてしまう。
 紅葉は、どうにも秋葉に似た顔立ちをしているせいで、変な想像をしてしまうな。
 ……俺がもっと元気だったら、紅葉とこうしてキャンプにもこれたのだろうかと。

「……いや、釣った傍から、魚を焼いて食べる経験って、あんまりないだろ?
 楽しいなって思ったんだ」
「そうですの?
 生きるための作業が楽しいって変わってますの……」

 適当に誤魔化したつもりだったけど、受けが悪かったようだ。
 まあ、この世界じゃ農業も漁業も、今日の食事に直結するもんだしな……。

「……けど、お兄が楽しそうで嬉しいですの」

 そう言って、俺を背もたれにして座る紅葉。
 やっぱり、妹に頼られているようで変な安堵があるな。
 ……まあ秋葉は結構早い時期から、俺を嫌ってしまったからな。

『琥珀ちゃんがお姉ちゃんの方が良かったですの……』

 不意に思い出す秋葉の悲しそうな声。
 あれは、海水浴の日に熱を出した時に言われたんだっけ……。
 ……嫌な名前を思い出した。
 おデブの晴くん、といつも俺を小馬鹿にしていた従姉。
 自分が運動神経が良くて、バレー部のエースだからって、会うたびに俺を馬鹿にしてきた従姉。

 ……え?

「お兄?
 引いているですの?」
「……」

 紅葉の言葉が遠くに聞こえる。
 いやさ、確かに真冬に草木の育つ不思議な湖だよ?
 けれどさ、こんな幻覚を見せるかな?
 普通……。
 しかも、その相手が苦手な従姉とか最悪じゃないか?

「男の人?
 それに人型の魔物?
 あなた達が、この階層に住んでいる人達?」
「「……え?」」

 従姉と一緒にいた幻が声を掛けてきた?
 と驚く俺に、同じような驚愕を示す紅葉の声が重なる。
 ……うん。
 見たことない人の幻な時点で、幻じゃないよな。
 つまりこれは!
 ……どういうこと?
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