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村造りシミュレーション
第73話 やぶ蛇報告
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日々政務に追われる山崎の元へ急を要する相談があると、連絡が入ったのは、昨日の昼間。
相手は自衛隊の杉本大尉。
本来であれば、間に防衛大臣や幕僚本部長のような人間を挟む相手ではあるが、迷宮対応と言う特殊性から、直でのやり取りが行われている。
と言うか、ストレスが多いだけの貧乏くじを引きたがる人間がいない。
山崎ですら、専門の省庁と大臣を配置して、手を退きたいくらいの厄介事である。
しかし、今はそんなことを言っていられないと、気合いを入れて、秘書と共に杉本大尉を迎える。
「お忙しい所を失礼します」
「いえ、命を懸けて迷宮対応をしてみえる皆さんの尽力こそですから……」
恐縮している杉本大尉だが、昨日迷宮から出て、そのまま岐阜から東京へ飛んできた杉本こそ大変だったろうと労う。
「いきなりで申し訳ないのですが、第6階層にて消息不明であった能義晴彦と接触しました」
「それは朗報と言うべきなのかしら?」
希少な男性。
しかも魔素の濃い迷宮内で生きていた男性だ。
非常に良いニュースのはずなのに、杉本の顔は優れない。
ましてや、保護ではなく接触である。
故に、山崎も素直に喜べなかった。
「……半々と言ったところでしょうか。
彼は危険な魔物達と仲良く暮らしておりました」
「……危険な魔物。
つまり保護は絶望的と?」
一般人には脅威の小鬼を容易く倒せるジュエルズ上位のメンバーが一緒にいて排除できないような魔物。
保護は不可能だろうと考えるのも必然。
「いえ、魔物達は晴彦を主として扱っておりました。
フォーティンにより、晴彦さんを飼い殺しにするための餌として扱われていたようで、晴彦共々迷宮から出ることに前向きです」
「まさに浦島太郎ね」
「はい。
美女、美少女の姿で晴彦をもてなしていました。
昔話と違うのは、彼女らも外に出ることに意欲的な点と、1人が彼の子を妊娠している点でしょうか?」
ガタッ!
山崎首相の椅子が音を立てる。
立ち上がり掛けたようだ。
「迷宮の魔物は、人間と生殖するのですか?」
「いえ、妊娠していたのは、迷宮の外で休眠中だった魔物。
裏取りは出来ていませんが、迷宮と同じ時代に造られた古代の生体兵器とのことです」
安堵し掛けたが、杉本の説明は完全に安堵できる内容ではなかった。
「この個体が、迷宮の魔物をまとめて晴彦を飼い殺しておりました。
彼女らの情報をまとめた形ではありますが、フォーティンに洗脳されて、晴彦を監督していたらしいです。
我々との会話中に洗脳が解けたとのことですが……」
「そんな簡単に解けるものなのですか?」
「正直、演技を疑っています。
ですが、演技を行う理由がないのです。
古代の生体兵器と言うのは、事実である可能性が高いです。
ジュエルズアンバーが、誰にも気付かれることなく、捏造記憶を植え付けられ、記憶の混濁状態に陥れられていました。
そんな強力な怪物が、迷宮に引きこもっている理由がないのです」
「……」
杉本の話に真っ青な顔になる山崎。
強力な魔法少女を、誰にも知られないままに、記憶混濁状態へ落とす化け物。
そんな者が迷宮に閉じ籠っている、と言うのも確かにおかしいのだ。
……まさか、化け物が独占欲の塊のようなヤンデレだとは想像もつくまい。
「……とにかく、彼らは迷宮を出ることを希望しておりますので、その対応をご相談いたしたく参上しました」
「そのグループ内に置ける能義晴彦さんの立ち位置は?」
難しい決断を迫られた山崎。
だが、糸口がないでもない。
「見た感じでは、主として尊重されているようでした」
「であれば……」
少し顔色が良くなる山崎だが、
「しかし、晴彦はジュエルズアンバーと諍いを起こしました。
ジュエルズアンバー側から仕掛けたものですが、最中、雰囲気が一変し、彼自身が最終的にはこちらへ脅しともとれる行動を……」
「……どちらも大人と言うにはまだ未熟ではありますね。
しかし、脅しですか?」
つい先日までただの高校生だった少年が、日本と言う国そのものを脅せるとも思わないと、首をかしげる山崎。
「あくまで、生体兵器への確認と言う体ではありましたが、操ろうと思えばどれくらいの人を操れるかと……」
「……なるほど。
政府に協力しなくても、自由に行動できると宣言したのですね……」
間違いなく脅しだと理解する山崎。
その生体兵器だけでも、ジュエルズメンバーを殲滅できるような力がある可能性がある。
まして、他にも魔物を従えているとなると、しかし、
「……問題はまだあります。
その時の生体兵器、雛菊と名乗っていますが、彼女の返答は、半径1キロ強範囲の人間を洗脳して、内裏で生活したことがあるとのことです」
「……」
杉本の話は最悪の上を行った。
「内裏で洗脳ですか……。
私は非常に嫌なことを想像したのですが……」
「……はい。
私は、俗に言う玉藻前を連想いたしました」
まさかの日本三大妖怪と言うビックネーム。
そんなモノを従えた少年に脅される羽目になるとは……。
さすがに想像もしていなかった山崎首相であった。
相手は自衛隊の杉本大尉。
本来であれば、間に防衛大臣や幕僚本部長のような人間を挟む相手ではあるが、迷宮対応と言う特殊性から、直でのやり取りが行われている。
と言うか、ストレスが多いだけの貧乏くじを引きたがる人間がいない。
山崎ですら、専門の省庁と大臣を配置して、手を退きたいくらいの厄介事である。
しかし、今はそんなことを言っていられないと、気合いを入れて、秘書と共に杉本大尉を迎える。
「お忙しい所を失礼します」
「いえ、命を懸けて迷宮対応をしてみえる皆さんの尽力こそですから……」
恐縮している杉本大尉だが、昨日迷宮から出て、そのまま岐阜から東京へ飛んできた杉本こそ大変だったろうと労う。
「いきなりで申し訳ないのですが、第6階層にて消息不明であった能義晴彦と接触しました」
「それは朗報と言うべきなのかしら?」
希少な男性。
しかも魔素の濃い迷宮内で生きていた男性だ。
非常に良いニュースのはずなのに、杉本の顔は優れない。
ましてや、保護ではなく接触である。
故に、山崎も素直に喜べなかった。
「……半々と言ったところでしょうか。
彼は危険な魔物達と仲良く暮らしておりました」
「……危険な魔物。
つまり保護は絶望的と?」
一般人には脅威の小鬼を容易く倒せるジュエルズ上位のメンバーが一緒にいて排除できないような魔物。
保護は不可能だろうと考えるのも必然。
「いえ、魔物達は晴彦を主として扱っておりました。
フォーティンにより、晴彦さんを飼い殺しにするための餌として扱われていたようで、晴彦共々迷宮から出ることに前向きです」
「まさに浦島太郎ね」
「はい。
美女、美少女の姿で晴彦をもてなしていました。
昔話と違うのは、彼女らも外に出ることに意欲的な点と、1人が彼の子を妊娠している点でしょうか?」
ガタッ!
山崎首相の椅子が音を立てる。
立ち上がり掛けたようだ。
「迷宮の魔物は、人間と生殖するのですか?」
「いえ、妊娠していたのは、迷宮の外で休眠中だった魔物。
裏取りは出来ていませんが、迷宮と同じ時代に造られた古代の生体兵器とのことです」
安堵し掛けたが、杉本の説明は完全に安堵できる内容ではなかった。
「この個体が、迷宮の魔物をまとめて晴彦を飼い殺しておりました。
彼女らの情報をまとめた形ではありますが、フォーティンに洗脳されて、晴彦を監督していたらしいです。
我々との会話中に洗脳が解けたとのことですが……」
「そんな簡単に解けるものなのですか?」
「正直、演技を疑っています。
ですが、演技を行う理由がないのです。
古代の生体兵器と言うのは、事実である可能性が高いです。
ジュエルズアンバーが、誰にも気付かれることなく、捏造記憶を植え付けられ、記憶の混濁状態に陥れられていました。
そんな強力な怪物が、迷宮に引きこもっている理由がないのです」
「……」
杉本の話に真っ青な顔になる山崎。
強力な魔法少女を、誰にも知られないままに、記憶混濁状態へ落とす化け物。
そんな者が迷宮に閉じ籠っている、と言うのも確かにおかしいのだ。
……まさか、化け物が独占欲の塊のようなヤンデレだとは想像もつくまい。
「……とにかく、彼らは迷宮を出ることを希望しておりますので、その対応をご相談いたしたく参上しました」
「そのグループ内に置ける能義晴彦さんの立ち位置は?」
難しい決断を迫られた山崎。
だが、糸口がないでもない。
「見た感じでは、主として尊重されているようでした」
「であれば……」
少し顔色が良くなる山崎だが、
「しかし、晴彦はジュエルズアンバーと諍いを起こしました。
ジュエルズアンバー側から仕掛けたものですが、最中、雰囲気が一変し、彼自身が最終的にはこちらへ脅しともとれる行動を……」
「……どちらも大人と言うにはまだ未熟ではありますね。
しかし、脅しですか?」
つい先日までただの高校生だった少年が、日本と言う国そのものを脅せるとも思わないと、首をかしげる山崎。
「あくまで、生体兵器への確認と言う体ではありましたが、操ろうと思えばどれくらいの人を操れるかと……」
「……なるほど。
政府に協力しなくても、自由に行動できると宣言したのですね……」
間違いなく脅しだと理解する山崎。
その生体兵器だけでも、ジュエルズメンバーを殲滅できるような力がある可能性がある。
まして、他にも魔物を従えているとなると、しかし、
「……問題はまだあります。
その時の生体兵器、雛菊と名乗っていますが、彼女の返答は、半径1キロ強範囲の人間を洗脳して、内裏で生活したことがあるとのことです」
「……」
杉本の話は最悪の上を行った。
「内裏で洗脳ですか……。
私は非常に嫌なことを想像したのですが……」
「……はい。
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さすがに想像もしていなかった山崎首相であった。
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