84 / 139
地上での生活
第81話 電車の値段からの……
しおりを挟む
「大人1人片道3,500円?
殆ど、新幹線ね?」
「そうね……。
大災害前は、新幹線片道3,400円くらいだったから大正解ね。
在来線だと、1,300円くらいかしら?」
在来線の1角を占拠。
ボックス席にして、荷物と男女3人で乗り込んだ俺達。
3人を代表して切符を購入した夕蔓さんが、眉を潜めていたので、気になったらしい浜名さんが、訪ねた結果だ。
「……やっぱり、大災害の影響かな?
まさか、こんなに物価が上がっているなんて……」
雛菊が、俺にお使いを頼んだのは、こういうことを体験させたかった?
……あり得るかもしれない。
「物価とは違うと思うわよ?
この雑誌、500円で買えたわ。
昔と変わらない値段だと思わない?」
俺の呟きに答えた夕蔓さんが、差し出してきたのは、コンビニでよく見掛けた週刊誌の類い。
特別、ページ数が少ない印象はない。
「これが、特別号とかそういう可能性はない?」
「……ないわね。
多分だけど、乗客が少ないのが原因じゃないかしら?」
夕蔓さんの言葉に、周りを見回してみたが、確かに俺達以外の乗客はいない。
「……。
電車の運行数もかなり絞っているみたいね?」
浜名さんのスマホ越しに、今乗っている在来線の時刻表を見る。
朝7時~9時、夕方15時~20時は、時間4便が運行している。
対して、それ以外の時間は2時間に1本程度の便数。
うちの地元のバスかよ。
「……2時間1本で、この乗客数?
相当、乗客数が少ないみたいね?」
「だから、これくらいの運賃じゃないと対応できないのか……」
……人の移動が少なすぎる。
本当に公共交通機関が麻痺する寸前みたい。
「……早めに免許取りましょう。
それか、運転手を雇う必要があると、雛菊さんへ進言するべきかしら?」
「私も免許が欲しいわ。
早めに取らないと、身動き出来ないことになるわね……」
浜名さん、夕蔓さんが決意する。
……そうだよな。
「俺も免許を……」
「必要ないわね」
「そうよ。
1人で移動なんて、金輪際ないわ。
よって、免許は不要よ」
取ろうと言い掛けたら、ガンガンに圧を掛けられて止められた。
……まあ、雛菊とかが心配するかもしれないしな。
「はい……」
美女2人に詰められたけど、眼力が強くて全然嬉しくない。
……うん。
この雑誌に逃げよう。
手元にあった雑誌を開きつつ、
「これ読んでも良いかな?
少し気になるページがあるんだよ……」
等と言って、話を逸らす。
「道中の暇潰しだから、問題ないわよ?
適当に数冊買ったやつだもの」
「昔ならスマホのゲームや動画配信でも、観てれば時間潰せたんだけどね?」
夕蔓さんの許可を貰って、読もうかとしたら、浜名さんが要らんことを言う。
このパターンは、
「優歌!
私達は、護衛だって自覚が足りないわよ!」
案の定、カミナリ案件になる。
「ごめんなさい」
まあ、ガラガラの公共交通機関ってことは、かなり安全が確保されているようなものだからな。
浜名さんが気を抜くのもしょうがない。
「本当に、自覚が足りないのだから……」
「まあまあ、そう怒らないで、夕蔓さんも少し気を抜こう?
今から、それじゃあ疲れてしまうよ?」
かなり怒り心頭モードの夕蔓さんを宥める。
目的地まではさほど遠くないけど、それから半月は、この3人で行動なのだから、少し気を抜くくらいで良いと思う。
「……そうね」
「だろう?
……?」
……訳が分からないよ。
雑誌の表紙を確認する。
うん、昔からある週刊誌だ。
やや女性向けではあるけど、社会ニュースとかも普通に載ってるタイプの……。
「男性に受ける秘訣?
異性の目を引くファッション?
……ファッション誌みたいなラインナップだな。
占いとかは昔からあったけど……」
「……まあ、今の女性の関心ってそこが一番大きいから」
目次を見て首を傾げる俺に、苦笑する浜名さん。
正直、
「それにしても、ファッション誌とかで載せる内容だと思うけど?」
と呟いたら、
「ファッション誌ね?
そういうのは、結構廃刊してるわよ?」
「男性の数が少ないから、ファッションにお金を掛ける人も減ってるのよね?
だから、普通の週刊誌が、ファッション誌の真似事をしてるのよ……」
暗く笑う2人。
やっぱり、男性不足の影響は深刻そうだ。
男性向け雑誌だけじゃなくて、ファッション誌も煽り食らってるらしい。
そこに進出してくる一般週刊誌、……違うか。
ファッション誌がないから、代わりに流行を生み出そうと必死な気がする。
そういえば、明治時代とかに発売されてたこの手の雑誌は、ファッションについても描かてれたんだっけ?
「……ああ、迷宮探索者養成学校の記事がある。
今年の春からか……」
とにかく、これも女性陣へのダメージが入りそうなので、話を逸らそうとしてちょうど良い話題があった。
「来年から、此処に入って学生やり直しになる予定なんだよな……。
3年在籍で高卒相当として扱われるらしい!
これはありがたいな!」
努めて、明るく話す。
俺達にとってタイムリーな話題だったから。
「そうなんだ。
順当に行けば、私達も美尾くんに同行して入学だから、卒業資格を得られるかしらね?」
「……そうね。
そのためにも、しっかり媚びを売っとかないと」
2人も冗談を返してくれる。
良かった。
話題変更成功だ。
「いっそのこと、私も美尾くんの愛人にでも、立候補しようかしら?」
……珍しいな。
夕蔓さんが、こんな冗談を言うなんて、
「嬉しいけど、夕蔓さんなら俺なんかよりも良い人と縁が出来るって……」
言ってから気付いた。
これ、ダメなヤツだ。
今のご時世、男との縁を得るのがどんだけ難しいか……。
予想通り、夕蔓さんが再び暗い顔に。
浜名さんも抗議の視線を向けてくる。
「ごめん、悪気はなくて……」
「大丈夫……。
けど、美尾くんは私に良い結婚相手が出来ると言ったわよね?
それを信じて、誰にも相手にされなかったら、どう責任を取ってくれるかしら?」
不思議だ。
夕蔓さんってこんな人だったっけ?
妙に積極的と言うか……。
やはり、夕蔓さんみたいな真面目なタイプでも、結婚とかに強く惹かれるほど男女比の差は、意識の変化に大きな影響をもたらした。
……一瞬、悲しそうな琥珀と紅葉の顔が脳裏に浮かぶ。
「俺じゃあ大して役に立てないけど、せめて生活が安定するように、護衛の雇用を無期限にするとか?」
それくらいしか思い付かない。
多分、漫画とかにあるように、女性の多くは人工授精で、子供を造る世界にシフトしていくんだろうから、ひとり親でも子供数人を育てられるように、雇用を安定させ……。
「……」
「……ないよ。
晴彦くん、それはないよ?
眞緒ちゃんなりに、頑張って誘惑してるよ?
これ?
なのに、生活を保障しますはないよ?」
無言で沈黙した夕蔓さんに代わり、隣の浜名さんがクレームを入れる。
だってな……。
「いやさ、男が少ない世界になったからって、俺なんかがモテるわけないだろ?
多分、夕蔓さんは俺に触られるのだって、あまり嬉しくは……」
ガバッと何かが口を塞いだ。
目の前には、真剣な表情の夕蔓さんの瞳。
「……私は晴彦くんに触れるの嫌じゃないよ?
だから、こういうことも出来る。
大災害の前から、ずっと好きだったの。
大柳さんが羨ましくて、仕方がなかった。
雛菊さんがチャンスをくれて本当に嬉しかったんだ。
……晴彦くんは、私のことをどう思っている?」
「……」
……言葉が出なかった。
俺なんかがモテるわけないと思っていたし、むしろ、クラスメイトとして認識していてくれたことが嬉しかったほどなんだぞ?
「……急にごめんなさい。
晴彦くんは、私のことを意識したこともなかったよね?」
「……こっちこそ、ごめん。
夕蔓さんが、俺なんかを好きになってくれたことに驚いて……」
本当に驚いた。
俺みたいなヤツを好きになってくれる人がいるなんて……。
「いやさぁ?
晴彦くんは意外に人気あったよ?
困ってる仕事やいやな仕事は、率先してやってくれてたよね?
小太りとは言え、清潔感はあったし……。
大柳さんが、結構ガチで牽制してたんだけど、気付かなかった?」
「いやな仕事って、俺でもクラスメイトの役に立ちたいからだし、清潔感は病弱だったから、少しでも病気を防ぐためだったんだけど……」
浜名さんの意外な言葉に戸惑う。
それと、
「大柳さんの牽制って?」
と言うのが気になった。
どちらかと言うと、大人しい感じだったけど……。
「眞緒ちゃんとか、同じ中学の子に訊いて回ってたのよ。
能義晴彦くんの趣味趣向は? って。
ハイライト消えた目でね……」
眞緒ちゃんの横で観てたけど、あれは怖かったよ? 等と笑う浜名さん。
……意外だった。
大柳さんはどちらかと言うと引っ込み思案な性格のように思っていたのだけど……。
イタッ!
急に首筋に痛みが、何が?
って、なったよ。
「晴彦くん?
今、大柳さんのこと考えるのは、ダメだよ?
優歌と話すのは許してあげるけど?」
口から血を流す夕蔓さん。
どうやら、彼女が噛みついた痛みだったらしい。
血が出るほどの噛み付きですか。
「雛菊さんと話していて思ったんだけど、晴彦くんって、少し矯正が必要だよね?
……大丈夫。
私、中学までトレーナー志望だったんだ。
そういうのは得意だから……」
なんか、怖いこと言ってらっしゃるのですが?
「晴彦くん、いいえ晴彦。
私、しばらく晴彦がダメなことしたらキスするから」
はい?
何がしたいの?
ダメなことしたら、叱るものだろ?
夕蔓さん家ではそういう教育方針ですか?
「多分、美尾くんの一番の欠点は、自己肯定感の低さだと、眞緒ちゃんなりに考えた結果な気がするよ……。
うん……」
浜名さんへ視線で助けを求めると、微妙な顔で、注釈が入る。
「そして、良いことが出来たら、ご褒美にキスしてあげる」
「あ、これ、眞緒ちゃんがキスしたいだけな気がする……」
俺もそう思った。
どうやら、夕蔓さんは本当に俺のことが好きだったらしい。
……力ずくで愛情表現されるのってこんな感じなのだろうか?
殆ど、新幹線ね?」
「そうね……。
大災害前は、新幹線片道3,400円くらいだったから大正解ね。
在来線だと、1,300円くらいかしら?」
在来線の1角を占拠。
ボックス席にして、荷物と男女3人で乗り込んだ俺達。
3人を代表して切符を購入した夕蔓さんが、眉を潜めていたので、気になったらしい浜名さんが、訪ねた結果だ。
「……やっぱり、大災害の影響かな?
まさか、こんなに物価が上がっているなんて……」
雛菊が、俺にお使いを頼んだのは、こういうことを体験させたかった?
……あり得るかもしれない。
「物価とは違うと思うわよ?
この雑誌、500円で買えたわ。
昔と変わらない値段だと思わない?」
俺の呟きに答えた夕蔓さんが、差し出してきたのは、コンビニでよく見掛けた週刊誌の類い。
特別、ページ数が少ない印象はない。
「これが、特別号とかそういう可能性はない?」
「……ないわね。
多分だけど、乗客が少ないのが原因じゃないかしら?」
夕蔓さんの言葉に、周りを見回してみたが、確かに俺達以外の乗客はいない。
「……。
電車の運行数もかなり絞っているみたいね?」
浜名さんのスマホ越しに、今乗っている在来線の時刻表を見る。
朝7時~9時、夕方15時~20時は、時間4便が運行している。
対して、それ以外の時間は2時間に1本程度の便数。
うちの地元のバスかよ。
「……2時間1本で、この乗客数?
相当、乗客数が少ないみたいね?」
「だから、これくらいの運賃じゃないと対応できないのか……」
……人の移動が少なすぎる。
本当に公共交通機関が麻痺する寸前みたい。
「……早めに免許取りましょう。
それか、運転手を雇う必要があると、雛菊さんへ進言するべきかしら?」
「私も免許が欲しいわ。
早めに取らないと、身動き出来ないことになるわね……」
浜名さん、夕蔓さんが決意する。
……そうだよな。
「俺も免許を……」
「必要ないわね」
「そうよ。
1人で移動なんて、金輪際ないわ。
よって、免許は不要よ」
取ろうと言い掛けたら、ガンガンに圧を掛けられて止められた。
……まあ、雛菊とかが心配するかもしれないしな。
「はい……」
美女2人に詰められたけど、眼力が強くて全然嬉しくない。
……うん。
この雑誌に逃げよう。
手元にあった雑誌を開きつつ、
「これ読んでも良いかな?
少し気になるページがあるんだよ……」
等と言って、話を逸らす。
「道中の暇潰しだから、問題ないわよ?
適当に数冊買ったやつだもの」
「昔ならスマホのゲームや動画配信でも、観てれば時間潰せたんだけどね?」
夕蔓さんの許可を貰って、読もうかとしたら、浜名さんが要らんことを言う。
このパターンは、
「優歌!
私達は、護衛だって自覚が足りないわよ!」
案の定、カミナリ案件になる。
「ごめんなさい」
まあ、ガラガラの公共交通機関ってことは、かなり安全が確保されているようなものだからな。
浜名さんが気を抜くのもしょうがない。
「本当に、自覚が足りないのだから……」
「まあまあ、そう怒らないで、夕蔓さんも少し気を抜こう?
今から、それじゃあ疲れてしまうよ?」
かなり怒り心頭モードの夕蔓さんを宥める。
目的地まではさほど遠くないけど、それから半月は、この3人で行動なのだから、少し気を抜くくらいで良いと思う。
「……そうね」
「だろう?
……?」
……訳が分からないよ。
雑誌の表紙を確認する。
うん、昔からある週刊誌だ。
やや女性向けではあるけど、社会ニュースとかも普通に載ってるタイプの……。
「男性に受ける秘訣?
異性の目を引くファッション?
……ファッション誌みたいなラインナップだな。
占いとかは昔からあったけど……」
「……まあ、今の女性の関心ってそこが一番大きいから」
目次を見て首を傾げる俺に、苦笑する浜名さん。
正直、
「それにしても、ファッション誌とかで載せる内容だと思うけど?」
と呟いたら、
「ファッション誌ね?
そういうのは、結構廃刊してるわよ?」
「男性の数が少ないから、ファッションにお金を掛ける人も減ってるのよね?
だから、普通の週刊誌が、ファッション誌の真似事をしてるのよ……」
暗く笑う2人。
やっぱり、男性不足の影響は深刻そうだ。
男性向け雑誌だけじゃなくて、ファッション誌も煽り食らってるらしい。
そこに進出してくる一般週刊誌、……違うか。
ファッション誌がないから、代わりに流行を生み出そうと必死な気がする。
そういえば、明治時代とかに発売されてたこの手の雑誌は、ファッションについても描かてれたんだっけ?
「……ああ、迷宮探索者養成学校の記事がある。
今年の春からか……」
とにかく、これも女性陣へのダメージが入りそうなので、話を逸らそうとしてちょうど良い話題があった。
「来年から、此処に入って学生やり直しになる予定なんだよな……。
3年在籍で高卒相当として扱われるらしい!
これはありがたいな!」
努めて、明るく話す。
俺達にとってタイムリーな話題だったから。
「そうなんだ。
順当に行けば、私達も美尾くんに同行して入学だから、卒業資格を得られるかしらね?」
「……そうね。
そのためにも、しっかり媚びを売っとかないと」
2人も冗談を返してくれる。
良かった。
話題変更成功だ。
「いっそのこと、私も美尾くんの愛人にでも、立候補しようかしら?」
……珍しいな。
夕蔓さんが、こんな冗談を言うなんて、
「嬉しいけど、夕蔓さんなら俺なんかよりも良い人と縁が出来るって……」
言ってから気付いた。
これ、ダメなヤツだ。
今のご時世、男との縁を得るのがどんだけ難しいか……。
予想通り、夕蔓さんが再び暗い顔に。
浜名さんも抗議の視線を向けてくる。
「ごめん、悪気はなくて……」
「大丈夫……。
けど、美尾くんは私に良い結婚相手が出来ると言ったわよね?
それを信じて、誰にも相手にされなかったら、どう責任を取ってくれるかしら?」
不思議だ。
夕蔓さんってこんな人だったっけ?
妙に積極的と言うか……。
やはり、夕蔓さんみたいな真面目なタイプでも、結婚とかに強く惹かれるほど男女比の差は、意識の変化に大きな影響をもたらした。
……一瞬、悲しそうな琥珀と紅葉の顔が脳裏に浮かぶ。
「俺じゃあ大して役に立てないけど、せめて生活が安定するように、護衛の雇用を無期限にするとか?」
それくらいしか思い付かない。
多分、漫画とかにあるように、女性の多くは人工授精で、子供を造る世界にシフトしていくんだろうから、ひとり親でも子供数人を育てられるように、雇用を安定させ……。
「……」
「……ないよ。
晴彦くん、それはないよ?
眞緒ちゃんなりに、頑張って誘惑してるよ?
これ?
なのに、生活を保障しますはないよ?」
無言で沈黙した夕蔓さんに代わり、隣の浜名さんがクレームを入れる。
だってな……。
「いやさ、男が少ない世界になったからって、俺なんかがモテるわけないだろ?
多分、夕蔓さんは俺に触られるのだって、あまり嬉しくは……」
ガバッと何かが口を塞いだ。
目の前には、真剣な表情の夕蔓さんの瞳。
「……私は晴彦くんに触れるの嫌じゃないよ?
だから、こういうことも出来る。
大災害の前から、ずっと好きだったの。
大柳さんが羨ましくて、仕方がなかった。
雛菊さんがチャンスをくれて本当に嬉しかったんだ。
……晴彦くんは、私のことをどう思っている?」
「……」
……言葉が出なかった。
俺なんかがモテるわけないと思っていたし、むしろ、クラスメイトとして認識していてくれたことが嬉しかったほどなんだぞ?
「……急にごめんなさい。
晴彦くんは、私のことを意識したこともなかったよね?」
「……こっちこそ、ごめん。
夕蔓さんが、俺なんかを好きになってくれたことに驚いて……」
本当に驚いた。
俺みたいなヤツを好きになってくれる人がいるなんて……。
「いやさぁ?
晴彦くんは意外に人気あったよ?
困ってる仕事やいやな仕事は、率先してやってくれてたよね?
小太りとは言え、清潔感はあったし……。
大柳さんが、結構ガチで牽制してたんだけど、気付かなかった?」
「いやな仕事って、俺でもクラスメイトの役に立ちたいからだし、清潔感は病弱だったから、少しでも病気を防ぐためだったんだけど……」
浜名さんの意外な言葉に戸惑う。
それと、
「大柳さんの牽制って?」
と言うのが気になった。
どちらかと言うと、大人しい感じだったけど……。
「眞緒ちゃんとか、同じ中学の子に訊いて回ってたのよ。
能義晴彦くんの趣味趣向は? って。
ハイライト消えた目でね……」
眞緒ちゃんの横で観てたけど、あれは怖かったよ? 等と笑う浜名さん。
……意外だった。
大柳さんはどちらかと言うと引っ込み思案な性格のように思っていたのだけど……。
イタッ!
急に首筋に痛みが、何が?
って、なったよ。
「晴彦くん?
今、大柳さんのこと考えるのは、ダメだよ?
優歌と話すのは許してあげるけど?」
口から血を流す夕蔓さん。
どうやら、彼女が噛みついた痛みだったらしい。
血が出るほどの噛み付きですか。
「雛菊さんと話していて思ったんだけど、晴彦くんって、少し矯正が必要だよね?
……大丈夫。
私、中学までトレーナー志望だったんだ。
そういうのは得意だから……」
なんか、怖いこと言ってらっしゃるのですが?
「晴彦くん、いいえ晴彦。
私、しばらく晴彦がダメなことしたらキスするから」
はい?
何がしたいの?
ダメなことしたら、叱るものだろ?
夕蔓さん家ではそういう教育方針ですか?
「多分、美尾くんの一番の欠点は、自己肯定感の低さだと、眞緒ちゃんなりに考えた結果な気がするよ……。
うん……」
浜名さんへ視線で助けを求めると、微妙な顔で、注釈が入る。
「そして、良いことが出来たら、ご褒美にキスしてあげる」
「あ、これ、眞緒ちゃんがキスしたいだけな気がする……」
俺もそう思った。
どうやら、夕蔓さんは本当に俺のことが好きだったらしい。
……力ずくで愛情表現されるのってこんな感じなのだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる