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地上での生活
第83話 莧と合流
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「……何て言えば良いんだろうね?」
電車を乗り継ぎ、高い運賃を払ってやってきた石山駅で、5日振りに再会した莧の第一声である。
そりゃ困惑するだろうさ。
俺に護衛を付けて送るって、伝えられたはずなのに、いざ会ってみれば、護衛の1人が左手を抱き込んでいればね……。
「……まあ、良いか。
さて、後ろに乗ってくれるかい?
荷物は、後部座席へ積もう」
そう言って、ロータリーに停められた車を示す。
結構高額なミニバンタイプの車。
「……莧が運転するのか?」
ざっと見た感じ、運転手の影は見えない。
「そうだよ?
僕自身は、自衛隊と別行動も多いからね?
車を買ったんだ。
正直、走った方が早いけど荷物を載せれる点は、こっちが便利かな?」
「……そうか」
本性、猪の魔物だもんな。
普通の猪が時速60キロくらい出すんだから、彼女が車より早くても不思議じゃないか……。
ただ、
「ダンジョンから外出て5日だよね?
……免許は?」
「もちろん、持っているよ」
どうやってだよ!
大災害前は、コンビニとかで運転免許最短20日とか良く見たぞ?
「本当だよ。
教本は丸暗記して、実技は仲良くなった自衛隊員に教わった。
後は、認定試験をして貰って、1日で取得さ」
「能力とコネをフル活用してる……。
何で君らは、俺よりも現代社会に馴染んでんだ?」
本当にこれ。
雛菊と良い、莧と良い。
高スペック連中は本当に理不尽だと思う。
「まあ、働いてると自然とこうなるのさ。
僕が個別行動できた方が、利益が大きいから余計にね」
莧の実力なら、魔物に遅れを取ることはないわけだし、案内役を付けるよりカーナビで移動してくれで済ませた方が良いか……。
「利害の一致ってヤツだな。
車は?」
「安売りの中古車だね。
エンジン部分を魔素動力に改造させて貰ったけど。
ガソリンとか買ってられないよ……。
雛菊のヤツ、ガソリンは経費に認めないって言ってきたんだ」
魔素動力……。
何でもありだな、コイツら。
「さあ、好きな席に乗ってくれ」
呆れる俺を余所に、車内へ促す莧。
2列目シートの真ん中に乗せられる俺へ、
「今日のところは、ホテルで荷解きをすると良い」
エンジンを掛けながら説明する莧。
「それでだ。
せっかく来て貰って申し訳ないけど、晴彦の出来る仕事はないんだ。
まあ、元々手紙を渡しにきたんだろ?
滞在地は琵琶湖湖畔のホテルだし、観光でもすると良い」
「観光で半月とか、そんなに観るものあるの?」
日本最大の淡水湖の湖畔だけに、大災害以前はレジャー施設は沢山あった。
けれども、人口激減と男女比不均衡がレジャー施設へ、もたらした被害は相当だろう。
これが、十数年後とかならある程度、レジャーも一新してるかもしれないけど、今はな……。
「人間ってのは、逞しいと思うよ?
需要が変動したなりに、新しい娯楽を作るものさ。
……ただし、京都方面は近付かないように!」
「京都?」
「大津から、山1つ越えれば、京都の……。
山科辺りね?」
莧の言葉に首をかしげる俺へ、スマホを見ながら、解説をしてくれる浜名さん。
「意外と京都って近いんだね?
それで、何で京都方面に近付くなと?」
「簡単な話さ。
京都には、色んな妖怪の話が多い。
鞍馬天狗とか、酒呑童子ってのもあるかな?」
まあ、それは確かに……。
けれど千年の都とも呼ばれる土地だし、
「人が集まれば、そういう怖い話は自然と生まれるものだと思うけど?」
「そうだね。
だけど、平安京で悪さをしていた大妖怪が身内にいるわけだよ?
他の妖怪も、ダンジョンや古代兵器関係でないとは限らないだろう?」
……確かに。
うちに元玉藻の前がいたよ。
ソイツは退治されるどころか、ピンピンしていた。
他の妖怪も退治された振りで潜伏しているのかも?
「……急なことで人手不足だからね。
僕が一緒にいる間は、滅多なことはないと思うけど、警戒は大事だよ」
「……そうだね」
人相手ならともかく、魔物相手じゃ浜名さん達には荷が重い。
多分、赤青天狐を持つ俺が最高戦力だ。
「色々と厄介だよ。
こんな形で、彼女が離脱するとは思わなかった。
群れ意識が強いはずだったんだけどね?」
「……群れ意識が強いからじゃないかな?
公平性に欠けるように見えたんだとさ……」
別れ際に言われたのが、
『贔屓ばかりの晴彦のところではやっていけないですの!』
だったからな。
「それが分からないんだ。
彼女にとっては身内の雛菊と他人の琥珀。
何故、琥珀を身内に認定したんだろう?」
「……知らない」
俺が知りたいくらい訳が分からない。
「……まあそうだろうね。
晴彦を傷付けるつもりじゃなかった。
単純に、怖いなと思ったんだよ。
実験都市防衛機構の一部だった僕らが、そんなガバガバの敵味方識別なはずはない。
となると、人の形を得たことで、既に狂ってるかもしれない」
「アプリのアップデートトラブルみたいな感じ?」
アップデートで、新機能を追加した際に、従来機能の一部が誤作動するなんてのは、ゲームアプリ等では良くあった話。
何ヵ月も前から、練りに練ったはずのアプリでも起こるそれが、突貫工事のように変質させられた莧達に起こっても不思議じゃないかも……。
「……そうだね。
だから、僕や茨が変な行動をしたら、注意してほしい。
仲間として信用しても、盲目的に信頼はしない方が良い」
「……うん」
これはアレだ。
莧本人が自分を信用していない。
紅葉の言動に凹んでいるのは、俺だけじゃなかった。
……少しだけ、安心した。
仲間がいると思っただけで、これなんて。
少し現金かもしれないけど……。
電車を乗り継ぎ、高い運賃を払ってやってきた石山駅で、5日振りに再会した莧の第一声である。
そりゃ困惑するだろうさ。
俺に護衛を付けて送るって、伝えられたはずなのに、いざ会ってみれば、護衛の1人が左手を抱き込んでいればね……。
「……まあ、良いか。
さて、後ろに乗ってくれるかい?
荷物は、後部座席へ積もう」
そう言って、ロータリーに停められた車を示す。
結構高額なミニバンタイプの車。
「……莧が運転するのか?」
ざっと見た感じ、運転手の影は見えない。
「そうだよ?
僕自身は、自衛隊と別行動も多いからね?
車を買ったんだ。
正直、走った方が早いけど荷物を載せれる点は、こっちが便利かな?」
「……そうか」
本性、猪の魔物だもんな。
普通の猪が時速60キロくらい出すんだから、彼女が車より早くても不思議じゃないか……。
ただ、
「ダンジョンから外出て5日だよね?
……免許は?」
「もちろん、持っているよ」
どうやってだよ!
大災害前は、コンビニとかで運転免許最短20日とか良く見たぞ?
「本当だよ。
教本は丸暗記して、実技は仲良くなった自衛隊員に教わった。
後は、認定試験をして貰って、1日で取得さ」
「能力とコネをフル活用してる……。
何で君らは、俺よりも現代社会に馴染んでんだ?」
本当にこれ。
雛菊と良い、莧と良い。
高スペック連中は本当に理不尽だと思う。
「まあ、働いてると自然とこうなるのさ。
僕が個別行動できた方が、利益が大きいから余計にね」
莧の実力なら、魔物に遅れを取ることはないわけだし、案内役を付けるよりカーナビで移動してくれで済ませた方が良いか……。
「利害の一致ってヤツだな。
車は?」
「安売りの中古車だね。
エンジン部分を魔素動力に改造させて貰ったけど。
ガソリンとか買ってられないよ……。
雛菊のヤツ、ガソリンは経費に認めないって言ってきたんだ」
魔素動力……。
何でもありだな、コイツら。
「さあ、好きな席に乗ってくれ」
呆れる俺を余所に、車内へ促す莧。
2列目シートの真ん中に乗せられる俺へ、
「今日のところは、ホテルで荷解きをすると良い」
エンジンを掛けながら説明する莧。
「それでだ。
せっかく来て貰って申し訳ないけど、晴彦の出来る仕事はないんだ。
まあ、元々手紙を渡しにきたんだろ?
滞在地は琵琶湖湖畔のホテルだし、観光でもすると良い」
「観光で半月とか、そんなに観るものあるの?」
日本最大の淡水湖の湖畔だけに、大災害以前はレジャー施設は沢山あった。
けれども、人口激減と男女比不均衡がレジャー施設へ、もたらした被害は相当だろう。
これが、十数年後とかならある程度、レジャーも一新してるかもしれないけど、今はな……。
「人間ってのは、逞しいと思うよ?
需要が変動したなりに、新しい娯楽を作るものさ。
……ただし、京都方面は近付かないように!」
「京都?」
「大津から、山1つ越えれば、京都の……。
山科辺りね?」
莧の言葉に首をかしげる俺へ、スマホを見ながら、解説をしてくれる浜名さん。
「意外と京都って近いんだね?
それで、何で京都方面に近付くなと?」
「簡単な話さ。
京都には、色んな妖怪の話が多い。
鞍馬天狗とか、酒呑童子ってのもあるかな?」
まあ、それは確かに……。
けれど千年の都とも呼ばれる土地だし、
「人が集まれば、そういう怖い話は自然と生まれるものだと思うけど?」
「そうだね。
だけど、平安京で悪さをしていた大妖怪が身内にいるわけだよ?
他の妖怪も、ダンジョンや古代兵器関係でないとは限らないだろう?」
……確かに。
うちに元玉藻の前がいたよ。
ソイツは退治されるどころか、ピンピンしていた。
他の妖怪も退治された振りで潜伏しているのかも?
「……急なことで人手不足だからね。
僕が一緒にいる間は、滅多なことはないと思うけど、警戒は大事だよ」
「……そうだね」
人相手ならともかく、魔物相手じゃ浜名さん達には荷が重い。
多分、赤青天狐を持つ俺が最高戦力だ。
「色々と厄介だよ。
こんな形で、彼女が離脱するとは思わなかった。
群れ意識が強いはずだったんだけどね?」
「……群れ意識が強いからじゃないかな?
公平性に欠けるように見えたんだとさ……」
別れ際に言われたのが、
『贔屓ばかりの晴彦のところではやっていけないですの!』
だったからな。
「それが分からないんだ。
彼女にとっては身内の雛菊と他人の琥珀。
何故、琥珀を身内に認定したんだろう?」
「……知らない」
俺が知りたいくらい訳が分からない。
「……まあそうだろうね。
晴彦を傷付けるつもりじゃなかった。
単純に、怖いなと思ったんだよ。
実験都市防衛機構の一部だった僕らが、そんなガバガバの敵味方識別なはずはない。
となると、人の形を得たことで、既に狂ってるかもしれない」
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アップデートで、新機能を追加した際に、従来機能の一部が誤作動するなんてのは、ゲームアプリ等では良くあった話。
何ヵ月も前から、練りに練ったはずのアプリでも起こるそれが、突貫工事のように変質させられた莧達に起こっても不思議じゃないかも……。
「……そうだね。
だから、僕や茨が変な行動をしたら、注意してほしい。
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