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地上での生活
第86話 一路、伏見へ……
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人生で初めての空の旅が飛行機じゃなくて、狐になるとは思わなかった。
『このまま、伏見稲荷まで行くえ?
直ぐやさかい、もうしばらく辛抱してや』
目的地は、伏見稲荷らしい。
千本鳥居で有名なあれだ。
『あそこなら、あんたの強烈な匂いも誤魔化せるやろ。
あそこへ身を寄せるで』
確かに、視界の下の方に、妙に赤い場所が見えた。
しかし、降り立ったのは、鳥居のあった場所の反対、東側の中腹付近。
『ここに、結界があるんよ。
京の都にある妖狐の隠れ家や』
「妖狐の……。
ごめん、少し電話しても?」
伏せ状態の璞蔵主さんから降りて、スマホを取り出す。
「頼むわ。
あてを含め、この隠れ家を利用しとるんわ、そこまで力が強い奴やないからな。
誤解されて、大物に突撃されたらかなわんわ」
その言葉で、最優先に連絡する相手が、莧であると認識する。
彼女の電話番号へ発信すると、
『晴彦かい?
すまなかったね。
まさか、琵琶湖の西湖畔近くに、ダンジョンがあるとは思わなかったよ』
ワンコールで出ると同時に、謝罪が入る。
この様子だと、俺が拐われたと騒いでいるわけではなさそうだ。
「良かったよ。
誤解から争いになったらと心配したんだ……」
『ないない。
狐の妖怪で、九尾の狐に喧嘩を売る奴はいないと、こっちに弁明しに来てくれた子達がいるしね』
良かった。
誤解から無駄な争いになる、ベタなパターンに発展しなくて……。
『それでこっちの状況だけど、全員無事。
物的被害も殆どないよ。
晴彦が逃げてくれたお陰だね』
「そう。
安心したよ。
そこに夕蔓さん達がいるなら、代わってもらっても?」
莧の言い回し的に、俺達が宿泊したホテルへ急行してくれたみたいだし、多分いるはずだと思う。
『良いよ。
夕蔓さん、代わって?』
『晴彦、無事?
ごめんなさい。
何の役にも立てなくて……』
矢継ぎ早に、夕蔓さんから謝罪を受ける。
けれど、
「そんなことはないよ。
元々、2人は一般女性から守ってもらうための護衛だろ?
魔物相手なら、俺の方が適役だから……」
『でも……』
「本当に気にしないで」
今回は本当に色々な偶然によるもの。
敢えて言うなら、
「俺が不用意に身体強化を使っていたのが原因だよ。
俺の方こそ、危険な目に遭わせてごめん」
『そんなこと……』
『良いかな?
お互いに自分を責めても不毛だろ?
それよりもこれからのことだけどね?
2人は荷物を持たせて僕がそっちまで送るよ。
下手な騒動に巻き込まれるわけに行かないだろうし……』
莧からの今後に対する提案。
確かに、これ以上の自責は無駄だな。
そして、2人を送ってくれると言うのは心強いけど、その分、莧の仕事が遅れると言うことでもあるんだよな……。
つくづく、紅葉が抜けた穴が大きい。
「ごめん、助かるよ」
『気にしないでくれ、どうせ今回襲撃してきた鬼達の出所が分からないと、施設設置は進まない』
手間を掛ける結果になったことを謝ったが、どうせ、一時中断だと笑われた。
しかし、
『ただね?
これさ? 雛菊の策略じゃないよね?』
「どういうこと?」
急に懸念を口にする莧。
『晴彦を僕の所に来るように仕向けたのは、雛菊だろう?
琵琶湖の未発見ダンジョン付近にいる僕の所に……。
京都付近を根城にしていたあいつが、このダンジョンの存在を知らなかったと思うかい?』
「……動機は?」
『地上での魔素変換施設設置を遅らせれば、僕らの拠点からの供給が重要になる。
……十分だと思うけど?』
……確かに。
けれど、紅葉が抜けて護衛なしの俺を危険地帯に、投げ込むような真似をするだろうか?
「……なんとなく、うっかりやらかした気がするんだけど?」
『……まあ雛菊だしね』
紅葉がいないことを忘れていても不思議じゃない。
そう思って答えると苦笑の空気が伝わってくる。
そもそも、
「雛菊からしたら、ダンジョンの小鬼なんてただの雑魚だし……。
何処から来たかなんて気にもしてない可能性がある……」
『……ああ、ありそうだね。
まあ、こっちも急いでいくから、妖狐の皆さんに迷惑掛けないようにね?』
「ひどい言われようだ」
まるで、俺が頻繁にトラブルを起こすみたいな言い方だと、抗議したら電話の向こうからは苦笑するような空気。
「……お待たせ、中に案内してくれるかい?」
「そやね。
付いてきてや」
イラッとして、直ぐに通話をOFFにする。
こちらを待っていてくれた璞蔵主さんに、連絡が終わったことを伝えると、近くの石から魔素を流す。
その魔素は地面に魔法陣のように広がるのが見えた。
「こっちやで」
魔法陣の中央に歩き出す璞蔵主さんに付いていくと、白い光で視界が覆い尽くされるのだった。
『このまま、伏見稲荷まで行くえ?
直ぐやさかい、もうしばらく辛抱してや』
目的地は、伏見稲荷らしい。
千本鳥居で有名なあれだ。
『あそこなら、あんたの強烈な匂いも誤魔化せるやろ。
あそこへ身を寄せるで』
確かに、視界の下の方に、妙に赤い場所が見えた。
しかし、降り立ったのは、鳥居のあった場所の反対、東側の中腹付近。
『ここに、結界があるんよ。
京の都にある妖狐の隠れ家や』
「妖狐の……。
ごめん、少し電話しても?」
伏せ状態の璞蔵主さんから降りて、スマホを取り出す。
「頼むわ。
あてを含め、この隠れ家を利用しとるんわ、そこまで力が強い奴やないからな。
誤解されて、大物に突撃されたらかなわんわ」
その言葉で、最優先に連絡する相手が、莧であると認識する。
彼女の電話番号へ発信すると、
『晴彦かい?
すまなかったね。
まさか、琵琶湖の西湖畔近くに、ダンジョンがあるとは思わなかったよ』
ワンコールで出ると同時に、謝罪が入る。
この様子だと、俺が拐われたと騒いでいるわけではなさそうだ。
「良かったよ。
誤解から争いになったらと心配したんだ……」
『ないない。
狐の妖怪で、九尾の狐に喧嘩を売る奴はいないと、こっちに弁明しに来てくれた子達がいるしね』
良かった。
誤解から無駄な争いになる、ベタなパターンに発展しなくて……。
『それでこっちの状況だけど、全員無事。
物的被害も殆どないよ。
晴彦が逃げてくれたお陰だね』
「そう。
安心したよ。
そこに夕蔓さん達がいるなら、代わってもらっても?」
莧の言い回し的に、俺達が宿泊したホテルへ急行してくれたみたいだし、多分いるはずだと思う。
『良いよ。
夕蔓さん、代わって?』
『晴彦、無事?
ごめんなさい。
何の役にも立てなくて……』
矢継ぎ早に、夕蔓さんから謝罪を受ける。
けれど、
「そんなことはないよ。
元々、2人は一般女性から守ってもらうための護衛だろ?
魔物相手なら、俺の方が適役だから……」
『でも……』
「本当に気にしないで」
今回は本当に色々な偶然によるもの。
敢えて言うなら、
「俺が不用意に身体強化を使っていたのが原因だよ。
俺の方こそ、危険な目に遭わせてごめん」
『そんなこと……』
『良いかな?
お互いに自分を責めても不毛だろ?
それよりもこれからのことだけどね?
2人は荷物を持たせて僕がそっちまで送るよ。
下手な騒動に巻き込まれるわけに行かないだろうし……』
莧からの今後に対する提案。
確かに、これ以上の自責は無駄だな。
そして、2人を送ってくれると言うのは心強いけど、その分、莧の仕事が遅れると言うことでもあるんだよな……。
つくづく、紅葉が抜けた穴が大きい。
「ごめん、助かるよ」
『気にしないでくれ、どうせ今回襲撃してきた鬼達の出所が分からないと、施設設置は進まない』
手間を掛ける結果になったことを謝ったが、どうせ、一時中断だと笑われた。
しかし、
『ただね?
これさ? 雛菊の策略じゃないよね?』
「どういうこと?」
急に懸念を口にする莧。
『晴彦を僕の所に来るように仕向けたのは、雛菊だろう?
琵琶湖の未発見ダンジョン付近にいる僕の所に……。
京都付近を根城にしていたあいつが、このダンジョンの存在を知らなかったと思うかい?』
「……動機は?」
『地上での魔素変換施設設置を遅らせれば、僕らの拠点からの供給が重要になる。
……十分だと思うけど?』
……確かに。
けれど、紅葉が抜けて護衛なしの俺を危険地帯に、投げ込むような真似をするだろうか?
「……なんとなく、うっかりやらかした気がするんだけど?」
『……まあ雛菊だしね』
紅葉がいないことを忘れていても不思議じゃない。
そう思って答えると苦笑の空気が伝わってくる。
そもそも、
「雛菊からしたら、ダンジョンの小鬼なんてただの雑魚だし……。
何処から来たかなんて気にもしてない可能性がある……」
『……ああ、ありそうだね。
まあ、こっちも急いでいくから、妖狐の皆さんに迷惑掛けないようにね?』
「ひどい言われようだ」
まるで、俺が頻繁にトラブルを起こすみたいな言い方だと、抗議したら電話の向こうからは苦笑するような空気。
「……お待たせ、中に案内してくれるかい?」
「そやね。
付いてきてや」
イラッとして、直ぐに通話をOFFにする。
こちらを待っていてくれた璞蔵主さんに、連絡が終わったことを伝えると、近くの石から魔素を流す。
その魔素は地面に魔法陣のように広がるのが見えた。
「こっちやで」
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