廻って異世界

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地上での生活

第90話 再合流

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 ミコトに、古い本を読んでもらって暇潰しをしていると、疲れた顔の3人が、やって来た。

「お疲れ、迷惑掛けたね」
「いや、こちらこそすまなかったね。
 あんな所に、迷宮があるとは思っていなかった」

 労いと謝罪を口にすれば、莧から逆に謝罪をされる。

「あれはしょうがないよ。
 それで、彼女を紹介しても良いかな?」
「そうね」
「気になっていたの」

 剣呑な視線の浜名さん達に冷や汗を掻きながら、膝の上に座るミコトの肩を叩くと、

「私はミコト。
 先ほど晴彦の使い魔になったの。
 よろしくね?」
 
 元気良く立ち上がって、挨拶をする。
 見た目は可愛い少女そのものである。

「……」
「……」
「……ごめん、俺もあまり詳しくないんだけど雛菊の旧友で、先ほどなし崩し的に契約することに、なったんだ」

 何故か、人間組2人の圧力がすごい。
 謝りつつ雛菊の旧友で、あることを前面に出す。
 うん、そうとしか言えない。
 ……雛菊のせいと言うことで矛を納めてくれないかな?

「能義家の子を見付けたから、挨拶に来たの。
 そしたら、暇だと騒いでいたから、少し遊んであげようとしたのよ?
 そしたら、物騒な武器を持ち出してきたもので、すっかり大怪我。
 その怪我を治療するために、契約を結んだのよ」

 すごい。
 改めて言葉にされると、情状酌量の余地がないくらい、俺が悪く聞こえる。

「美尾くん……」
「晴彦……」

 ……だよね。
 そりゃ、浜名さん達にも責められるよね?

「私が悪いのよ。
 晴彦だって、稀少な男ですもの。
 急に女性から声を掛けられたら、過剰に反応してもしょうがないわ」
「……」

 儚げな顔で、言うのは止めてもらえないかな?
 莧まで、冷たい視線を放ち出してるからさ。

「晴彦、ちょっとこっち……」

 手招きを始める夕蔓さんだけど、

「ごめん、急用を思い出した!」

 近付くとどうなるか知ってるので、バックステップで距離を取る。
 ……ラブコメの主人公とかって、何で自分から近付くんだろうな。

「まあ、こんな所でそんな恥ずかしい真似はね……」

 同じことに思い至ったであろう浜名さんが苦笑をするけど、

「だから、罰になるんじゃない!」
「少し自重しようよ!」

 夕蔓さんは開き直ったように胸を張る。
 浜名さんが、ツッコミをいれる。

「あなたと違って、この2人は人間よね?」
「ああ、この2人は晴彦の旧友で、ボディーガードをお願いしている子達さ。
 九尾の狐が選定した子だよ」
「あのタマちゃんがねぇ?」

 こっちの騒動を気にもしないで、話を進めるミコトと莧。
 そうだよ!

「とにかくタイム!
 2人も自己紹介をしようよ。
 はい、夕蔓さんから!」

 勢いのままに夕蔓さんを推す。
 彼女の律儀さに賭けたのだが、

「ちょっと!
 ……しょうがないわね。
 夕蔓眞緒です。
 よろしくお願いします」

 ……勝った。
 思った通り、夕蔓さんはミコトへの自己紹介を優先してくれた。

「……ははは、私は浜名優歌です。
 よろしくお願いしますね」

 続いて、苦笑しながら浜名さんが続く。
 これで話題が変わる。
 初対面の人の前で、空気が一変した状況から、強引に迫る胆力はないはずだ。

「……これでプラス一回、合計7回貯まってるから」

 なし崩しに出来ると思った俺だけど、夕蔓さんが怖いことを呟いてた。
 こんなことで律儀にならなくても……。

「ついでに僕も自己紹介させてもらおうかな?
 莧と言う猪笹王のキャラで、固定されてしまったけど、元は迷宮の魔物の1体だ」
「……タマちゃんの仕業ね?
 術式も良く出来てるから、問題はないと思うけど、違和感があったら私に相談して?」

 こっちは無視しての、ミコトと莧のやりとり。
 じっくり様子を確認しての太鼓判はありがたい。

「……ありがたい。
 ついでに晴彦を任せても?」
「私は大して強くないわよ?
 多分、あなた相手でも五分には届かない。
 それともあの2人を改造するとか?」

 感謝ついでに、俺の護衛を依頼する莧。
 まあ、別口の仕事を抱えているからな。
 けど、あの身体能力で莧相手には互角にならないのか……。

「改造?」
「私の本来の能力がそれだもの。
 体液を媒介に、人間を魔物化するの。
 大抵は、首とかに噛み付いて唾液を流し込むかしら?」

 莧が聞き返すとあっさり答えるミコト。
 まあ、訊いた本人は顔を歪ませるが……。

「単純に筋力を上げるものや寿命を延ばすもの、或いは変身能力を付与とかも出来るわ」
「……君が言う人と言うのは、創造主たる古代人だろう?
 そのうぅ。反逆にならないのか?」
「私は人の願いを叶えていくだけよ?
 罰で怪物に変えている訳じゃないもの」

 莧は生き物を改造と言う言葉に、少し引いている感じだ。
 彼女らは、セキュリティ的な存在だからか、敵の排除は気にしなくても、味方への危害は嫌がる節がある。

「まあ、本心ではなく他に選択肢がなかったヤツもいるでしょうけどね?
 それは相手のせいだわ」

 この言い方。
 多分、生活費がなくて開拓民になったような人もいたんだろうなと思う。
 浜名さんも同じ想像をしたのか、顔を歪ませている。

「……あの!
 例えばですけど、私が魔物と戦えるようになることも出来ます?」

 違った。
 妙に好戦的な感じだけど、何があったんだろうか。

「優歌ちゃんだっけ?
 ……魔物ってのがどれくらいを想定しているかだけど、不可能ではないと言う感じかな?
 筋密度を上げる肉体改造で、身体能力と体力スタミナを上げれば、小鬼数体と殴り合いくらいなら出来るようになるわね?
 武器がほしいところだけど……」
「……晴彦くんのようなですか?」

 赤青天狐のことかな。
 ……まあ、茨に言えば造ってくれそうだけど。

「あのふざけたハリセン?
 あんな要求呪力が、規格外の武器は無理よ。
 優歌ちゃんの呪力量的に、魔石を鍛えたナイフで限界かしらね?」
「……要求呪力ですか?」
「ええ、呪力武器ってのはモーターみたいなものよ?
 電源なしでは動かない。
 要求呪力が足りないと、触っただけで倦怠感で昏倒するわ」

 昏倒する?
 初耳なんだけど、茨のヤツ、そんなヤバいアイテムを?

「……」
「優歌ちゃんが魔物と戦うと言うのはお勧めできないわ。
 魔素量の増減は、私にも出来ないから。
 魔物との契約も難しいでしょうし……」

 ミコトの言葉に、辛そうに肩を落とす浜名さん。
 ……やっぱり、何かがあるんだろうな。

「……うむ。
 状況次第だけど、僕の手が空けば手助けくらいはしよう。
 晴彦も良いかな?」
「それはもちろんだけど……」

 浜名さんを助けるのは、異論ない。
 その前に赤青天狐のことを問い質しに行きたいとは思うけど……。

「……良いのかな?」
「……何かダメだった?」

 浜名さんの言葉に、首をかしげて莧達を見る。

「僕は構わないと思うけどね?」
「晴彦に異論がなければ、良いんじゃないかしら?」

 2人はあっさり同意しているし、

「うん、問題なさそうだよ?」

 そう言って、浜名さんへ笑い掛ける。
 何故か顔を赤らめるけど……。

「……合計8回ね?」

 何故か夕蔓さんに回数を増やされた気がするけど……。

「少し抜けているのかしら?」
「これくらいでちょうど良いだろ?」

 使い魔組には罵倒されてる気もするし、

「さて、ミコト。
 この辺りの魔物やダンジョンの情報をお願い出来るかい?
 それを元に今後の行動を決めていこう」

 明らかに話を逸らす莧。
 まあ、良いんだけどね……。
 俺も京都の情報とかは気になるところだし…
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