97 / 139
地上での生活
第94話 猪と狐の密談
しおりを挟む
「……良い感じね?
電車を使わせて正解だったわ」
「どこまで計画の内だったんだい?」
助手席に座る小さな狐が、クスクスと笑う様に、呆れた顔の莧。
「そうね。
……全部かしら?
電車を使えば、米原駅で乗り換えるでしょ?
璞蔵主の棲む勝楽寺が近いから、あのお人好しなら晴彦を気に掛けてくれると思ったのよ」
胡散臭い見た目に反して、律儀にホテルまで戻ってきて晴彦の居場所と、理由を説明してくれたお人好しの妖狐を思い出す莧。
「大津近郊のホテルに泊まれば、遅かれ早かれ近くのダンジョンから、魔物は出てくる。
璞蔵主がハルを守るなら、伏見の結界を使うしかないでしょ?」
良いように、掌で踊らされたらしいと理解する莧。
「やって来たのが、サニーだったのは意外だったわ。
グランと和解したのかしら?」
「グランとは?
ミコトも出していた名前だけど?」
「あなた達には鞍馬天狗の方が伝わりやすいかしら?
鞍馬山周辺を縄張りにしている元広域保安ユニットよ。
本体は、貴船神社の更に奥に設置されてる機械で、周囲に出張ってくるのは治安維持端末だけどね?」
器用に肩を竦めてみせる小狐に、やはり京都は魔境だと呆れ気味の莧。
「それで、ミコトが来たのを意外と言ったが、君は誰が来ると思ったんだい?」
「そうね?
候補は、3人。
1番可能性が高そうだと思ったのは、六合《りくごう》。
安倍晴明の式神をしていた私達の同類。
2番手は、貴人《きじん》。
同じく安倍晴明の式神をしていた同類だけど、こっちは晴明大好きだったから、直系筋と行動を共にしている可能性が高い。
1番可能性が低いと思ったのが、サニーこと大江御前、改めミコトね」
一応、候補にはあったわけだと納得する莧だったが、
「候補の2名が、安倍晴明縁の式神なのかい?」
「ああ、ハルは安倍晴明の傍系子孫なのよ。
正確には能義家がね?」
「なるほど、それで……。
その2名を挙げた理由は?」
安倍晴明十二天将と呼ばれるように、十二柱の式神がいたはずだが、その中の2体を挙げる雛菊に、質問を続ける莧。
「十二天将の中で私達の同類が、その2体なの。
後は、安倍晴明、六合、貴人の誰かが魔素を固めて作った疑似生命体」
「……なるほど。
ちなみに、雛菊的には誰が来ても問題なかったんだろう?」
そこまで考えていて、最後の詰めを誤るとも思えない莧。
「そうね。
六合も貴人も、眞緒を焚き付けると言う仕事はこなしてくれたでしょうね?
まあ、六合は男性の減った世の中を是正する目的、貴人は晴彦の子供を増やしたいだけと言う違いはあったでしょうけど」
「……」
類友かと肩を竦める莧。
そんなことを気にする雛菊ではないので、言うだけ徒労感が増すのだ。
「さて、大当たりを引くことが、出来たのはありがたいわ。
京都付近でサニー達敵に回すのはあまりいないだろうし、莧は手が空くわね?」
「……そうだね。
自衛隊には晴彦の護衛を優先すると言ってある。
僕達みたいに、盗聴器を仕掛けるような真似をしていなければ、大丈夫だと思う」
「心外ね?
盗聴器なんて付けていないわよ?
ただの護衛よ」
莧の言葉を心外だと、言い切る小狐。
「その割には、あの状況で助けなかったみたいだけど?」
あの眞緒の状況で、手を貸さずに護衛と言われても疑問だと考える莧だが、
「サニーのあれはハッタリよ。
すぐ近くに莧がいるし、第2陣は私が控えているのよ?
サニー1人なら逃げ切れるかもしれないけど、大江百鬼を抱えている以上は無理」
「本末転倒になるね?」
莧の言葉にそういうことと笑う小狐。
「真面目な話だけどね?
兵庫県のジュエルズサファイアの実家を探って欲しいわ」
「ジュエルズサファイア?
彼女が何かを?」
オタク女子で、大それた陰謀をするようにも思えなかったし、こちらにも友好的な女性だったはず。
雛菊は何に目を付けたといぶかしむが、
「ただの確認よ?
彼女の出身は、兵庫県の作用ってところだけどね?
芦屋道満の出身地が近いのよ」
「芦屋道満。
サファイアの本名は明兼寺満子だったっけ?
満子って古風な名前だなと思ったけど……」
彼女自身もその名でからかわれていたと証言していたので、今時のメジャーな名前ではないはずだった。
「で?
偉人の子孫集めゲームがしたい訳じゃないだろう?
目的は?」
「予想通りなら、近くにダンジョンがあるだろうと思うの。
未発見のダンジョンがね?」
芦屋道満、そして明兼寺満子の魔素適性を考えると、晴彦のようにダンジョンを追い出された古代人の末裔のケースがあり得る。
「目的はダンジョンかい?
古代人じゃなくて?」
「別に、私は古代人だの現代人だのとかれこれ言う輩じゃないの。
重要なのはハルかどうかだけだもの」
いい加減に子離れしなよ、と内心呆れつつも、
「ひとまず、調査するよ。
京都の北から山に入って、山中を迂回して作用へ向かおう」
「助かるわ」
猪の姿で、山中を全力で駆けれるのは楽しみな莧。
そんな様子に目を細める小狐だった。
電車を使わせて正解だったわ」
「どこまで計画の内だったんだい?」
助手席に座る小さな狐が、クスクスと笑う様に、呆れた顔の莧。
「そうね。
……全部かしら?
電車を使えば、米原駅で乗り換えるでしょ?
璞蔵主の棲む勝楽寺が近いから、あのお人好しなら晴彦を気に掛けてくれると思ったのよ」
胡散臭い見た目に反して、律儀にホテルまで戻ってきて晴彦の居場所と、理由を説明してくれたお人好しの妖狐を思い出す莧。
「大津近郊のホテルに泊まれば、遅かれ早かれ近くのダンジョンから、魔物は出てくる。
璞蔵主がハルを守るなら、伏見の結界を使うしかないでしょ?」
良いように、掌で踊らされたらしいと理解する莧。
「やって来たのが、サニーだったのは意外だったわ。
グランと和解したのかしら?」
「グランとは?
ミコトも出していた名前だけど?」
「あなた達には鞍馬天狗の方が伝わりやすいかしら?
鞍馬山周辺を縄張りにしている元広域保安ユニットよ。
本体は、貴船神社の更に奥に設置されてる機械で、周囲に出張ってくるのは治安維持端末だけどね?」
器用に肩を竦めてみせる小狐に、やはり京都は魔境だと呆れ気味の莧。
「それで、ミコトが来たのを意外と言ったが、君は誰が来ると思ったんだい?」
「そうね?
候補は、3人。
1番可能性が高そうだと思ったのは、六合《りくごう》。
安倍晴明の式神をしていた私達の同類。
2番手は、貴人《きじん》。
同じく安倍晴明の式神をしていた同類だけど、こっちは晴明大好きだったから、直系筋と行動を共にしている可能性が高い。
1番可能性が低いと思ったのが、サニーこと大江御前、改めミコトね」
一応、候補にはあったわけだと納得する莧だったが、
「候補の2名が、安倍晴明縁の式神なのかい?」
「ああ、ハルは安倍晴明の傍系子孫なのよ。
正確には能義家がね?」
「なるほど、それで……。
その2名を挙げた理由は?」
安倍晴明十二天将と呼ばれるように、十二柱の式神がいたはずだが、その中の2体を挙げる雛菊に、質問を続ける莧。
「十二天将の中で私達の同類が、その2体なの。
後は、安倍晴明、六合、貴人の誰かが魔素を固めて作った疑似生命体」
「……なるほど。
ちなみに、雛菊的には誰が来ても問題なかったんだろう?」
そこまで考えていて、最後の詰めを誤るとも思えない莧。
「そうね。
六合も貴人も、眞緒を焚き付けると言う仕事はこなしてくれたでしょうね?
まあ、六合は男性の減った世の中を是正する目的、貴人は晴彦の子供を増やしたいだけと言う違いはあったでしょうけど」
「……」
類友かと肩を竦める莧。
そんなことを気にする雛菊ではないので、言うだけ徒労感が増すのだ。
「さて、大当たりを引くことが、出来たのはありがたいわ。
京都付近でサニー達敵に回すのはあまりいないだろうし、莧は手が空くわね?」
「……そうだね。
自衛隊には晴彦の護衛を優先すると言ってある。
僕達みたいに、盗聴器を仕掛けるような真似をしていなければ、大丈夫だと思う」
「心外ね?
盗聴器なんて付けていないわよ?
ただの護衛よ」
莧の言葉を心外だと、言い切る小狐。
「その割には、あの状況で助けなかったみたいだけど?」
あの眞緒の状況で、手を貸さずに護衛と言われても疑問だと考える莧だが、
「サニーのあれはハッタリよ。
すぐ近くに莧がいるし、第2陣は私が控えているのよ?
サニー1人なら逃げ切れるかもしれないけど、大江百鬼を抱えている以上は無理」
「本末転倒になるね?」
莧の言葉にそういうことと笑う小狐。
「真面目な話だけどね?
兵庫県のジュエルズサファイアの実家を探って欲しいわ」
「ジュエルズサファイア?
彼女が何かを?」
オタク女子で、大それた陰謀をするようにも思えなかったし、こちらにも友好的な女性だったはず。
雛菊は何に目を付けたといぶかしむが、
「ただの確認よ?
彼女の出身は、兵庫県の作用ってところだけどね?
芦屋道満の出身地が近いのよ」
「芦屋道満。
サファイアの本名は明兼寺満子だったっけ?
満子って古風な名前だなと思ったけど……」
彼女自身もその名でからかわれていたと証言していたので、今時のメジャーな名前ではないはずだった。
「で?
偉人の子孫集めゲームがしたい訳じゃないだろう?
目的は?」
「予想通りなら、近くにダンジョンがあるだろうと思うの。
未発見のダンジョンがね?」
芦屋道満、そして明兼寺満子の魔素適性を考えると、晴彦のようにダンジョンを追い出された古代人の末裔のケースがあり得る。
「目的はダンジョンかい?
古代人じゃなくて?」
「別に、私は古代人だの現代人だのとかれこれ言う輩じゃないの。
重要なのはハルかどうかだけだもの」
いい加減に子離れしなよ、と内心呆れつつも、
「ひとまず、調査するよ。
京都の北から山に入って、山中を迂回して作用へ向かおう」
「助かるわ」
猪の姿で、山中を全力で駆けれるのは楽しみな莧。
そんな様子に目を細める小狐だった。
0
あなたにおすすめの小説
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる