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地上での生活
第104話 勝負に勝って試合に負けるやつ
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俺達は長い戦いに勝利した。
此処は伊勢自動車道にある安濃サービスエリア。
……そのトイレの前。
俺達、もとい俺と眞緒、ミコトの3人は迫る便意との戦いに勝利し、清々しい顔でお互いの健闘を称えあった。
……尿意については訊いてはいけない。
結局、睡眠薬は効果を発揮しなかったし!
「まあ、無事に此処までこれて良かったっす」
そんな俺達を見て苦笑しているシャイ子さん。
途中、何度か休憩している彼女らとの間には、悲しくも分断が出来てしまったらしい。
「シャイ子へは後で意趣返しをするとして……。
難所の鈴鹿山脈を越えたし、此処からはよほど安心出来るはずよ」
「難所ってのは、魔物的な話だよな?」
シャイ子さんを軽く睨んだミコトへ確認を入れる。
高速道路を車で飛ばすこのご時世で、物理的な難所な訳がない。
「そうね。
この伊吹から鈴鹿に掛けての山脈地帯は、とにかく、魔物の数が多いわ。
京都方面から伸びる龍脈と、鳥羽方面からの龍脈が合流している影響ね。
此処まで来れば、よほど大丈夫だと思うけど」
「やっぱ、龍脈とかの影響って大きいんだな……」
龍脈がエネルギー源として利用できると言うのは、『夢幻千年京』と変わらないな。
「そういうこと。
当然、この辺にも龍脈は流れているわ。
かなりきっちり整備されているから、よほど問題にはならないでしょうけど……。
晴彦の場合、それでも引き寄せる可能性があるのよね……」
「……」
まるで強烈な匂いを放つ誘引剤みたいな言い方だ。
行きに乗り換えをした米原駅と、璞蔵主さんの縄張りの中心勝楽寺までの距離を考えると、否定は出来ない。
「と言うわけで、今後も護衛は必須なの?
分かったわね?」
「……」
ミコトの言葉に、しかし承服しかねたい。
「移動中だけなんだから我慢しなさいな?
結界張った拠点が完成すれば、こんなことはしないで良いわけだし……」
「分かってはいるけどね……」
それでも、
「さすがに個室の中まで、女性に付いてこられるのは、キツいっす」
つい、シャイ子さんのような口調になるが、しょうがないだろう?
大の大人が用を足す時に、異性の監視付きだぞ?
「諦めなさい。
影に引き込むような術で拐われたら、今のメンツじゃ対応出来ないの。
寸前で袖の1つでも掴めれば、キャンセル出来るから、その距離にいるのが当たり前でしょ?」
「影に引き込むとか凄そうですけど、結構簡単に妨害出来るんですね?」
眞緒がミコトへ訊ねているけどね、そうじゃないと言いたい。
「術者と対象の間に線を結んで発動する術だから、第三者の干渉に弱いのよ。
対象の行動は影響されないから、晴彦が何処かに、必死にしがみついても無駄だけど、シャイ子が少し袖を掴めば破綻させられるわ」
真横で女性に観られながら、トイレへ入る羽目になった俺のダメージは、気にも留めないミコト。
ましてや、長時間耐久後だった。
つまり、音もね……。
「先ほどから、何か言いたそうね?
既にお互い裸体の隅々まで見せ合った中でしょうに……」
「それとこれとは話が別だよ!」
呆れた様子のミコトへ返す。
自分達は、普通にトイレを利用できるから、俺の気まずさが分からないんだろう。
「子供じゃあるまいし、我が儘言わないの」
「子供じゃないから抗議してんだよ!」
先ほどから、あまりにもこっちの気持ちが通じない。
こうなったら、
「今度、ミコトがトイレ行く時に付いていってやろうか?」
「え、変態?」
同じことをやり返したろうかと、言ったら素で返された……。
「変態って……」
「晴彦のトイレに同行するのは、警護のためでしょ?
けど、私のトイレに付いてくる必要性はない。
なら、私のトイレを覗くのが目的なわけでしょ?」
気圧されるように後退る俺に、純朴な子供のような目で問い詰めるミコト。
コイツ、分かってやってるだろう!
「ミコト、わざとやってるだろ?!」
「さて、この後だけど、このまま伊勢自動車道を南下して、二見ジャンクションで降りる。
目的地は二見町松下の東辺りよ。
ムー子達に頼んで、土地を借りられるように調整するわ。
それまでは、近場の旅館で宿泊になるかもしれないわね」
「話を逸らすな!」
俺の文句を無視して、予定を話すミコトに抗議を続けるが、どうにも聞く気がないような態度を取る。
「話をすり替えるのは、姐さんの常套手段っす。
まとめに相手をするのは労力の無駄っすよ……」
ポンッと肩を叩かれ、シャイ子さんに疲れた顔で諭される。
……出会って3日の男のトイレに付き合わされたシャイ子さんに。
「……。
それで具体的な目的地は?
松下ってどういうところ?」
「海に突き出た山って感じね。
あの辺りは、あまり開発もされていないはずだから、少し奥に結界を張れば、隠れ里の1つ2つは簡単に作れるわ」
シャイ子さんに従い、今後の予定を受け入れるが、
「京都に住んでいた割に良くそんなことが分かるね?」
逆に疑問も沸く。
京都市の北、大江山に住むミコトが三重南部の情報を持っていることに驚いたのだが、
「松下の辺りは、伊勢神宮のために龍脈を制御した時の余剰エネルギーの溜まり場なの。
呪力の弱い人間には居心地悪い土地なのよ」
「……なるほど」
よほどのことがなければ、未開発のままだろう。
二見市としても、使い途に困っている土地のようだし丁度良いかも。
多分、擬似的な龍穴のような状態だな。
……あれ?
何か嫌な予感がするんだけど?
まさかな……。
「場所が決まったら、晴彦には穴堀をしてもらうことになると思うから、宜しくね?」
……うん、予感じゃなかったわ。
さては、第6層と同じような流れだな。
「まあ良いけどね……」
下手に逆らうと面倒だから、承知しておく。
第6層でも結構簡単に穴堀出来たし、大した苦労じゃないだろう。
と、この時は楽観的に考えていた。
此処は伊勢自動車道にある安濃サービスエリア。
……そのトイレの前。
俺達、もとい俺と眞緒、ミコトの3人は迫る便意との戦いに勝利し、清々しい顔でお互いの健闘を称えあった。
……尿意については訊いてはいけない。
結局、睡眠薬は効果を発揮しなかったし!
「まあ、無事に此処までこれて良かったっす」
そんな俺達を見て苦笑しているシャイ子さん。
途中、何度か休憩している彼女らとの間には、悲しくも分断が出来てしまったらしい。
「シャイ子へは後で意趣返しをするとして……。
難所の鈴鹿山脈を越えたし、此処からはよほど安心出来るはずよ」
「難所ってのは、魔物的な話だよな?」
シャイ子さんを軽く睨んだミコトへ確認を入れる。
高速道路を車で飛ばすこのご時世で、物理的な難所な訳がない。
「そうね。
この伊吹から鈴鹿に掛けての山脈地帯は、とにかく、魔物の数が多いわ。
京都方面から伸びる龍脈と、鳥羽方面からの龍脈が合流している影響ね。
此処まで来れば、よほど大丈夫だと思うけど」
「やっぱ、龍脈とかの影響って大きいんだな……」
龍脈がエネルギー源として利用できると言うのは、『夢幻千年京』と変わらないな。
「そういうこと。
当然、この辺にも龍脈は流れているわ。
かなりきっちり整備されているから、よほど問題にはならないでしょうけど……。
晴彦の場合、それでも引き寄せる可能性があるのよね……」
「……」
まるで強烈な匂いを放つ誘引剤みたいな言い方だ。
行きに乗り換えをした米原駅と、璞蔵主さんの縄張りの中心勝楽寺までの距離を考えると、否定は出来ない。
「と言うわけで、今後も護衛は必須なの?
分かったわね?」
「……」
ミコトの言葉に、しかし承服しかねたい。
「移動中だけなんだから我慢しなさいな?
結界張った拠点が完成すれば、こんなことはしないで良いわけだし……」
「分かってはいるけどね……」
それでも、
「さすがに個室の中まで、女性に付いてこられるのは、キツいっす」
つい、シャイ子さんのような口調になるが、しょうがないだろう?
大の大人が用を足す時に、異性の監視付きだぞ?
「諦めなさい。
影に引き込むような術で拐われたら、今のメンツじゃ対応出来ないの。
寸前で袖の1つでも掴めれば、キャンセル出来るから、その距離にいるのが当たり前でしょ?」
「影に引き込むとか凄そうですけど、結構簡単に妨害出来るんですね?」
眞緒がミコトへ訊ねているけどね、そうじゃないと言いたい。
「術者と対象の間に線を結んで発動する術だから、第三者の干渉に弱いのよ。
対象の行動は影響されないから、晴彦が何処かに、必死にしがみついても無駄だけど、シャイ子が少し袖を掴めば破綻させられるわ」
真横で女性に観られながら、トイレへ入る羽目になった俺のダメージは、気にも留めないミコト。
ましてや、長時間耐久後だった。
つまり、音もね……。
「先ほどから、何か言いたそうね?
既にお互い裸体の隅々まで見せ合った中でしょうに……」
「それとこれとは話が別だよ!」
呆れた様子のミコトへ返す。
自分達は、普通にトイレを利用できるから、俺の気まずさが分からないんだろう。
「子供じゃあるまいし、我が儘言わないの」
「子供じゃないから抗議してんだよ!」
先ほどから、あまりにもこっちの気持ちが通じない。
こうなったら、
「今度、ミコトがトイレ行く時に付いていってやろうか?」
「え、変態?」
同じことをやり返したろうかと、言ったら素で返された……。
「変態って……」
「晴彦のトイレに同行するのは、警護のためでしょ?
けど、私のトイレに付いてくる必要性はない。
なら、私のトイレを覗くのが目的なわけでしょ?」
気圧されるように後退る俺に、純朴な子供のような目で問い詰めるミコト。
コイツ、分かってやってるだろう!
「ミコト、わざとやってるだろ?!」
「さて、この後だけど、このまま伊勢自動車道を南下して、二見ジャンクションで降りる。
目的地は二見町松下の東辺りよ。
ムー子達に頼んで、土地を借りられるように調整するわ。
それまでは、近場の旅館で宿泊になるかもしれないわね」
「話を逸らすな!」
俺の文句を無視して、予定を話すミコトに抗議を続けるが、どうにも聞く気がないような態度を取る。
「話をすり替えるのは、姐さんの常套手段っす。
まとめに相手をするのは労力の無駄っすよ……」
ポンッと肩を叩かれ、シャイ子さんに疲れた顔で諭される。
……出会って3日の男のトイレに付き合わされたシャイ子さんに。
「……。
それで具体的な目的地は?
松下ってどういうところ?」
「海に突き出た山って感じね。
あの辺りは、あまり開発もされていないはずだから、少し奥に結界を張れば、隠れ里の1つ2つは簡単に作れるわ」
シャイ子さんに従い、今後の予定を受け入れるが、
「京都に住んでいた割に良くそんなことが分かるね?」
逆に疑問も沸く。
京都市の北、大江山に住むミコトが三重南部の情報を持っていることに驚いたのだが、
「松下の辺りは、伊勢神宮のために龍脈を制御した時の余剰エネルギーの溜まり場なの。
呪力の弱い人間には居心地悪い土地なのよ」
「……なるほど」
よほどのことがなければ、未開発のままだろう。
二見市としても、使い途に困っている土地のようだし丁度良いかも。
多分、擬似的な龍穴のような状態だな。
……あれ?
何か嫌な予感がするんだけど?
まさかな……。
「場所が決まったら、晴彦には穴堀をしてもらうことになると思うから、宜しくね?」
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