114 / 139
地上での生活
第111話 拠点設営
しおりを挟む
加工済みの木材や釘、ネジ等が巨木の根元から湧き出し、それを蝶の羽根を持つ妖精が運ぶ。
目的地では大柄な妖精が受け取り、パズルを当て嵌めるように、図面もみないで家を組み上げていく。
数時間前はなにもない更地だったのが、嘘のように今は3軒目の住宅が出来上がりつつあった。
「俺、要らなくない?」
「要るわよ。
この子、晴彦の指示しか聞かないんだから……」
手持ち無沙汰で、どんどん出来上がっていく家を観ていると、ここにいる必要ないだろうと言う気になるが、ミコトが否定する。
「それはそうなのだ。
お兄ちゃんの血が、結の命令受諾コマンドになっているのだ。
誰の命令でも聞くとか危険すぎるのだ」
理由解説する朔に納得する。
何せ、今朝時点では大きめの穴が1つあるだけの山地だったのに、たった半日で、ちょっとした家3軒が立つ村もどきだ。
しかも、ここからは見えないが、海方面には崖に階段を設置する組や入り江を掘って養殖池を準備する連中もいる。
強い龍穴が必要だから、場所の制約があるとはいえ、とんでもない開拓能力だ。
「暇なお兄ちゃんに、仕事があるのだ。
スタ子達が買ってきた苗を植えて、急成長させるのだ。
物々交換用だから、保存が利く果物を優先するのだ」
「わざわざ植えるのか?
第6層みたいに果樹そのものを創造した方が早いんじゃ?」
果樹なんて手に入らないダンジョン内で、果樹園を造っていたわけだし、直接果樹の創造も可能なはずだ。
「その分、コストが掛かるのだ。
それで言ったら、直接果物や野菜を創造すれば良いのだ」
「確かに……」
直接、実や野菜を創造すれば、あの面倒な採取も不要だった。
それが必要になったのは、魔素消費が多かったからだし……。
「まあ、そういうことなら……」
「それじゃあ、お願いするのだ」
大勢が忙しなく動き回っている中で、1人だけ突っ立ってるのは、申し訳ないのでありがたいことでもあるし。
直ぐそこの果樹園予定地へ行けば、色々な苗木が植えられるのを待っていた。
「リンゴにキウイ、みかんもあるのか……」
「近場のホームセンターで投げ売りされているのを掻き集めたからね」
苗木の種類を確認していたら、スタ子さんが声を掛けてきた。
「私が植え付けの担当なのよ。
種類ごとにまとめて植えるから、よろしくね」
「了解」
大江百花の皆及び浜名さん、眞緒は手分けして、様々な作業をしている現状。
果樹園担当はスタ子さんとのことなので、指示に従って、植え付けを進めていく。
彼女の奥には、既に植えられた栗や柿の木が見える。
栗や柿を植えて、また熊が来ないのだろうか?
「そういえば、熊が出る前にやって来ていた人達って、どんな感じ?」
熊の前に来た厄介な人達を連想してしまった。
将来、来襲するかどうかも不明な熊よりも、近々襲撃のありそうな連中の対処が先だろうし……。
「そうね……。
ギャルって感じだったわ。
化粧して香水も付けていたし、髪もブリーチ掛けてたわね……」
スタ子の返答は、多分に呆れが含まれていた。
まあ、化粧や香水を使う人間は多いらしい。
何せ、燃料不足で薬品不足のご時世だから、風呂に入れる機会は減って、肌荒れや体臭が気になる人は多いから。
しかし、髪を脱色ってのは珍しい。
結構な労力の割りに、リターンが少ないからか、ブリーチや髪染めをする人間は、かなり減っているはずだし。
「まあ、私達の中に男がいることが、バレているせいでしょうけどね?
それにしても、逆効果だと思わないのかしら?」
「自分も含めて、生きることに必死な時におしゃれに気を遣う人間なんて、自分は自己中ですって、宣言しているようなものだしね……」
こっちが懸命に構築中のライフラインへ、ただ乗りする気にしか思えない。
絶対に関わりたくないな。
「そうね。
まだ、京都で会った連中の方が、協調性はあったんじゃないかしら?」
「……まあ、ミホさん達はあれで地元で働いているみたいだし」
カラオケ屋の前で会ったミホさん達の方がマシだと言う意見には同意。
疎開を否定するわけじゃないけど、何処もリソースが不足している現状で、それまでの生活圏を離れるなら、より多くの労力を掛ける必要が出るのは必然だろう?
その労力を他人に押し付けようとすれば反発が起きるに決まっている。
「けれど、多分また来るよね?」
「絶対にね?
しかも、ここには色々な設備が整いつつあるわけだし……」
2人でため息を付きながら、黙々と苗木の植え込みを進める。
これ以上、話題にすると直ぐにでも連中が現れそうだったから……。
目的地では大柄な妖精が受け取り、パズルを当て嵌めるように、図面もみないで家を組み上げていく。
数時間前はなにもない更地だったのが、嘘のように今は3軒目の住宅が出来上がりつつあった。
「俺、要らなくない?」
「要るわよ。
この子、晴彦の指示しか聞かないんだから……」
手持ち無沙汰で、どんどん出来上がっていく家を観ていると、ここにいる必要ないだろうと言う気になるが、ミコトが否定する。
「それはそうなのだ。
お兄ちゃんの血が、結の命令受諾コマンドになっているのだ。
誰の命令でも聞くとか危険すぎるのだ」
理由解説する朔に納得する。
何せ、今朝時点では大きめの穴が1つあるだけの山地だったのに、たった半日で、ちょっとした家3軒が立つ村もどきだ。
しかも、ここからは見えないが、海方面には崖に階段を設置する組や入り江を掘って養殖池を準備する連中もいる。
強い龍穴が必要だから、場所の制約があるとはいえ、とんでもない開拓能力だ。
「暇なお兄ちゃんに、仕事があるのだ。
スタ子達が買ってきた苗を植えて、急成長させるのだ。
物々交換用だから、保存が利く果物を優先するのだ」
「わざわざ植えるのか?
第6層みたいに果樹そのものを創造した方が早いんじゃ?」
果樹なんて手に入らないダンジョン内で、果樹園を造っていたわけだし、直接果樹の創造も可能なはずだ。
「その分、コストが掛かるのだ。
それで言ったら、直接果物や野菜を創造すれば良いのだ」
「確かに……」
直接、実や野菜を創造すれば、あの面倒な採取も不要だった。
それが必要になったのは、魔素消費が多かったからだし……。
「まあ、そういうことなら……」
「それじゃあ、お願いするのだ」
大勢が忙しなく動き回っている中で、1人だけ突っ立ってるのは、申し訳ないのでありがたいことでもあるし。
直ぐそこの果樹園予定地へ行けば、色々な苗木が植えられるのを待っていた。
「リンゴにキウイ、みかんもあるのか……」
「近場のホームセンターで投げ売りされているのを掻き集めたからね」
苗木の種類を確認していたら、スタ子さんが声を掛けてきた。
「私が植え付けの担当なのよ。
種類ごとにまとめて植えるから、よろしくね」
「了解」
大江百花の皆及び浜名さん、眞緒は手分けして、様々な作業をしている現状。
果樹園担当はスタ子さんとのことなので、指示に従って、植え付けを進めていく。
彼女の奥には、既に植えられた栗や柿の木が見える。
栗や柿を植えて、また熊が来ないのだろうか?
「そういえば、熊が出る前にやって来ていた人達って、どんな感じ?」
熊の前に来た厄介な人達を連想してしまった。
将来、来襲するかどうかも不明な熊よりも、近々襲撃のありそうな連中の対処が先だろうし……。
「そうね……。
ギャルって感じだったわ。
化粧して香水も付けていたし、髪もブリーチ掛けてたわね……」
スタ子の返答は、多分に呆れが含まれていた。
まあ、化粧や香水を使う人間は多いらしい。
何せ、燃料不足で薬品不足のご時世だから、風呂に入れる機会は減って、肌荒れや体臭が気になる人は多いから。
しかし、髪を脱色ってのは珍しい。
結構な労力の割りに、リターンが少ないからか、ブリーチや髪染めをする人間は、かなり減っているはずだし。
「まあ、私達の中に男がいることが、バレているせいでしょうけどね?
それにしても、逆効果だと思わないのかしら?」
「自分も含めて、生きることに必死な時におしゃれに気を遣う人間なんて、自分は自己中ですって、宣言しているようなものだしね……」
こっちが懸命に構築中のライフラインへ、ただ乗りする気にしか思えない。
絶対に関わりたくないな。
「そうね。
まだ、京都で会った連中の方が、協調性はあったんじゃないかしら?」
「……まあ、ミホさん達はあれで地元で働いているみたいだし」
カラオケ屋の前で会ったミホさん達の方がマシだと言う意見には同意。
疎開を否定するわけじゃないけど、何処もリソースが不足している現状で、それまでの生活圏を離れるなら、より多くの労力を掛ける必要が出るのは必然だろう?
その労力を他人に押し付けようとすれば反発が起きるに決まっている。
「けれど、多分また来るよね?」
「絶対にね?
しかも、ここには色々な設備が整いつつあるわけだし……」
2人でため息を付きながら、黙々と苗木の植え込みを進める。
これ以上、話題にすると直ぐにでも連中が現れそうだったから……。
0
あなたにおすすめの小説
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!!
2巻2月9日電子版解禁です!!
紙は9日に配送開始、12日発売!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる