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本編-ARIA-
第36話『ファーストアクション-前編-』
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5月23日、月曜日。
先週末も色々とあったため、ひさしぶりの出社のように感じた。
僕が出社してから数分後、有紗さんも出社してきた。見慣れた黒いスーツを着て凛とした表情で現れる。これが今までの有紗さんのイメージだった。
「おはよう、智也君」
「おはようございます、有紗さん」
さすがに、現場では今まで通りに有紗さんと接しないといけないな。仕事なんだし、きちんとしていかないと。
「今日からは今まで以上に頑張れそうな気がする」
自分の席に座った有紗さんはそう言うと、僕の方に近づいて太腿をそっと触ってくる。職場でこんな笑顔をしている有紗さんは見たことがないぞ。
「智也君が隣にいると、何だか思わずキスしちゃいそうだから気をつけないとね」
僕の太腿をさすりながらそういうことを言われると、まるで説得力がないんだけど。気をつけないと、今日は仕事にならない可能性があるぞ。
「有紗さん、今日からも頑張って仕事をしましょうね。あと、ここは僕の家ではなくて仕事場であることを忘れないでくださいね」
「……智也君、真面目すぎる」
有紗さん、不機嫌な表情を浮かべちゃって。仕事のときくらいちょっとは真面目になりましょうよ。
午前9時。
今週も仕事が始まる。この1週間で何が起こるだろうか。せめても、仕事の方では何事もなく1週間が過ぎていってほしいものだ。
「あっ、先週の金曜日に舞い込んできた緊急修正の件、大丈夫だったみたいですね」
メールチェックをすると、勝沼さんから修正対応のお礼メールが来ていた。ダメだったら気持ち的に最悪なスタートになるところだったけど。OKだったので、ちょっといい気分で仕事をスタートできる。
「智也君のおかげだよ。ありがとね」
「いえいえ」
「じゃあ、とりあえずはまた勉強ね」
「そうですね」
期限の近い提出物もないし、そもそも、その提出物を作るために、必要な資料もまだ届いていないからな。緊急の案件が入るまでは勉強かな。
「勉強か……」
「どうしたの? 何かやらなきゃいけないことがあったの?」
「いえ、それはありませんけど。ただ、本当だったら今頃、美来は学校で勉強できたはずなのに、いじめのせいででそれができないんだなって……」
クラスメイトと一緒に勉強することだったり、部活で大好きな声楽を楽しんだり。それらを当たり前にできるはずだったのに。心ない人間による心ない行動のせいで、美来はとても苦しむことになり、学校にいるのが辛くなってしまった。
「今頃、美来ちゃんのお父様が学校側に連絡しているんじゃないかな。それに、明美も今回のことを調べてくれるみたいだし。ダブルパンチを喰らわせれば、学校の方もいじめがあったって認めてくれるんじゃないかしら」
「そうだといいんですけどね」
ダブルパンチという文言が気になるけれど。
ただ、黙認している可能性のある担任に美来のお父さんが電話を掛けるだけよりも、明美ちゃんのクラス担任にも美来のいじめのことを伝えれば、学校側もきちんと対応してくれる可能性が高まるだろう。
「部活からの方が、今回の問題に切り込めそうな気がしますね」
「そうね。大崎さんだっけ。声楽部に所属している明美の友達も、美来ちゃんをいじめていた生徒の1人だもんね。あとは諸澄君だっけ。アパートを見ていたっていうクラスメイトの男の子。彼も気になるのよね……」
「美来のクラスメイトですから、いじめに何の関わりもない可能性は低そうですね……」
諸澄君は何とも絶妙な立ち位置に立っている気がする。美来のことが好きなら、美来を助けるような行動を取っている気もするけど、美来は誰も助けてくれる人はいなかったと言っている。学校でいじめがある中で、土曜日に僕の家のアパートを遠くから見ていた。
「まさか、美来をいじめるための新しい口実探しをしているとか?」
「好きな人のことをいじめるのかなぁ。好きだといたずらをしたくなるってよく言うけれど。告白してフラれちゃったならまだしも、告白はしていないんだよね?」
「そうですね」
美来への好意は僕が教えちゃったんだけどね。案の定、僕一筋という理由で美来は諸澄君のことは眼中になかったようだけれど。
「まずは御両親の報告や、明美ちゃんの調査結果を聞くのを待ちましょう」
「そうね。じゃあ、あたし達はあたし達のやるべきことをしようか」
「そうですね」
僕と有紗さんは仕事中なんだ。美来のことが気になってしまうけれど、僕達のやるべきことをやっていかないと。
ただ、勉強ということもあってか、有紗さんがいつもよりも近い気がする。
「有紗さん、何だか近くありません?」
「……嫌なの?」
「嫌ではありませんけど」
「ならいいじゃない。近くにいる方が、分からないところを気軽に訊けるじゃない」
今までも気軽に訊けた気がするけど。でも、まあ……有紗さんが近い方がいいと言うならこれでもいいか。周りからの視線が若干気になるけれど。
「それに、こうしていると……カップルが図書館で勉強している感じがしない」
ここは図書館じゃないんだけれどな。でも、こうして隣り合って女の子と勉強するのは図書館が一番ありそうな気はする。ちなみに、僕は今までそういう経験は一度もない。
「ねえ、智也君。ここが分からない」
「ええと、そこはですね……」
まあいい、この方が勉強も捗るかもしれないから。
しかし、席を近づけたのをいいことに、有紗さんからの頻繁にボディタッチされる。ただ、有紗さんはとても嬉しそうだし、このくらいのことで勉強に支障を来たしているわけではないので、何も言うことができない。
もしかして、有紗さんって好きな人が側にいると、仕事中でも積極的に近づいてしまうタイプなのか? この程度ならいいけれど、公私混同は避けないと。
――プルルッ。
スマートフォンが鳴ったので確認すると、メッセージが来ていた。
昨日、連絡先を交換した際に、グループをいくつか作り、今回は僕、有紗さん、果歩さんだけの大人グループのところに果歩さんからのメッセージが入った。
『主人が美来のクラスの担任に電話をして、美来がクラスと部活でいじめられていることを伝えたわ。今のところ、そのような事実は確認していないって言われたけど、そうしたら主人が徹底的に調べろと怒鳴って。それで、まずはいじめがあるかどうかの調査をしますって』
さすがに、学校側は美来がいじめられていることをまだ確認していないか。黙認していたらまずいけれど。ただ、これで第一歩を踏み出すことはできたかな。
「有紗さん、果歩さんからメッセージが来ましたね」
「ええ、あたしも読んだ。これで学校側がしっかり調べて、クラスと部活でいじめがあったことを確認できればいいんだけれど」
「そう……なるといいですけどね」
さて、果歩さんからはメッセージがあったけれど、明美ちゃんの方はどうなっているかな。まだ午前中だし、これから大崎さんに話を聞くのかもしれない。
『ありがとうございます。学校側からまた何か連絡があったら、メッセージでかまわないので有紗さんと僕にも教えていただけますか?』
僕からそうメッセージを送っておいた。そのメッセージはすぐに『既読2』となり、
『分かりました』
果歩さんからそんな返信が届いた。
「とりあえず、朝比奈家の方は連絡待ちですね。明美ちゃんの方は、早くても昼休みの時間にならないと来ないでしょうね」
「大崎さんに問いただすって言っていたもんね。ふふっ、何だか、智也君が頼もしく見えてきたよ」
「そうですか? 美来のことだからかもしれません」
僕が調査してもいい立場だったら、実際に高校へ行って色々な人に話を聞きたいくらいだ。あと、諸澄君には付きまといについても。
「そういう風に言われると、ちょっと嫉妬しちゃう。気持ちは分かるけどさ」
有紗さんは不機嫌そうに頬を膨らます。美来のことを考えているから、有紗さんがそう思う気持ちも分かるけれども。
「もし、有紗さんが美来と同じような立場だったとしても、僕はきっとこういう風にしていると思います」
「……そういう風に言ってくれると、結構嬉しいかも」
さっきまでの不機嫌さが嘘のようにぱあっと明るい笑顔を見せてくれる。本当に有紗さんは僕のことが好きなんだな。
先週の金曜日までとは、有紗さんの様子がまるで違うせいか、あっという間に午前中の業務が終了したのであった。
先週末も色々とあったため、ひさしぶりの出社のように感じた。
僕が出社してから数分後、有紗さんも出社してきた。見慣れた黒いスーツを着て凛とした表情で現れる。これが今までの有紗さんのイメージだった。
「おはよう、智也君」
「おはようございます、有紗さん」
さすがに、現場では今まで通りに有紗さんと接しないといけないな。仕事なんだし、きちんとしていかないと。
「今日からは今まで以上に頑張れそうな気がする」
自分の席に座った有紗さんはそう言うと、僕の方に近づいて太腿をそっと触ってくる。職場でこんな笑顔をしている有紗さんは見たことがないぞ。
「智也君が隣にいると、何だか思わずキスしちゃいそうだから気をつけないとね」
僕の太腿をさすりながらそういうことを言われると、まるで説得力がないんだけど。気をつけないと、今日は仕事にならない可能性があるぞ。
「有紗さん、今日からも頑張って仕事をしましょうね。あと、ここは僕の家ではなくて仕事場であることを忘れないでくださいね」
「……智也君、真面目すぎる」
有紗さん、不機嫌な表情を浮かべちゃって。仕事のときくらいちょっとは真面目になりましょうよ。
午前9時。
今週も仕事が始まる。この1週間で何が起こるだろうか。せめても、仕事の方では何事もなく1週間が過ぎていってほしいものだ。
「あっ、先週の金曜日に舞い込んできた緊急修正の件、大丈夫だったみたいですね」
メールチェックをすると、勝沼さんから修正対応のお礼メールが来ていた。ダメだったら気持ち的に最悪なスタートになるところだったけど。OKだったので、ちょっといい気分で仕事をスタートできる。
「智也君のおかげだよ。ありがとね」
「いえいえ」
「じゃあ、とりあえずはまた勉強ね」
「そうですね」
期限の近い提出物もないし、そもそも、その提出物を作るために、必要な資料もまだ届いていないからな。緊急の案件が入るまでは勉強かな。
「勉強か……」
「どうしたの? 何かやらなきゃいけないことがあったの?」
「いえ、それはありませんけど。ただ、本当だったら今頃、美来は学校で勉強できたはずなのに、いじめのせいででそれができないんだなって……」
クラスメイトと一緒に勉強することだったり、部活で大好きな声楽を楽しんだり。それらを当たり前にできるはずだったのに。心ない人間による心ない行動のせいで、美来はとても苦しむことになり、学校にいるのが辛くなってしまった。
「今頃、美来ちゃんのお父様が学校側に連絡しているんじゃないかな。それに、明美も今回のことを調べてくれるみたいだし。ダブルパンチを喰らわせれば、学校の方もいじめがあったって認めてくれるんじゃないかしら」
「そうだといいんですけどね」
ダブルパンチという文言が気になるけれど。
ただ、黙認している可能性のある担任に美来のお父さんが電話を掛けるだけよりも、明美ちゃんのクラス担任にも美来のいじめのことを伝えれば、学校側もきちんと対応してくれる可能性が高まるだろう。
「部活からの方が、今回の問題に切り込めそうな気がしますね」
「そうね。大崎さんだっけ。声楽部に所属している明美の友達も、美来ちゃんをいじめていた生徒の1人だもんね。あとは諸澄君だっけ。アパートを見ていたっていうクラスメイトの男の子。彼も気になるのよね……」
「美来のクラスメイトですから、いじめに何の関わりもない可能性は低そうですね……」
諸澄君は何とも絶妙な立ち位置に立っている気がする。美来のことが好きなら、美来を助けるような行動を取っている気もするけど、美来は誰も助けてくれる人はいなかったと言っている。学校でいじめがある中で、土曜日に僕の家のアパートを遠くから見ていた。
「まさか、美来をいじめるための新しい口実探しをしているとか?」
「好きな人のことをいじめるのかなぁ。好きだといたずらをしたくなるってよく言うけれど。告白してフラれちゃったならまだしも、告白はしていないんだよね?」
「そうですね」
美来への好意は僕が教えちゃったんだけどね。案の定、僕一筋という理由で美来は諸澄君のことは眼中になかったようだけれど。
「まずは御両親の報告や、明美ちゃんの調査結果を聞くのを待ちましょう」
「そうね。じゃあ、あたし達はあたし達のやるべきことをしようか」
「そうですね」
僕と有紗さんは仕事中なんだ。美来のことが気になってしまうけれど、僕達のやるべきことをやっていかないと。
ただ、勉強ということもあってか、有紗さんがいつもよりも近い気がする。
「有紗さん、何だか近くありません?」
「……嫌なの?」
「嫌ではありませんけど」
「ならいいじゃない。近くにいる方が、分からないところを気軽に訊けるじゃない」
今までも気軽に訊けた気がするけど。でも、まあ……有紗さんが近い方がいいと言うならこれでもいいか。周りからの視線が若干気になるけれど。
「それに、こうしていると……カップルが図書館で勉強している感じがしない」
ここは図書館じゃないんだけれどな。でも、こうして隣り合って女の子と勉強するのは図書館が一番ありそうな気はする。ちなみに、僕は今までそういう経験は一度もない。
「ねえ、智也君。ここが分からない」
「ええと、そこはですね……」
まあいい、この方が勉強も捗るかもしれないから。
しかし、席を近づけたのをいいことに、有紗さんからの頻繁にボディタッチされる。ただ、有紗さんはとても嬉しそうだし、このくらいのことで勉強に支障を来たしているわけではないので、何も言うことができない。
もしかして、有紗さんって好きな人が側にいると、仕事中でも積極的に近づいてしまうタイプなのか? この程度ならいいけれど、公私混同は避けないと。
――プルルッ。
スマートフォンが鳴ったので確認すると、メッセージが来ていた。
昨日、連絡先を交換した際に、グループをいくつか作り、今回は僕、有紗さん、果歩さんだけの大人グループのところに果歩さんからのメッセージが入った。
『主人が美来のクラスの担任に電話をして、美来がクラスと部活でいじめられていることを伝えたわ。今のところ、そのような事実は確認していないって言われたけど、そうしたら主人が徹底的に調べろと怒鳴って。それで、まずはいじめがあるかどうかの調査をしますって』
さすがに、学校側は美来がいじめられていることをまだ確認していないか。黙認していたらまずいけれど。ただ、これで第一歩を踏み出すことはできたかな。
「有紗さん、果歩さんからメッセージが来ましたね」
「ええ、あたしも読んだ。これで学校側がしっかり調べて、クラスと部活でいじめがあったことを確認できればいいんだけれど」
「そう……なるといいですけどね」
さて、果歩さんからはメッセージがあったけれど、明美ちゃんの方はどうなっているかな。まだ午前中だし、これから大崎さんに話を聞くのかもしれない。
『ありがとうございます。学校側からまた何か連絡があったら、メッセージでかまわないので有紗さんと僕にも教えていただけますか?』
僕からそうメッセージを送っておいた。そのメッセージはすぐに『既読2』となり、
『分かりました』
果歩さんからそんな返信が届いた。
「とりあえず、朝比奈家の方は連絡待ちですね。明美ちゃんの方は、早くても昼休みの時間にならないと来ないでしょうね」
「大崎さんに問いただすって言っていたもんね。ふふっ、何だか、智也君が頼もしく見えてきたよ」
「そうですか? 美来のことだからかもしれません」
僕が調査してもいい立場だったら、実際に高校へ行って色々な人に話を聞きたいくらいだ。あと、諸澄君には付きまといについても。
「そういう風に言われると、ちょっと嫉妬しちゃう。気持ちは分かるけどさ」
有紗さんは不機嫌そうに頬を膨らます。美来のことを考えているから、有紗さんがそう思う気持ちも分かるけれども。
「もし、有紗さんが美来と同じような立場だったとしても、僕はきっとこういう風にしていると思います」
「……そういう風に言ってくれると、結構嬉しいかも」
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