38 / 292
本編-ARIA-
第37話『ファーストアクション-後編-』
しおりを挟む
先週と同じように、昼休みに羽賀から連絡があり、いつもの居酒屋で岡村を交えて呑もうという話に。有紗さんも一緒に行きたいと言ってきたので、彼女を連れて行くことになった。有紗さん、その流れで僕の家に泊まろうとしているんじゃないか?
「金曜日みたいに、最寄り駅で降りられない展開にはならないでくださいよ」
「大丈夫だよ。あのときはわざと降りなかったんだから。まあ、智也君の家に着いてベッドに横になったら、本当に気持ち良くてぐっすり眠ったけれど」
「……そうだったんですか」
今まで全然気付かなかったな。
「ねえ、智也君。キスしてよ」
「えっ? ここは職場ですよ」
今、僕らは自分達のデスクのあるフロアの休憩所にいる。昼休みでも人が全然いないけれど……いつ誰が来るか分からないし。
――ぎゅっ。
有紗さんが僕のことを抱きしめてくる。
「今だけでいいから、あたしだけを見ていてほしいの。わがままで、美来ちゃんのことがあるのも分かるけれど……」
彼女はそう言うけれど、午前中は有紗さんからベッタリとくっついてきたから、結構な時間、彼女のことだけを見てきているつもりだ。それでも、有紗さんはもっと僕にかまってほしいのかも。
「一度だけですよ」
そう言って、僕は有紗さんにキスした。
「誰かに見られるかもしれないので、今はこれで勘弁してください」
「……ありがとう」
有紗さんは笑顔を見せると、今度は有紗さんの方からキスをしてきた。
「一度だけだって言ったじゃないですか!」
「だって、キスをしたら嬉しくなっちゃったんだもん!」
「……まったく、困った先輩ですね」
有紗さんの頭を優しく撫でる。
やれやれ、僕のことが好きなのは嬉しいけれ、職場なんだから節度ある行動をしてほしいものだ。けれど、キスしてほしいと言われて、それに応じてしまう僕が言える立場ではないのかも。
そんないつもと違う昼休みを過ごして、午後の業務に入る。といっても、急な案件もないので、午前中に続いて業務に必要な技術の勉強だ。
「有紗さん、ここが分からないのですが……」
「ああ、そこはね……」
土日で有紗さんとかなり距離が近くなったので、分からないところが訊きやすくなった。それはとてもいいことなんだ。
「それで、こうなって……」
しかし、僕に教えてくれるとき、ボディタッチをしてくるのはいかがなものだろうか。絶対に、僕と有紗さんのことをカップルだと思っている人がいるよな。
「智也君、聞いてるの?」
「聞いていますよ。ただ、もう少し僕との距離感を考えた方がいいと思います。ここは僕の家じゃないんですから」
有紗さんだけに聞こえるように小さな声でそう言うと、有紗さんはクスッと笑って、
「大丈夫だよ。業務に支障を来たしていないんだし。それに、こうしていた方が智也君だって質問しやすいでしょう?」
「それはそうですけど。ただ、こうしていると、周りの方達に僕らのことを勘違いされると思うのですが」
先週の金曜日までの有紗さんと、今日の有紗さんは様子がまるで違う。それに何も思わない人の方が少ないと思うんだけれど。
「……どういう風に勘違いされるのかな?」
「えっと、それは……つ、付き合っているとか」
誰かに聞かれているかもしれないと思うと恥ずかしいけど、こういう風に言わないと有紗さんも分かってくれないだろう。
しかし、有紗さんはニッコリと笑って、
「あたしはそれでもいいけれど。もし、誰かに智也君に付き合っているのかって訊かれたら、付き合っていないけれど智也君のことが好きだって言うつもりだもん」
僕だけに聞こえるように、耳元でそう言ってきた。覗き込むように僕のことを見て、またニッコリと。本当に可愛らしい女性だ。
「……まあ、有紗さんがそういう風に考えているならいいです。僕も有紗さんには告白されたけれど、返事を待ってもらっていると言いますから。あと、今のところ、その……勉強に支障を来たしているわけではありませんし」
「本当に真面目ね、でも、そういうところも大好き」
大好きって耳元で囁かれ、キュンときてしまう。有紗さん、この状況を利用して僕との距離を近づけようとしているんだな。美来がこの様子を見たら、かなり嫉妬しそうだな。
――プルルッ。
僕と有紗さんのスマートフォンが鳴る。同時に鳴るってことは、果歩さんや明美ちゃんからメッセージが来たのかな?
時刻は午後3時半。高校の授業が終わる時間帯だから、明美ちゃんの可能性もありそうだ。
スマートフォンを確認すると、僕、美来、有紗さん、明美ちゃん、果歩さん、結菜ちゃん6人全員がメンバーになっているグループに、メッセージが1つ。
『美菜子に美来ちゃんのことについて問いただしました。そうしたら、美来ちゃんが自分よりも歌が上手く、それまで自分に集まっていた注目が彼女に移ったことに嫉妬して、悪口を言ったそうです』
そんなメッセージが明美ちゃんから届いていた。歌の上手さからの嫉妬か。きっと、それまでは大崎さんが声楽部の中では一番上手だったのかも。
「なるほど、部活ではそういう理由もあるのね」
「とりあえず、部活では美来へのいじめがあったことが確認できましたね」
明美ちゃんと大崎さんが友達同士だったことも幸いし、さっそく大きな一歩を踏み出すことができそうだ。
『美菜子と一緒に担任の先生にこのことを話しました。そのときに、朝比奈さんの親御さんから連絡があったと職員に知らされていると聞きました。これから、朝比奈さんのことで緊急の職員会議を開くとのことです』
続いて、明美さんからそんなメッセージが送られる。
大崎さんが美来へのいじめを認めたんだ。これで、学校側もしっかりと調査しないといけない状況になった。
『智也君と一緒にメッセージを見ているよ。ありがとう、明美。部活では大崎さんがいじめていたのね。それ以外に、何か分かったことはある?』
有紗さんがそんなメッセージを送る。そうだな、大崎さんは声楽部の部員だから、部活でのいじめについて他に何か分かったことがあるかもしれない。
すると、すぐに明美ちゃんからメッセージが届いた。
『美菜子曰く、3年生もいじめていたからみんなもそれに加わったみたい。何も言えなくて、見て見ぬふりをしていた部員もいたみたい。それも私の担任に伝えた』
なるほど。部活という閉鎖的な空間の中で、3年生がいじめに加担していたら、その空気に合わせて一緒に美来をいじめる生徒がいてもおかしくない。見て見ぬふりをしていた生徒もいたのも不思議ではない。
「同調圧力ってやつなのかしらね」
「最高学年の3年生がいじめに加担していると、下級生はもちろんのこと、同級生でもいじめを止めることは難しいのでしょう」
「きっと、先輩だからって美来ちゃんに好き勝手なことを言ったり、嫌なことをしたりしたんだろうね」
「そうですね。あと……歌が上手いから嫉妬したようですし。出る杭は打たれてしまうというか」
「それって、自分の実力に自信がないってことの裏返しだよね。だから、自分より上手い美来ちゃんをいじめた」
「なるほど。そうとも取れますね」
自分の実力に自信があったり、どのくらいの実力なのかちゃんと分かっていたりする人は、どんなに上手い人が目の前に現れても、その人を排除することはしないと思う。きっと、大崎さんは美来の実力を知ったとき、自分の実力のなさから不安に思い、それがいつしか妬みに変わっていったのだろう。
「教職員の会議が開かれるようですから、まずはその会議で学校がどんな対応を取るか決まるでしょうね」
「そうね。明美には引き続き調査してもらいましょう」
そう言うと、有紗さんは、
『教えてくれてありがとう、明美。よくやった。これからも、明美のできる範囲でいいから調査をしてくれるかな』
というメッセージを送る。このメッセージ通り、明美さんには無理のない範囲で引き続き調査をお願いしたい。
『分かったよ、お姉ちゃん』
明美さんからそんなメッセージが返ってきた。
『美来や結菜と一緒にメッセージを見ています。明美さん、ありがとうございます。まだ学校から連絡はありませんが、緊急の職員会議が終わり次第、電話があると思います。そうしたら、メッセージで送りますね』
という果歩さんのメッセージが届いた。
もし連絡があったとしても、それは明美ちゃんが教えてくれた部活関連のことだと思う。それでも、前に進んでいることは確かだろう。
「ファーストアクションとしてはかなりいいと思うわ」
「そうですね。明美ちゃんの調査がいい影響を及ぼしていると思います」
僕と有紗さんは引き続き、新しい情報が入るのを待つことにしよう。
あと、今夜……羽賀や岡村に相談してみるとするか。あいつらなら、きっと何かいいアドバイスをくれると思うから。
「金曜日みたいに、最寄り駅で降りられない展開にはならないでくださいよ」
「大丈夫だよ。あのときはわざと降りなかったんだから。まあ、智也君の家に着いてベッドに横になったら、本当に気持ち良くてぐっすり眠ったけれど」
「……そうだったんですか」
今まで全然気付かなかったな。
「ねえ、智也君。キスしてよ」
「えっ? ここは職場ですよ」
今、僕らは自分達のデスクのあるフロアの休憩所にいる。昼休みでも人が全然いないけれど……いつ誰が来るか分からないし。
――ぎゅっ。
有紗さんが僕のことを抱きしめてくる。
「今だけでいいから、あたしだけを見ていてほしいの。わがままで、美来ちゃんのことがあるのも分かるけれど……」
彼女はそう言うけれど、午前中は有紗さんからベッタリとくっついてきたから、結構な時間、彼女のことだけを見てきているつもりだ。それでも、有紗さんはもっと僕にかまってほしいのかも。
「一度だけですよ」
そう言って、僕は有紗さんにキスした。
「誰かに見られるかもしれないので、今はこれで勘弁してください」
「……ありがとう」
有紗さんは笑顔を見せると、今度は有紗さんの方からキスをしてきた。
「一度だけだって言ったじゃないですか!」
「だって、キスをしたら嬉しくなっちゃったんだもん!」
「……まったく、困った先輩ですね」
有紗さんの頭を優しく撫でる。
やれやれ、僕のことが好きなのは嬉しいけれ、職場なんだから節度ある行動をしてほしいものだ。けれど、キスしてほしいと言われて、それに応じてしまう僕が言える立場ではないのかも。
そんないつもと違う昼休みを過ごして、午後の業務に入る。といっても、急な案件もないので、午前中に続いて業務に必要な技術の勉強だ。
「有紗さん、ここが分からないのですが……」
「ああ、そこはね……」
土日で有紗さんとかなり距離が近くなったので、分からないところが訊きやすくなった。それはとてもいいことなんだ。
「それで、こうなって……」
しかし、僕に教えてくれるとき、ボディタッチをしてくるのはいかがなものだろうか。絶対に、僕と有紗さんのことをカップルだと思っている人がいるよな。
「智也君、聞いてるの?」
「聞いていますよ。ただ、もう少し僕との距離感を考えた方がいいと思います。ここは僕の家じゃないんですから」
有紗さんだけに聞こえるように小さな声でそう言うと、有紗さんはクスッと笑って、
「大丈夫だよ。業務に支障を来たしていないんだし。それに、こうしていた方が智也君だって質問しやすいでしょう?」
「それはそうですけど。ただ、こうしていると、周りの方達に僕らのことを勘違いされると思うのですが」
先週の金曜日までの有紗さんと、今日の有紗さんは様子がまるで違う。それに何も思わない人の方が少ないと思うんだけれど。
「……どういう風に勘違いされるのかな?」
「えっと、それは……つ、付き合っているとか」
誰かに聞かれているかもしれないと思うと恥ずかしいけど、こういう風に言わないと有紗さんも分かってくれないだろう。
しかし、有紗さんはニッコリと笑って、
「あたしはそれでもいいけれど。もし、誰かに智也君に付き合っているのかって訊かれたら、付き合っていないけれど智也君のことが好きだって言うつもりだもん」
僕だけに聞こえるように、耳元でそう言ってきた。覗き込むように僕のことを見て、またニッコリと。本当に可愛らしい女性だ。
「……まあ、有紗さんがそういう風に考えているならいいです。僕も有紗さんには告白されたけれど、返事を待ってもらっていると言いますから。あと、今のところ、その……勉強に支障を来たしているわけではありませんし」
「本当に真面目ね、でも、そういうところも大好き」
大好きって耳元で囁かれ、キュンときてしまう。有紗さん、この状況を利用して僕との距離を近づけようとしているんだな。美来がこの様子を見たら、かなり嫉妬しそうだな。
――プルルッ。
僕と有紗さんのスマートフォンが鳴る。同時に鳴るってことは、果歩さんや明美ちゃんからメッセージが来たのかな?
時刻は午後3時半。高校の授業が終わる時間帯だから、明美ちゃんの可能性もありそうだ。
スマートフォンを確認すると、僕、美来、有紗さん、明美ちゃん、果歩さん、結菜ちゃん6人全員がメンバーになっているグループに、メッセージが1つ。
『美菜子に美来ちゃんのことについて問いただしました。そうしたら、美来ちゃんが自分よりも歌が上手く、それまで自分に集まっていた注目が彼女に移ったことに嫉妬して、悪口を言ったそうです』
そんなメッセージが明美ちゃんから届いていた。歌の上手さからの嫉妬か。きっと、それまでは大崎さんが声楽部の中では一番上手だったのかも。
「なるほど、部活ではそういう理由もあるのね」
「とりあえず、部活では美来へのいじめがあったことが確認できましたね」
明美ちゃんと大崎さんが友達同士だったことも幸いし、さっそく大きな一歩を踏み出すことができそうだ。
『美菜子と一緒に担任の先生にこのことを話しました。そのときに、朝比奈さんの親御さんから連絡があったと職員に知らされていると聞きました。これから、朝比奈さんのことで緊急の職員会議を開くとのことです』
続いて、明美さんからそんなメッセージが送られる。
大崎さんが美来へのいじめを認めたんだ。これで、学校側もしっかりと調査しないといけない状況になった。
『智也君と一緒にメッセージを見ているよ。ありがとう、明美。部活では大崎さんがいじめていたのね。それ以外に、何か分かったことはある?』
有紗さんがそんなメッセージを送る。そうだな、大崎さんは声楽部の部員だから、部活でのいじめについて他に何か分かったことがあるかもしれない。
すると、すぐに明美ちゃんからメッセージが届いた。
『美菜子曰く、3年生もいじめていたからみんなもそれに加わったみたい。何も言えなくて、見て見ぬふりをしていた部員もいたみたい。それも私の担任に伝えた』
なるほど。部活という閉鎖的な空間の中で、3年生がいじめに加担していたら、その空気に合わせて一緒に美来をいじめる生徒がいてもおかしくない。見て見ぬふりをしていた生徒もいたのも不思議ではない。
「同調圧力ってやつなのかしらね」
「最高学年の3年生がいじめに加担していると、下級生はもちろんのこと、同級生でもいじめを止めることは難しいのでしょう」
「きっと、先輩だからって美来ちゃんに好き勝手なことを言ったり、嫌なことをしたりしたんだろうね」
「そうですね。あと……歌が上手いから嫉妬したようですし。出る杭は打たれてしまうというか」
「それって、自分の実力に自信がないってことの裏返しだよね。だから、自分より上手い美来ちゃんをいじめた」
「なるほど。そうとも取れますね」
自分の実力に自信があったり、どのくらいの実力なのかちゃんと分かっていたりする人は、どんなに上手い人が目の前に現れても、その人を排除することはしないと思う。きっと、大崎さんは美来の実力を知ったとき、自分の実力のなさから不安に思い、それがいつしか妬みに変わっていったのだろう。
「教職員の会議が開かれるようですから、まずはその会議で学校がどんな対応を取るか決まるでしょうね」
「そうね。明美には引き続き調査してもらいましょう」
そう言うと、有紗さんは、
『教えてくれてありがとう、明美。よくやった。これからも、明美のできる範囲でいいから調査をしてくれるかな』
というメッセージを送る。このメッセージ通り、明美さんには無理のない範囲で引き続き調査をお願いしたい。
『分かったよ、お姉ちゃん』
明美さんからそんなメッセージが返ってきた。
『美来や結菜と一緒にメッセージを見ています。明美さん、ありがとうございます。まだ学校から連絡はありませんが、緊急の職員会議が終わり次第、電話があると思います。そうしたら、メッセージで送りますね』
という果歩さんのメッセージが届いた。
もし連絡があったとしても、それは明美ちゃんが教えてくれた部活関連のことだと思う。それでも、前に進んでいることは確かだろう。
「ファーストアクションとしてはかなりいいと思うわ」
「そうですね。明美ちゃんの調査がいい影響を及ぼしていると思います」
僕と有紗さんは引き続き、新しい情報が入るのを待つことにしよう。
あと、今夜……羽賀や岡村に相談してみるとするか。あいつらなら、きっと何かいいアドバイスをくれると思うから。
0
あなたにおすすめの小説
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる