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特別編7
前編1
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特別編7
7月15日、月曜日。
1学期の期末試験が終わってから1週間以上が経った。現在は午前中のみ授業があり、お昼に学校が終わる半日期間だ。この期間は終業式の前日まで続く。
先週のうちに、期末試験が実施された11科目の答案が全て返却された。どの教科も高得点で、数学Ⅰや数学A、英語表現Ⅰは100点満点。そのことに、俺・低田悠真は安心した。明日、三者面談があり、期末試験の成績と先日提出した進路希望調査票について話されるから。
今朝、昇降口のところにある掲示板に、1年生の期末試験の成績上位者の一覧が貼り出された。合計点の順位形式で、上位30名の名前が記載されている。
俺の順位は2位。1位は誰なのかというと、
『1位:高嶺結衣 (1-2) 1098点』
そう。高嶺結衣……俺の恋人だ。結衣は100点満点が通常運転で、点数を引かれたのは英語科目でのスペルミスだけ。順位表を見て、結衣の期末試験はほぼ完璧だったのだと改めて実感する。
友人の華頂胡桃と伊集院姫奈さんの名前もあり、それぞれ18位と25位。期末試験に向けて一緒に勉強したし、2人の名前があったのが嬉しかった。
期末試験も無事に終わったので、あとは三者面談を乗り越えれば夏休みだ。例年通りなら、あと数日で梅雨が明ける。夏本番はすぐそこまで迫っている。
午前授業の期間になってから、バイトなどの予定がない限り、放課後は結衣達と一緒にお昼ご飯を食べるのが恒例になっている。
今日は結衣の家で、結衣と胡桃、伊集院さん、2年生で俺のバイトの先輩の中野千佳先輩の5人でお昼ご飯を食べる。明日以降は予定が合わなくなるため、今日は5人でお昼ご飯を食べようと週末の間に決めたのだ。
結衣の家なので、結衣だけが私服に着替え、今はデニムパンツにノースリーブの黒いブラウスという涼しげな格好になっている。
結衣のご家族は全員外出中。なので、お昼ご飯は結衣と伊集院さんが作る冷やし中華。さすがは2人と言うべき美味しさだ。今日は雨が降ってジメジメしているから、冷たいお昼ご飯がとてもいいと思えた。
『ごちそうさまでした!』
「お粗末様でした」
「みんなに美味しく食べてもらえて良かったのです」
「2人とも美味しかったよ。ありがとう。片付けは俺がするよ」
「ゆう君、あたしも手伝うよ」
「あたしは……洗ったものを拭くわ、悠真、華頂ちゃん」
「じゃあ、後片付けは3人に任せますね」
結衣の了承を得たので、俺は胡桃と一緒に食器などを洗う。水の冷たさが気持ちいいから、この時期の食事の後片付けはいいものだ。
食器の数もそこまで多くなく、胡桃と一緒だから洗うのはすぐに終わり、中野先輩へバトンタッチするのであった。
後片付けが終わり、俺達は結衣の部屋へ。
これから、結衣がレンタルショップで借りてきた映画のBlu-rayを観るのだ。その作品は半年ほど前、受験シーズンに公開されていた実写ラブコメ作品。公開当時、切なくて泣けると話題になっており、報道番組でも取り上げられるほどだった。
結衣と伊集院さん、胡桃は金井高校の入試が終わった直後に観に行き、中野先輩も1年生のクラスメイトと一緒に観に行ったらしい。映画の内容を思い出したのか、胡桃と伊集院さんは観る前から涙を浮かべている。
俺は受験シーズンと重なっていたこともあり、劇場へ観には行かなかった。受験が終わったら漫画やラノベを読み漁ったり、アニメを観まくったり、音楽を聴きまくったり、低変人として作品を作りまくったりしていた。興味がないわけじゃないし、結衣と一緒に観られるのは嬉しい。
「泣ける映画らしいけど……俺、泣けるかな。あまのじゃくな体質があるのか、泣けるって凄く話題になっていると泣けないことがあって」
「そうなんだね、悠真君。どこで泣けるのかって構えたり、本当に泣けるのかってハードルが上がっちゃったりするのかな」
「そんな感じだと思う」
「なるほどね。泣けるって話題になったし、私は姫奈ちゃんと一緒に劇場で見たときに泣いたよ。だからって、泣かなきゃいけないわけじゃないからね。映画を観てどんな感想を抱いてもいいんだよ」
「……そうだね」
何だか、今の結衣の言葉で心がちょっと軽くなった気がする。
結衣と隣同士の形でクッション座り、俺はおよそ2時間の映画を楽しむのであった。たまに、映画に夢中になっている結衣の横顔を見ながら。その中でも何度か結衣と目が合い、そのときはキスした。
「……凄くいい映画だった」
映画が終わり、メニュー画面に戻ったとき、俺は自然とそんな言葉を口にしていた。気づけば頬に涙が伝っていて。
「2度目だけど、この映画はとてもいいね……」
結衣の両目には涙が浮かんでいる。
「あっ、悠真君も泣いてる」
「……泣いたよ。公開していたとき、切なくて泣けるってニュースで取り上げられていたけど、これは本当に泣けるいい映画だね」
「悠真君がいいって言ってくれて嬉しいな」
アニメで泣くことは何度かあるけど、実写の映画で涙腺を刺激されるのはこれが初めてかもしれない。終盤に主人公と付き合っている男の子が亡くなってしまうという、泣ける映画としてはベタな展開だけど泣けてしまった。
確か、この作品はノベライズ本が発売されていたと思う。近いうちに、胡桃がバイトしている本屋さんで買おうかな。
胡桃達を見てみると……胡桃と伊集院さんは身を寄せ合いながら泣いている。中野先輩もハンカチで両目から流れる涙を拭いている。胸にグッと来て、涙腺を刺激される内容だったので、劇場で観たことがある人でも泣いてしまうのも納得だ。
「劇場では観なかったけど、結衣と一緒に初めて観られて良かったよ。ありがとう」
「いえいえ。隣同士に座ったから、映画デートの気分を味わえて楽しかったよ。こちらこそありがとう」
快活な笑顔でそう言う結衣。
たまに結衣の横顔を見ていたし、俺も映画デートを味わっているようだった。夏休み中は、劇場でも家でも結衣と一緒に映画をたくさん観たいな。
――ぐううっ。
誰かのお腹が盛大に鳴った。ちなみに俺ではない。
部屋の中を見ると、中野先輩がはにかみながらお腹をさすっている。
「お腹鳴っちゃった。映画を観ている間はアイスコーヒーしか飲まなかったからかな」
「映画を観ていたのであっという間でしたけど、お昼ご飯を食べてから2時間以上も経っているのですね。あたしもちょっとお腹が空いたのです」
「お昼ご飯の直後から見始めたから、みんなコーヒーや紅茶を飲むだけだったもんね。あたし、近くのコンビニで何か買ってくるよ」
「待って、胡桃ちゃん。冷蔵庫にスイカが入っているの。お母さんが昨日、セールで安かったからって1玉買ってきて」
「そうだったんだ。スイカいいね!」
「でしょう? お昼ご飯から2時間以上経っていますし、おやつにスイカを食べましょうか」
結衣のそんな提案に、俺を含めてみんな賛成。午後のおやつにスイカを食べることになったのであった。
7月15日、月曜日。
1学期の期末試験が終わってから1週間以上が経った。現在は午前中のみ授業があり、お昼に学校が終わる半日期間だ。この期間は終業式の前日まで続く。
先週のうちに、期末試験が実施された11科目の答案が全て返却された。どの教科も高得点で、数学Ⅰや数学A、英語表現Ⅰは100点満点。そのことに、俺・低田悠真は安心した。明日、三者面談があり、期末試験の成績と先日提出した進路希望調査票について話されるから。
今朝、昇降口のところにある掲示板に、1年生の期末試験の成績上位者の一覧が貼り出された。合計点の順位形式で、上位30名の名前が記載されている。
俺の順位は2位。1位は誰なのかというと、
『1位:高嶺結衣 (1-2) 1098点』
そう。高嶺結衣……俺の恋人だ。結衣は100点満点が通常運転で、点数を引かれたのは英語科目でのスペルミスだけ。順位表を見て、結衣の期末試験はほぼ完璧だったのだと改めて実感する。
友人の華頂胡桃と伊集院姫奈さんの名前もあり、それぞれ18位と25位。期末試験に向けて一緒に勉強したし、2人の名前があったのが嬉しかった。
期末試験も無事に終わったので、あとは三者面談を乗り越えれば夏休みだ。例年通りなら、あと数日で梅雨が明ける。夏本番はすぐそこまで迫っている。
午前授業の期間になってから、バイトなどの予定がない限り、放課後は結衣達と一緒にお昼ご飯を食べるのが恒例になっている。
今日は結衣の家で、結衣と胡桃、伊集院さん、2年生で俺のバイトの先輩の中野千佳先輩の5人でお昼ご飯を食べる。明日以降は予定が合わなくなるため、今日は5人でお昼ご飯を食べようと週末の間に決めたのだ。
結衣の家なので、結衣だけが私服に着替え、今はデニムパンツにノースリーブの黒いブラウスという涼しげな格好になっている。
結衣のご家族は全員外出中。なので、お昼ご飯は結衣と伊集院さんが作る冷やし中華。さすがは2人と言うべき美味しさだ。今日は雨が降ってジメジメしているから、冷たいお昼ご飯がとてもいいと思えた。
『ごちそうさまでした!』
「お粗末様でした」
「みんなに美味しく食べてもらえて良かったのです」
「2人とも美味しかったよ。ありがとう。片付けは俺がするよ」
「ゆう君、あたしも手伝うよ」
「あたしは……洗ったものを拭くわ、悠真、華頂ちゃん」
「じゃあ、後片付けは3人に任せますね」
結衣の了承を得たので、俺は胡桃と一緒に食器などを洗う。水の冷たさが気持ちいいから、この時期の食事の後片付けはいいものだ。
食器の数もそこまで多くなく、胡桃と一緒だから洗うのはすぐに終わり、中野先輩へバトンタッチするのであった。
後片付けが終わり、俺達は結衣の部屋へ。
これから、結衣がレンタルショップで借りてきた映画のBlu-rayを観るのだ。その作品は半年ほど前、受験シーズンに公開されていた実写ラブコメ作品。公開当時、切なくて泣けると話題になっており、報道番組でも取り上げられるほどだった。
結衣と伊集院さん、胡桃は金井高校の入試が終わった直後に観に行き、中野先輩も1年生のクラスメイトと一緒に観に行ったらしい。映画の内容を思い出したのか、胡桃と伊集院さんは観る前から涙を浮かべている。
俺は受験シーズンと重なっていたこともあり、劇場へ観には行かなかった。受験が終わったら漫画やラノベを読み漁ったり、アニメを観まくったり、音楽を聴きまくったり、低変人として作品を作りまくったりしていた。興味がないわけじゃないし、結衣と一緒に観られるのは嬉しい。
「泣ける映画らしいけど……俺、泣けるかな。あまのじゃくな体質があるのか、泣けるって凄く話題になっていると泣けないことがあって」
「そうなんだね、悠真君。どこで泣けるのかって構えたり、本当に泣けるのかってハードルが上がっちゃったりするのかな」
「そんな感じだと思う」
「なるほどね。泣けるって話題になったし、私は姫奈ちゃんと一緒に劇場で見たときに泣いたよ。だからって、泣かなきゃいけないわけじゃないからね。映画を観てどんな感想を抱いてもいいんだよ」
「……そうだね」
何だか、今の結衣の言葉で心がちょっと軽くなった気がする。
結衣と隣同士の形でクッション座り、俺はおよそ2時間の映画を楽しむのであった。たまに、映画に夢中になっている結衣の横顔を見ながら。その中でも何度か結衣と目が合い、そのときはキスした。
「……凄くいい映画だった」
映画が終わり、メニュー画面に戻ったとき、俺は自然とそんな言葉を口にしていた。気づけば頬に涙が伝っていて。
「2度目だけど、この映画はとてもいいね……」
結衣の両目には涙が浮かんでいる。
「あっ、悠真君も泣いてる」
「……泣いたよ。公開していたとき、切なくて泣けるってニュースで取り上げられていたけど、これは本当に泣けるいい映画だね」
「悠真君がいいって言ってくれて嬉しいな」
アニメで泣くことは何度かあるけど、実写の映画で涙腺を刺激されるのはこれが初めてかもしれない。終盤に主人公と付き合っている男の子が亡くなってしまうという、泣ける映画としてはベタな展開だけど泣けてしまった。
確か、この作品はノベライズ本が発売されていたと思う。近いうちに、胡桃がバイトしている本屋さんで買おうかな。
胡桃達を見てみると……胡桃と伊集院さんは身を寄せ合いながら泣いている。中野先輩もハンカチで両目から流れる涙を拭いている。胸にグッと来て、涙腺を刺激される内容だったので、劇場で観たことがある人でも泣いてしまうのも納得だ。
「劇場では観なかったけど、結衣と一緒に初めて観られて良かったよ。ありがとう」
「いえいえ。隣同士に座ったから、映画デートの気分を味わえて楽しかったよ。こちらこそありがとう」
快活な笑顔でそう言う結衣。
たまに結衣の横顔を見ていたし、俺も映画デートを味わっているようだった。夏休み中は、劇場でも家でも結衣と一緒に映画をたくさん観たいな。
――ぐううっ。
誰かのお腹が盛大に鳴った。ちなみに俺ではない。
部屋の中を見ると、中野先輩がはにかみながらお腹をさすっている。
「お腹鳴っちゃった。映画を観ている間はアイスコーヒーしか飲まなかったからかな」
「映画を観ていたのであっという間でしたけど、お昼ご飯を食べてから2時間以上も経っているのですね。あたしもちょっとお腹が空いたのです」
「お昼ご飯の直後から見始めたから、みんなコーヒーや紅茶を飲むだけだったもんね。あたし、近くのコンビニで何か買ってくるよ」
「待って、胡桃ちゃん。冷蔵庫にスイカが入っているの。お母さんが昨日、セールで安かったからって1玉買ってきて」
「そうだったんだ。スイカいいね!」
「でしょう? お昼ご飯から2時間以上経っていますし、おやつにスイカを食べましょうか」
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