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夏休み編
第9話『潮風見』
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高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで何度か休憩を挟んだり、道の駅で昼食を食べたりしたので、午後2時近くになって旅館・潮風見と海水浴場のある梅崎町に入った。
俺達が住んでいる金井市からは長い道のりだけど、低変人の曲をBGMにしたり、結衣が持ってきたニジイロキラリのアルバムを流したり、たまにみんなで歌ったりもしたので、ここまであっという間だった。ただ、低変人の曲をかけているときは、
「低変人様の曲は神曲ばかりだねっ!」
運転する福王寺先生がかなり興奮していたので、事故を起こしてしまわないかヒヤヒヤしてしまうことはあったけど。
今は海沿いの道を走っており、進行方向の右側には青くて綺麗な駿河湾が広がっている。海の見えるところに住んでいないから、個人的には海を見るだけで旅行に来ていると実感できる。あと、海をバックにした結衣がとても美しい。
ちなみに、最初に海が見えたとき、結衣と中野先輩、芹花姉さん、柚月ちゃんが、
「海だー!」
と、大きな声を上げて興奮していた。それはもちろんのこと、胡桃や伊集院さんも「綺麗な海……」と感激した様子で海を眺めていたのが印象的で。青春アニメや学園アニメのワンシーンを見ているようだった。
「ここら辺の景色を見ていたら、3年前のことを思い出してきたよ。懐かしいなぁ」
「あたしもだよ、お姉ちゃん。3年前に一度来ただけだけど、意外と思い出せるものだね」
「そうだね。ねえ、姫奈ちゃん。ここから旅館までは結構近いよね?」
「そうですね。このまま行けば、あと10分くらいで着くのです。あと、あたしにとっては親しみのある旅の景色なのですよ」
これまでに来たことがある結衣、伊集院さん、柚月ちゃんにとっては思い出に浸ったり、懐かしんだりする旅にもなりそうだ。
あと10分くらいで、俺達が泊まる旅館・潮風見と海水浴場に到着するのか。それを聞くと、楽しみな気持ちが膨らんでいく。結衣達と海水浴……そして水着姿が楽しみだ。
「あと少しで悠真君達と海水浴できると思うと、テンション上がってくるよっ!」
楽しそうにそう言うと、結衣は俺の右腕をぎゅっと抱きしめ、頭をスリスリしてくる。結衣も同じような気持ちだったか。そんな結衣の頭を優しく撫でる。
車に乗っているときは手を重ねるか、寄り掛かるか、腕を抱きしめるかして、常に結衣の温もりを感じられて快適だ。たまに芹花姉さんもボディータッチしてくるし。エアコンが結構効いていて車内は涼しいけど、2人のおかげで寒くは感じなかった。
それから10分ほどで車は梅崎温泉郷に入る。それまで自然の多かった景色も、旅館や飲食店、お土産屋など建物がたくさん見えるように。人気のある温泉地で海水浴場もあるからか、性別や年齢問わず人の姿がそれなりにある。
「前方左側にあるのが潮風見なのです」
伊集院さんがそう言う。車窓からその方向を見ると、白を基調とした落ち着いた和風の建物が見える。旅行前に公式サイトなどで外観の写真を見ていたので、その建物が潮風見であることはすぐに分かった。
写真の段階で建物の立派さは分かっていたけど、実際に見るとより実感する。この温泉郷にある旅館の中では一番立派に思える。
「午後2時を……過ぎているのですね。もうチェックインできますので、海水浴に行く前に済ませましょうか。そうすれば、お部屋に荷物を置けるのです。潮風見には、宿泊者のみが利用できる海水浴用の更衣室とシャワールームがあるので」
おおっ、さすがは伊集院さん。チェックインのことや、旅館にある施設についてもしっかりと把握している。結衣と柚月ちゃんは「更衣室とかあったね~」と呟いている。以前来たときも、そこで着替えをしたのだろう。
「それがいいわね、姫奈ちゃん。とりあえず、車を旅館の駐車場に止めますか」
海水浴をした後だと疲れている可能性が高い。だから、事前にチェックインしたり、荷物を泊まる部屋に運んでおいたりした方が無難だろう。
それから程なくして、車は潮風見の駐車場へ。チェックイン開始からあまり時間が経っていないのか、駐車場に止めてある車は片手で数えるほど。
濃い水色の作務衣を着た仲居さんの案内により、無事に駐車完了。
車から降りると、海のすぐ近くだから潮の香りがしてくる。そのおかげか、暑いけど、金井市よりも爽やかさが感じられる。海水浴場が近いのもあり、賑やかな声が聞こえてきて。
「着いたー! 懐かしいなぁ」
結衣は車から降りると、明るくそう言った。
車のトランクからビーチパラソルやレジャーシートなどビーチグッズ以外の荷物を出し、俺達は潮風見の入口に向かって歩き始める。
改めて潮風見を見ると……立派な旅館だなぁ。パッと見、5階か6階までありそう。大きな旅館やホテルだと、どの場所にある部屋に泊まるのか楽しみになる。
潮風見の中に入ると、目の前には綺麗で落ち着いた和の空間が広がる。とても短い距離だけど、暑い中を歩いたのでここは涼しくて気持ちがいい。
この旅館は玄関で靴を脱ぐスタイルのようだ。靴を脱ぎ、館内用のスリッパに履き替える。
部屋を予約した伊集院さんと、8人の中の最年長の福王寺先生がフロントでチェックインの手続きをする。俺を含めたそれ以外の6人は、近くのソファーに座って待つことに。
「綺麗な旅館だね、結衣」
「うん! 3年前と変わらず綺麗だよ。まさか、ここに悠真君達と泊まりに来られるなんてね。幸せだなぁ」
そう言うと、結衣は言葉通りの幸せそうな表情を見せ、俺に寄り掛かってくる。そのことに俺も段々と幸せになってきたぞ。
「お姉ちゃんと悠真さんを見ていると、2人の新婚旅行に同行している感じがするよ」
「ふふっ。ゆう君と結衣ちゃん、今日も凄くいい雰囲気だもんね」
「部屋割りも、2人部屋には悠真と高嶺ちゃんが泊まるし」
「ユウちゃんと一緒の部屋で寝たかったけど、結衣ちゃんは恋人だからね。まあ、あたしは普段から寝ようと思えば一緒に寝られるし」
「そんな環境にいるお姉様が羨ましいです。あと、これは新婚旅行じゃなくて、婚前旅行だよ、柚月」
俺も結衣もまだ結婚できる年齢じゃないけどな。でも、いずれは結婚して夫婦になろうと約束し合ったから、婚前旅行でも間違いではないかも。
あと、中野先輩が言ったとおり、俺と結衣が一緒の部屋で泊まる。
部屋割りについては夏休みが始まった頃に決めた。
予約できたのが2人部屋と6人部屋。まずは男の俺が自動的に2人部屋の方へ。すると、2人部屋の残り1枠も自動的に結衣と決まり、胡桃達6人は6人部屋に泊まることになったのだ。非常に簡単な部屋割り決めとなった。
「姫奈ちゃん、久しぶりね。大きくなって」
落ち着いて上品な印象の女性の声が聞こえた。
伊集院さんのいるフロントの方を見ると、伊集院さんと福王寺先生の近くに、青い和服姿の女性が立っていた。かんざしで纏められた艶やかな黒髪。貫禄も感じられる落ち着いた雰囲気からして、50代から還暦前後だろうか。あと、さっきの言葉からして、女性はこの旅館を経営する伊集院さんの親戚の方かな。
伊集院さんと福王寺先生は和服姿の女性と話した後、3人でこちらにやってくる。
「チェックインの手続きを済ませたのです。結衣と柚月は会ったことがありますが、こちらの女性があたしの親戚で、この潮風見の女将・風見博美なのです」
「風見博美と申します。姫奈ちゃんがいつもお世話になっております」
そう言うと、和服姿の女性……風見さんは俺達に向かってゆっくりと頭を下げる。女将さんだけあって、頭を下げる所作がとても美しい。俺も風見さんにつられて頭を下げる。
「高校でも、姫奈ちゃんが素敵な方達と出会えたと分かって嬉しく思います。これからも姫奈ちゃんをよろしくお願いします。そして、結衣ちゃんと柚月ちゃんも久しぶりね」
話題は結衣と柚月ちゃんに。だからか、2人はソファーからゆっくりと立ち上がる。
「お久しぶりです、博美さん。3年経って、私は高校生、柚月は中学生になりました」
「お姉ちゃんや姫奈ちゃん達とまた泊まりに来られて嬉しいです」
「私も2人と会えて嬉しいわ。学生の3年って本当に大きいわね。2人とも綺麗で可愛らしい女性になられて」
ふふっ、と上品に笑う風見さん。もしかしたら、風見さんにとっては結衣や柚月ちゃんも親戚の子のように思っているのかもしれない。2人は伊集院さんの親友とその妹だから。
「姫奈ちゃんから聞きましたが、そちらの金色の髪の男性が結衣ちゃんの彼氏さんなのですね
「はい。低田悠真といいます、初めまして。結衣とは2ヶ月くらい前から付き合っています」
「悠真君とは高校入学のときに出会って。素敵な人と付き合えて、私は毎日幸せです」
「良かったわね、結衣ちゃん。今夜は502号室で、2人でラブラブな時間を過ごしてね」
「はいっ!」
とっても元気よく返事をする結衣。
あと、風見さん……ラブラブな時間を過ごしてと言うとは。見た目や話し方の雰囲気からして、高校生カップルが2人部屋に泊まることを許さないと言うと思っていた。芹花姉さんがいるし、姉さんと俺が泊まりなさいって。
風見さんはフロントにある台車を持ってくる。
「お部屋までご案内します。5階の501号室と502号室になります。お荷物はこの台車で運びますね」
5階の部屋か。そこからであれば、部屋からの景色はとても良さそうだ。
俺達は荷物を台車に置き、エレベーターを使って宿泊する部屋がある5階へと向かう。
5階に到着。客室しかないのもあり、フロントよりもさらに落ち着いた雰囲気だ。
「まずは6人部屋の501号室へご案内しますね」
風見さんの案内で、エレベーターホールから501号室へ向かって歩く。
客室の扉の側には、部屋番号と『朝顔』などといった花の名前が描かれた木の看板が設置されている。部屋ごとに名前が付けられているようだ。
やがて、俺と結衣が泊まる502号室の前を通る。502号室には『牡丹』と名付けられていた。
「こちらが501号室になります」
風見さんはそう言うと、鍵を解錠して501号室の扉を開ける。502号室に泊まる俺と結衣も501号室の中へ。その際に扉の側の看板を見ると、そこには『百合』と描かれていた。
『おおっ……』
胡桃と中野先輩、柚月ちゃん、芹花姉さんはそんな声を上げている。
結衣と一緒に501号室に入ると、そこには広い和室が。6人まで泊まれる部屋だけあってかなりの広さだ。ここまで広い和室を見るのは初めてかも。窓からは駿河湾の美しい海が見える。
「素敵なお部屋だね、悠真君」
「そうだね。ここに来たら、俺達が泊まる部屋がより楽しみになった」
「うんっ!」
結衣は大きく頷く。
「こちらの部屋に泊まるお客様達の荷物をお運びしました。では、結衣ちゃんと低田様が泊まる502号室へご案内します」
「お願いしますっ!」
「お願いします」
結衣ちゃんと低田様か。その呼び方の違いにクスッと笑い声を漏らした。結衣の彼氏だと紹介したし、低田君とかでいいのにな。
501号室を出て、俺と結衣が泊まる502号室へ。
風見さんが鍵を解錠し、502号室の扉を開ける。俺は結衣に手を引かれる形で502号室の中へ。
「502号室も和室だね!」
「ああ。素敵な部屋だね」
2人部屋だけあって、6人部屋の501号室より狭い。ただ、結衣と2人で泊まるから、このくらいの広さの方が落ち着けると思う。
平日とはいえ、夏休み真っ盛り。海水浴場の目の前にあって、部屋からは駿河湾の海を一望できる。2週間前によく2部屋確保できたと思う。前にネットで調べたら、この旅館はかなり高い評判だと分かったし。
「こっちの部屋も素敵だね」
胡桃が部屋の中を見渡しながらそう言った。
501号室に来たときと同じように、風見さんはここに泊まる結衣と俺の荷物を運んでくれた。有り難い限りである。
「案内は以上になります。夕食は午後6時半から各部屋での食事となり、朝食は1階にある食事処『風見の間』でのバイキング形式となります。午前6時から9時までとなります。結衣ちゃん、低田様。先ほど、姫奈ちゃんと福王寺様には話したのですが、夕食は501号室で8人一緒に食べる形でよろしいですか?」
「はいっ! みんなで食べる方が美味しいと思いますし。悠真君はどう?」
「みんなで食べられるなら、俺もみんなと一緒に食べたいな」
「かしこまりました。では、お二人も501号室での食事ということで。何かありましたら、フロントまでご連絡ください。失礼いたします」
汐見さんはゆっくり頭を下げると、502号室を後にした。
「移動の疲れもあるだろうし、荷物の整理とかもしたい子もいるだろうから、15分くらい経ったら部屋の前で集合して、海へ行きましょう」
『はーい』
福王寺先生の言葉にみんなが賛同の返事をする。こうしていると、何だか修学旅行っぽいな。
そして、501号室に泊まる6人は502号室を後にした。そのことで、結衣と2人きりになる。サービスエリアなどで結衣と2人で行動することはあったけど、そのときは周りに多くの人がいた。完全に2人だけの状況になるのは、今日になってからはこれが初めてだ。
「悠真君」
俺の名前を言うと、結衣は正面から俺を抱きしめた。顔を俺の胸に埋めて。そのことで、結衣の温もりと柔らかさをはっきりと感じる。汗混じりの甘い匂いが香ってきて。
「みんなと一緒にいる時間も好き。だけど、悠真君と2人きりになれたから……つい」
「……そうか」
俺は両手を結衣の背中の方へ回す。
すると、結衣は俺の胸から顔を離し、俺のことを見上げてくる。俺と目が合うと、結衣はゆっくりと顔を近づけ、やがて唇を重ねてきた。
キスをする中、お互いに抱擁を強くする。全身で結衣の温もりを感じるけど、部屋の中が涼しいので心地よく感じられた。
少しして結衣の方から唇を離した。結衣はうっとりとした様子で俺を見つめる。そんな結衣がとても可愛くて。
「悠真君達と一緒に旅行できて、こんなに素敵な部屋で悠真君と2人でお泊まりできるなんて。本当に幸せだよ。博美さんの言葉を借りちゃうけど……ラブラブした時間を過ごそうね」
「ああ。2人きりの時間も、みんなとの時間も楽しもう」
「うんっ!」
約束の意味を込めて、今度は俺からキスした。今夜、この部屋で2人きりになったときは特にラブラブした時間を過ごしたい。
それからは海水浴の準備をしたり、部屋の中や窓から見える景色をスマホやデジカメで撮影したりして、集合するまでの時間を楽しんだ。
俺達が住んでいる金井市からは長い道のりだけど、低変人の曲をBGMにしたり、結衣が持ってきたニジイロキラリのアルバムを流したり、たまにみんなで歌ったりもしたので、ここまであっという間だった。ただ、低変人の曲をかけているときは、
「低変人様の曲は神曲ばかりだねっ!」
運転する福王寺先生がかなり興奮していたので、事故を起こしてしまわないかヒヤヒヤしてしまうことはあったけど。
今は海沿いの道を走っており、進行方向の右側には青くて綺麗な駿河湾が広がっている。海の見えるところに住んでいないから、個人的には海を見るだけで旅行に来ていると実感できる。あと、海をバックにした結衣がとても美しい。
ちなみに、最初に海が見えたとき、結衣と中野先輩、芹花姉さん、柚月ちゃんが、
「海だー!」
と、大きな声を上げて興奮していた。それはもちろんのこと、胡桃や伊集院さんも「綺麗な海……」と感激した様子で海を眺めていたのが印象的で。青春アニメや学園アニメのワンシーンを見ているようだった。
「ここら辺の景色を見ていたら、3年前のことを思い出してきたよ。懐かしいなぁ」
「あたしもだよ、お姉ちゃん。3年前に一度来ただけだけど、意外と思い出せるものだね」
「そうだね。ねえ、姫奈ちゃん。ここから旅館までは結構近いよね?」
「そうですね。このまま行けば、あと10分くらいで着くのです。あと、あたしにとっては親しみのある旅の景色なのですよ」
これまでに来たことがある結衣、伊集院さん、柚月ちゃんにとっては思い出に浸ったり、懐かしんだりする旅にもなりそうだ。
あと10分くらいで、俺達が泊まる旅館・潮風見と海水浴場に到着するのか。それを聞くと、楽しみな気持ちが膨らんでいく。結衣達と海水浴……そして水着姿が楽しみだ。
「あと少しで悠真君達と海水浴できると思うと、テンション上がってくるよっ!」
楽しそうにそう言うと、結衣は俺の右腕をぎゅっと抱きしめ、頭をスリスリしてくる。結衣も同じような気持ちだったか。そんな結衣の頭を優しく撫でる。
車に乗っているときは手を重ねるか、寄り掛かるか、腕を抱きしめるかして、常に結衣の温もりを感じられて快適だ。たまに芹花姉さんもボディータッチしてくるし。エアコンが結構効いていて車内は涼しいけど、2人のおかげで寒くは感じなかった。
それから10分ほどで車は梅崎温泉郷に入る。それまで自然の多かった景色も、旅館や飲食店、お土産屋など建物がたくさん見えるように。人気のある温泉地で海水浴場もあるからか、性別や年齢問わず人の姿がそれなりにある。
「前方左側にあるのが潮風見なのです」
伊集院さんがそう言う。車窓からその方向を見ると、白を基調とした落ち着いた和風の建物が見える。旅行前に公式サイトなどで外観の写真を見ていたので、その建物が潮風見であることはすぐに分かった。
写真の段階で建物の立派さは分かっていたけど、実際に見るとより実感する。この温泉郷にある旅館の中では一番立派に思える。
「午後2時を……過ぎているのですね。もうチェックインできますので、海水浴に行く前に済ませましょうか。そうすれば、お部屋に荷物を置けるのです。潮風見には、宿泊者のみが利用できる海水浴用の更衣室とシャワールームがあるので」
おおっ、さすがは伊集院さん。チェックインのことや、旅館にある施設についてもしっかりと把握している。結衣と柚月ちゃんは「更衣室とかあったね~」と呟いている。以前来たときも、そこで着替えをしたのだろう。
「それがいいわね、姫奈ちゃん。とりあえず、車を旅館の駐車場に止めますか」
海水浴をした後だと疲れている可能性が高い。だから、事前にチェックインしたり、荷物を泊まる部屋に運んでおいたりした方が無難だろう。
それから程なくして、車は潮風見の駐車場へ。チェックイン開始からあまり時間が経っていないのか、駐車場に止めてある車は片手で数えるほど。
濃い水色の作務衣を着た仲居さんの案内により、無事に駐車完了。
車から降りると、海のすぐ近くだから潮の香りがしてくる。そのおかげか、暑いけど、金井市よりも爽やかさが感じられる。海水浴場が近いのもあり、賑やかな声が聞こえてきて。
「着いたー! 懐かしいなぁ」
結衣は車から降りると、明るくそう言った。
車のトランクからビーチパラソルやレジャーシートなどビーチグッズ以外の荷物を出し、俺達は潮風見の入口に向かって歩き始める。
改めて潮風見を見ると……立派な旅館だなぁ。パッと見、5階か6階までありそう。大きな旅館やホテルだと、どの場所にある部屋に泊まるのか楽しみになる。
潮風見の中に入ると、目の前には綺麗で落ち着いた和の空間が広がる。とても短い距離だけど、暑い中を歩いたのでここは涼しくて気持ちがいい。
この旅館は玄関で靴を脱ぐスタイルのようだ。靴を脱ぎ、館内用のスリッパに履き替える。
部屋を予約した伊集院さんと、8人の中の最年長の福王寺先生がフロントでチェックインの手続きをする。俺を含めたそれ以外の6人は、近くのソファーに座って待つことに。
「綺麗な旅館だね、結衣」
「うん! 3年前と変わらず綺麗だよ。まさか、ここに悠真君達と泊まりに来られるなんてね。幸せだなぁ」
そう言うと、結衣は言葉通りの幸せそうな表情を見せ、俺に寄り掛かってくる。そのことに俺も段々と幸せになってきたぞ。
「お姉ちゃんと悠真さんを見ていると、2人の新婚旅行に同行している感じがするよ」
「ふふっ。ゆう君と結衣ちゃん、今日も凄くいい雰囲気だもんね」
「部屋割りも、2人部屋には悠真と高嶺ちゃんが泊まるし」
「ユウちゃんと一緒の部屋で寝たかったけど、結衣ちゃんは恋人だからね。まあ、あたしは普段から寝ようと思えば一緒に寝られるし」
「そんな環境にいるお姉様が羨ましいです。あと、これは新婚旅行じゃなくて、婚前旅行だよ、柚月」
俺も結衣もまだ結婚できる年齢じゃないけどな。でも、いずれは結婚して夫婦になろうと約束し合ったから、婚前旅行でも間違いではないかも。
あと、中野先輩が言ったとおり、俺と結衣が一緒の部屋で泊まる。
部屋割りについては夏休みが始まった頃に決めた。
予約できたのが2人部屋と6人部屋。まずは男の俺が自動的に2人部屋の方へ。すると、2人部屋の残り1枠も自動的に結衣と決まり、胡桃達6人は6人部屋に泊まることになったのだ。非常に簡単な部屋割り決めとなった。
「姫奈ちゃん、久しぶりね。大きくなって」
落ち着いて上品な印象の女性の声が聞こえた。
伊集院さんのいるフロントの方を見ると、伊集院さんと福王寺先生の近くに、青い和服姿の女性が立っていた。かんざしで纏められた艶やかな黒髪。貫禄も感じられる落ち着いた雰囲気からして、50代から還暦前後だろうか。あと、さっきの言葉からして、女性はこの旅館を経営する伊集院さんの親戚の方かな。
伊集院さんと福王寺先生は和服姿の女性と話した後、3人でこちらにやってくる。
「チェックインの手続きを済ませたのです。結衣と柚月は会ったことがありますが、こちらの女性があたしの親戚で、この潮風見の女将・風見博美なのです」
「風見博美と申します。姫奈ちゃんがいつもお世話になっております」
そう言うと、和服姿の女性……風見さんは俺達に向かってゆっくりと頭を下げる。女将さんだけあって、頭を下げる所作がとても美しい。俺も風見さんにつられて頭を下げる。
「高校でも、姫奈ちゃんが素敵な方達と出会えたと分かって嬉しく思います。これからも姫奈ちゃんをよろしくお願いします。そして、結衣ちゃんと柚月ちゃんも久しぶりね」
話題は結衣と柚月ちゃんに。だからか、2人はソファーからゆっくりと立ち上がる。
「お久しぶりです、博美さん。3年経って、私は高校生、柚月は中学生になりました」
「お姉ちゃんや姫奈ちゃん達とまた泊まりに来られて嬉しいです」
「私も2人と会えて嬉しいわ。学生の3年って本当に大きいわね。2人とも綺麗で可愛らしい女性になられて」
ふふっ、と上品に笑う風見さん。もしかしたら、風見さんにとっては結衣や柚月ちゃんも親戚の子のように思っているのかもしれない。2人は伊集院さんの親友とその妹だから。
「姫奈ちゃんから聞きましたが、そちらの金色の髪の男性が結衣ちゃんの彼氏さんなのですね
「はい。低田悠真といいます、初めまして。結衣とは2ヶ月くらい前から付き合っています」
「悠真君とは高校入学のときに出会って。素敵な人と付き合えて、私は毎日幸せです」
「良かったわね、結衣ちゃん。今夜は502号室で、2人でラブラブな時間を過ごしてね」
「はいっ!」
とっても元気よく返事をする結衣。
あと、風見さん……ラブラブな時間を過ごしてと言うとは。見た目や話し方の雰囲気からして、高校生カップルが2人部屋に泊まることを許さないと言うと思っていた。芹花姉さんがいるし、姉さんと俺が泊まりなさいって。
風見さんはフロントにある台車を持ってくる。
「お部屋までご案内します。5階の501号室と502号室になります。お荷物はこの台車で運びますね」
5階の部屋か。そこからであれば、部屋からの景色はとても良さそうだ。
俺達は荷物を台車に置き、エレベーターを使って宿泊する部屋がある5階へと向かう。
5階に到着。客室しかないのもあり、フロントよりもさらに落ち着いた雰囲気だ。
「まずは6人部屋の501号室へご案内しますね」
風見さんの案内で、エレベーターホールから501号室へ向かって歩く。
客室の扉の側には、部屋番号と『朝顔』などといった花の名前が描かれた木の看板が設置されている。部屋ごとに名前が付けられているようだ。
やがて、俺と結衣が泊まる502号室の前を通る。502号室には『牡丹』と名付けられていた。
「こちらが501号室になります」
風見さんはそう言うと、鍵を解錠して501号室の扉を開ける。502号室に泊まる俺と結衣も501号室の中へ。その際に扉の側の看板を見ると、そこには『百合』と描かれていた。
『おおっ……』
胡桃と中野先輩、柚月ちゃん、芹花姉さんはそんな声を上げている。
結衣と一緒に501号室に入ると、そこには広い和室が。6人まで泊まれる部屋だけあってかなりの広さだ。ここまで広い和室を見るのは初めてかも。窓からは駿河湾の美しい海が見える。
「素敵なお部屋だね、悠真君」
「そうだね。ここに来たら、俺達が泊まる部屋がより楽しみになった」
「うんっ!」
結衣は大きく頷く。
「こちらの部屋に泊まるお客様達の荷物をお運びしました。では、結衣ちゃんと低田様が泊まる502号室へご案内します」
「お願いしますっ!」
「お願いします」
結衣ちゃんと低田様か。その呼び方の違いにクスッと笑い声を漏らした。結衣の彼氏だと紹介したし、低田君とかでいいのにな。
501号室を出て、俺と結衣が泊まる502号室へ。
風見さんが鍵を解錠し、502号室の扉を開ける。俺は結衣に手を引かれる形で502号室の中へ。
「502号室も和室だね!」
「ああ。素敵な部屋だね」
2人部屋だけあって、6人部屋の501号室より狭い。ただ、結衣と2人で泊まるから、このくらいの広さの方が落ち着けると思う。
平日とはいえ、夏休み真っ盛り。海水浴場の目の前にあって、部屋からは駿河湾の海を一望できる。2週間前によく2部屋確保できたと思う。前にネットで調べたら、この旅館はかなり高い評判だと分かったし。
「こっちの部屋も素敵だね」
胡桃が部屋の中を見渡しながらそう言った。
501号室に来たときと同じように、風見さんはここに泊まる結衣と俺の荷物を運んでくれた。有り難い限りである。
「案内は以上になります。夕食は午後6時半から各部屋での食事となり、朝食は1階にある食事処『風見の間』でのバイキング形式となります。午前6時から9時までとなります。結衣ちゃん、低田様。先ほど、姫奈ちゃんと福王寺様には話したのですが、夕食は501号室で8人一緒に食べる形でよろしいですか?」
「はいっ! みんなで食べる方が美味しいと思いますし。悠真君はどう?」
「みんなで食べられるなら、俺もみんなと一緒に食べたいな」
「かしこまりました。では、お二人も501号室での食事ということで。何かありましたら、フロントまでご連絡ください。失礼いたします」
汐見さんはゆっくり頭を下げると、502号室を後にした。
「移動の疲れもあるだろうし、荷物の整理とかもしたい子もいるだろうから、15分くらい経ったら部屋の前で集合して、海へ行きましょう」
『はーい』
福王寺先生の言葉にみんなが賛同の返事をする。こうしていると、何だか修学旅行っぽいな。
そして、501号室に泊まる6人は502号室を後にした。そのことで、結衣と2人きりになる。サービスエリアなどで結衣と2人で行動することはあったけど、そのときは周りに多くの人がいた。完全に2人だけの状況になるのは、今日になってからはこれが初めてだ。
「悠真君」
俺の名前を言うと、結衣は正面から俺を抱きしめた。顔を俺の胸に埋めて。そのことで、結衣の温もりと柔らかさをはっきりと感じる。汗混じりの甘い匂いが香ってきて。
「みんなと一緒にいる時間も好き。だけど、悠真君と2人きりになれたから……つい」
「……そうか」
俺は両手を結衣の背中の方へ回す。
すると、結衣は俺の胸から顔を離し、俺のことを見上げてくる。俺と目が合うと、結衣はゆっくりと顔を近づけ、やがて唇を重ねてきた。
キスをする中、お互いに抱擁を強くする。全身で結衣の温もりを感じるけど、部屋の中が涼しいので心地よく感じられた。
少しして結衣の方から唇を離した。結衣はうっとりとした様子で俺を見つめる。そんな結衣がとても可愛くて。
「悠真君達と一緒に旅行できて、こんなに素敵な部屋で悠真君と2人でお泊まりできるなんて。本当に幸せだよ。博美さんの言葉を借りちゃうけど……ラブラブした時間を過ごそうね」
「ああ。2人きりの時間も、みんなとの時間も楽しもう」
「うんっ!」
約束の意味を込めて、今度は俺からキスした。今夜、この部屋で2人きりになったときは特にラブラブした時間を過ごしたい。
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そんなラブコメディです。
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