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2学期編2
第3話『フリーフォール』
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「おかえりなさーい!」
マシンがスタート地点に戻ってきたとき、俺達を席に案内してくれた女性のスタッフさんが笑顔でそう言ってくれた。楽しかったけど怖さもあったので、「おかえり」と言われると、ジェットコースターが終わったのだと分かって安心する。
「あぁ、楽しかった!」
結衣は満面の笑顔でそう言った。さすがは絶叫系アトラクション好きだ。
「走っている間も笑顔で絶叫していたもんな」
「うんっ! 速くてスリルがあったから、いっぱい叫んだよ! 隣で悠真君が結構叫んでたから、今までで一番気持ち良く叫べたよ」
「それは良かった。俺、絶叫しまくった自覚あるし。久しぶりだからなかなか怖かった。結衣と一緒だから楽しかったけど」
「そう言ってくれて嬉しい。悠真君、ウォータースライダーを滑ったときよりも叫んでたね」
「あのウォータースライダーが可愛いと思えるくらいだったよ」
「そっか」
あははっ、と結衣は声に出して笑う。今の俺の答えがツボに入ったのだろうか。こういうことでも、恋人を笑わせられるのは嬉しいものだ。
それからすぐに、女性のスタッフさんが安全バーを上げてくれた。なので、俺達はマシンから降りる。マシンが走っている間もずっと握っていた結衣の手を引いて。
「数分も高速で動くマシンに乗っていたからかな。地面に立つと不思議な感覚だ」
「ふふっ、そうだね。久しぶりにジェットコースターを乗ったけど、気分は大丈夫?」
「大丈夫だ。気持ち悪くなったりはしてない」
「良かった」
「結衣はどう?」
「ますます元気になったよ!」
ニッコリとした笑顔でそう答える結衣。
「良かった。さすがだ」
俺がそう答えると、結衣は嬉しそうに「えへへっ」と笑った。
俺達はジェットコースター乗り場を後にする。乗り場にいたのを含めて10分ほどだったのに、随分と時間が経った気がするなぁ。これも久しぶりにジェットコースターに乗ったからだろうか。
「さあ、悠真君。次はどのアトラクションに行こうか?」
「……次も絶叫系がいいな。久しぶりにジェットコースターに乗って、結衣と一緒に叫んで楽しかったから。ちょっと興奮もしてる。次も絶叫系に行きたいな」
「アドレナリンが出ているんだね。じゃあ、次も絶叫系に行こうか。悠真君と一緒に叫んだのが楽しくて気持ち良かったから、もっと叫びたい気分だし」
「そっか。ありがとう」
「いえいえ。絶叫系のアトラクションなら……あれなんてどう?」
結衣が指さした先にあるのは、とても高いタワーの形をしたもの。その頂上付近にはシートに座った人達がおり、数秒ほどして高速で落下していった。あのアトラクションは、
「フリーフォールか」
「うんっ。フリーフォールも絶叫系の定番だから」
「確かに定番だな。あれも結構乗ったことがあるよ。落ちるのもスリルがあるよな」
「そうだね。ジェットコースターとはまた違ったスリルがあるよね。だから、フリーフォールも好きだよ。じゃあ、次はフリーフォールにしよっか!」
「ああ、そうしよう」
フリーフォールでも結衣と一緒に気持ち良く叫びたいな。
俺達はフリーフォールに向かって歩き始める。
開園して1時間以上経ったからか、俺達がドームタウンに来たときよりもお客さんの数がさらに多くなっている。さすがは都心にある遊園地だなって思う。そういえば、昔、家族で来たときもお昼頃を中心に多くの人で賑わっていたっけ。
フリーフォールも高さのあるアトラクションなので、迷わずにフリーフォールの入口前まで行くことができた。
フリーフォールも定番の絶叫系アトラクションだし、来園している人も多くなっているのもあり、さっきのジェットコースターと同じくらいの長さの待機列ができていた。俺達は列の最後尾に隣同士に並ぶ。
「今回もそれなりに並ぶかもね」
「そうかもな。まあ、気長に待とう」
「そうだね。私、悠真君と並んで待つの好きだし」
「嬉しいな。俺も好きだよ」
俺は結衣の頭をポンポンと優しく叩く。それが気持ち良かったのか、結衣の顔には柔らかい笑みが浮かんだ。
さっき乗ったジェットコースターの話をしながら、俺達はフリーフォールの順番を待っていく。
お昼に近づいたのもあってか、ジェットコースターで並んでいるときよりも暑いな。
「結衣。ちょっと麦茶を飲んでいいか? 暑くなってきたし。あと、ジェットコースターで絶叫しまくったから、喉を潤したい」
「もちろんいいよ! 私も麦茶飲んでおこっと。夏休みのときほどじゃないけど、今日も暑くなる予報だし。水分補給は大切だよね」
そう言い、結衣は俺の右手を離した。
ショルダーバッグから水筒を取り出し、麦茶を一口飲む。麦茶で喉が潤され、冷たさが全身へと広がっていく感覚が心地いい。麦茶の優しい味わいもいいし。
「冷たくて美味い」
「美味しい! 暑いし、ジェットコースターでいっぱい叫んだから凄く美味しいよ!」
そう言い、結衣は自分の水筒に入っている麦茶をもう一口。本当に美味しそうに飲むなぁ。飲んでいる姿も、飲んだ後の爽やかな笑顔もとても絵になる。
「結衣。レモン味の塩タブレット食べるか? 屋外にいることが多いから、熱中症対策に持ってきたんだ」
「うん、食べるっ!」
結衣は嬉しそうに返事した。結衣はレモン味の塩タブレットが好きだからな。
バッグから塩タブレットを取り出し、個別包装の袋を開けて、
「結衣、あーん」
「あ~ん」
結衣に食べさせた。その瞬間、結衣はニッコリとした笑顔になり、
「美味しい! この塩タブレット本当に美味しいよね」
「美味いよな。気に入ってくれて嬉しいよ」
夏休み中に結衣が伊集院さんと一緒にコンサートの物販バイトをしたとき、俺が差し入れにこの塩タブレットをあげたことがきっかけだから。
嬉しい気持ちの中で、俺もレモン味の塩タブレットを食べる。今まで何度も食べたことがあるけど、今が一番味わい深く感じられた。
「この塩タブレット、今年の夏に一番好きになったものだよ」
「そうなんだ。凄く気に入ってくれているんだな。嬉しいよ。俺はこの塩タブレットが好きで、何年も前から、塩分補給するときはこれを食べることが多いんだ」
「そうなんだね。私もこれが塩分補給の定番になると思う」
「嬉しいな」
彼氏としてはもちろん、このレモン味の塩タブレットが好きな人間としても。
塩タブレットをきっかけに、今年の夏休みの思い出について結衣と話しながら、俺達のフリーフォールの番を待った。待っている中、定期的にフリーフォールから絶叫が聞こえてきて。
そして、並び始めてから15分ほどで、俺達の番がやってきた。
男性のスタッフさんよって案内され、フリーフォールのシートに結衣と隣同士に座る。
「ジェットコースターと同じくらいの列の長さだったけど、結構早く俺達の番になったな」
「そうだね。フリーフォールは落ちるだけでジェットコースターよりも乗っている時間が短いからかもね」
「なるほど」
確かに、フリーフォールってジェットコースターに比べたら、乗っている時間は短いもんな。だから、早く順番が来るのも当然か。
男性のスタッフさんによって安全バーが下ろされた直後、結衣はジェットコースターのときと同じように俺の右手を掴んできた。結衣の顔を見ると、結衣はニコッと笑いかける。
「今回も手をしっかり握っているからね」
「ありがとう。心強いよ」
ジェットコースターに乗ったことによる興奮があるとはいえ、フリーフォールも久しぶりでちょっと怖い気持ちがあるから。ほんと、結衣は頼もしい恋人だ。
それから程なくして『ピー』とブザーが鳴り、
「それでは、フリーフォールスタートです!」
男性のスタッフさんが元気良くそう言った。
俺達の座っているマシンは、タワー最上部に向かってゆっくりと上がり始める。
「始まったね、悠真君!」
弾んだ声でそう言ってくる結衣。フリーフォールも好きだと言うだけのことはある。
「始まったな。あと、今はゆっくりと上がっている途中だけど、脚が宙ぶらりんになるのって、ちょっと怖いものがあるな」
「分かる気がする。意識していないけど、普段は地面に足を付けて生活しているもんね」
「ああ」
もしかしたら、フリーフォールでの絶叫に繋がる理由の一つはこれかもしれない。
マシンが最上部に近づくにつれ、遊園地の周辺の景色が見えるように。近くにある東都ドームはもちろん、都心のビル群がよく見えて。そのことで、脚が宙ぶらりんになっていることによる不安が少し晴れた。
「いい景色だな、結衣」
「そうだねっ。東都ドームとか高層ビルが見えるね。さすがは都心だよね」
「ああ。金井とは違う景色だよな」
「そうだね。金井にもビルはあるけど、駅の周りくらいだし。他にある大きい建物はエオンとかうちの高校くらいだもんね」
「そうだな」
もしかしたら、都心の景色が見られることも、フリーフォールが人気な理由の一つかもしれない。他のアトラクションで景色を見られるのは観覧車くらいだし。あと、絶叫系が好きだったり、耐性があったりすれば、ジェットコースターに乗っているときにも周りの景色を見られるかもしれないけど。
やがて、マシンの上昇が終わる。最上部に辿り着いたのだろう。
「あとは落ちるだけか……」
「そうだね。いつ落ちるか分からないドキドキがあるよね。ここのフリーフォールは毎回、頂上で停止している時間が違うし」
「そうなんだ」
何回も乗る人もいるだろうから、ドキドキやスリルを演出するために停止時間を毎回変えているのだろう。
「今回はいつ落ちるん――だあああっ!」
急にマシンが落下し始めたぞ!
勢い良く落下しているのもあって、宙ぶらりんになっている脚がフワッと浮いて。だから、ジェットコースターとは違った怖さがあるぞ!
「きゃあああっ!」
隣から結衣の黄色い絶叫が聞こえてくる。何とかして隣を見ると、結衣は楽しそうな笑顔で「きゃあああっ!」と叫んでいる。
俺は結衣の手をしっかりと握りしめて、結衣と一緒に絶叫する。怖さもあるけど、結衣と手を繋いで叫ぶと楽しい気持ちになるのであった。
マシンがスタート地点に戻ってきたとき、俺達を席に案内してくれた女性のスタッフさんが笑顔でそう言ってくれた。楽しかったけど怖さもあったので、「おかえり」と言われると、ジェットコースターが終わったのだと分かって安心する。
「あぁ、楽しかった!」
結衣は満面の笑顔でそう言った。さすがは絶叫系アトラクション好きだ。
「走っている間も笑顔で絶叫していたもんな」
「うんっ! 速くてスリルがあったから、いっぱい叫んだよ! 隣で悠真君が結構叫んでたから、今までで一番気持ち良く叫べたよ」
「それは良かった。俺、絶叫しまくった自覚あるし。久しぶりだからなかなか怖かった。結衣と一緒だから楽しかったけど」
「そう言ってくれて嬉しい。悠真君、ウォータースライダーを滑ったときよりも叫んでたね」
「あのウォータースライダーが可愛いと思えるくらいだったよ」
「そっか」
あははっ、と結衣は声に出して笑う。今の俺の答えがツボに入ったのだろうか。こういうことでも、恋人を笑わせられるのは嬉しいものだ。
それからすぐに、女性のスタッフさんが安全バーを上げてくれた。なので、俺達はマシンから降りる。マシンが走っている間もずっと握っていた結衣の手を引いて。
「数分も高速で動くマシンに乗っていたからかな。地面に立つと不思議な感覚だ」
「ふふっ、そうだね。久しぶりにジェットコースターを乗ったけど、気分は大丈夫?」
「大丈夫だ。気持ち悪くなったりはしてない」
「良かった」
「結衣はどう?」
「ますます元気になったよ!」
ニッコリとした笑顔でそう答える結衣。
「良かった。さすがだ」
俺がそう答えると、結衣は嬉しそうに「えへへっ」と笑った。
俺達はジェットコースター乗り場を後にする。乗り場にいたのを含めて10分ほどだったのに、随分と時間が経った気がするなぁ。これも久しぶりにジェットコースターに乗ったからだろうか。
「さあ、悠真君。次はどのアトラクションに行こうか?」
「……次も絶叫系がいいな。久しぶりにジェットコースターに乗って、結衣と一緒に叫んで楽しかったから。ちょっと興奮もしてる。次も絶叫系に行きたいな」
「アドレナリンが出ているんだね。じゃあ、次も絶叫系に行こうか。悠真君と一緒に叫んだのが楽しくて気持ち良かったから、もっと叫びたい気分だし」
「そっか。ありがとう」
「いえいえ。絶叫系のアトラクションなら……あれなんてどう?」
結衣が指さした先にあるのは、とても高いタワーの形をしたもの。その頂上付近にはシートに座った人達がおり、数秒ほどして高速で落下していった。あのアトラクションは、
「フリーフォールか」
「うんっ。フリーフォールも絶叫系の定番だから」
「確かに定番だな。あれも結構乗ったことがあるよ。落ちるのもスリルがあるよな」
「そうだね。ジェットコースターとはまた違ったスリルがあるよね。だから、フリーフォールも好きだよ。じゃあ、次はフリーフォールにしよっか!」
「ああ、そうしよう」
フリーフォールでも結衣と一緒に気持ち良く叫びたいな。
俺達はフリーフォールに向かって歩き始める。
開園して1時間以上経ったからか、俺達がドームタウンに来たときよりもお客さんの数がさらに多くなっている。さすがは都心にある遊園地だなって思う。そういえば、昔、家族で来たときもお昼頃を中心に多くの人で賑わっていたっけ。
フリーフォールも高さのあるアトラクションなので、迷わずにフリーフォールの入口前まで行くことができた。
フリーフォールも定番の絶叫系アトラクションだし、来園している人も多くなっているのもあり、さっきのジェットコースターと同じくらいの長さの待機列ができていた。俺達は列の最後尾に隣同士に並ぶ。
「今回もそれなりに並ぶかもね」
「そうかもな。まあ、気長に待とう」
「そうだね。私、悠真君と並んで待つの好きだし」
「嬉しいな。俺も好きだよ」
俺は結衣の頭をポンポンと優しく叩く。それが気持ち良かったのか、結衣の顔には柔らかい笑みが浮かんだ。
さっき乗ったジェットコースターの話をしながら、俺達はフリーフォールの順番を待っていく。
お昼に近づいたのもあってか、ジェットコースターで並んでいるときよりも暑いな。
「結衣。ちょっと麦茶を飲んでいいか? 暑くなってきたし。あと、ジェットコースターで絶叫しまくったから、喉を潤したい」
「もちろんいいよ! 私も麦茶飲んでおこっと。夏休みのときほどじゃないけど、今日も暑くなる予報だし。水分補給は大切だよね」
そう言い、結衣は俺の右手を離した。
ショルダーバッグから水筒を取り出し、麦茶を一口飲む。麦茶で喉が潤され、冷たさが全身へと広がっていく感覚が心地いい。麦茶の優しい味わいもいいし。
「冷たくて美味い」
「美味しい! 暑いし、ジェットコースターでいっぱい叫んだから凄く美味しいよ!」
そう言い、結衣は自分の水筒に入っている麦茶をもう一口。本当に美味しそうに飲むなぁ。飲んでいる姿も、飲んだ後の爽やかな笑顔もとても絵になる。
「結衣。レモン味の塩タブレット食べるか? 屋外にいることが多いから、熱中症対策に持ってきたんだ」
「うん、食べるっ!」
結衣は嬉しそうに返事した。結衣はレモン味の塩タブレットが好きだからな。
バッグから塩タブレットを取り出し、個別包装の袋を開けて、
「結衣、あーん」
「あ~ん」
結衣に食べさせた。その瞬間、結衣はニッコリとした笑顔になり、
「美味しい! この塩タブレット本当に美味しいよね」
「美味いよな。気に入ってくれて嬉しいよ」
夏休み中に結衣が伊集院さんと一緒にコンサートの物販バイトをしたとき、俺が差し入れにこの塩タブレットをあげたことがきっかけだから。
嬉しい気持ちの中で、俺もレモン味の塩タブレットを食べる。今まで何度も食べたことがあるけど、今が一番味わい深く感じられた。
「この塩タブレット、今年の夏に一番好きになったものだよ」
「そうなんだ。凄く気に入ってくれているんだな。嬉しいよ。俺はこの塩タブレットが好きで、何年も前から、塩分補給するときはこれを食べることが多いんだ」
「そうなんだね。私もこれが塩分補給の定番になると思う」
「嬉しいな」
彼氏としてはもちろん、このレモン味の塩タブレットが好きな人間としても。
塩タブレットをきっかけに、今年の夏休みの思い出について結衣と話しながら、俺達のフリーフォールの番を待った。待っている中、定期的にフリーフォールから絶叫が聞こえてきて。
そして、並び始めてから15分ほどで、俺達の番がやってきた。
男性のスタッフさんよって案内され、フリーフォールのシートに結衣と隣同士に座る。
「ジェットコースターと同じくらいの列の長さだったけど、結構早く俺達の番になったな」
「そうだね。フリーフォールは落ちるだけでジェットコースターよりも乗っている時間が短いからかもね」
「なるほど」
確かに、フリーフォールってジェットコースターに比べたら、乗っている時間は短いもんな。だから、早く順番が来るのも当然か。
男性のスタッフさんによって安全バーが下ろされた直後、結衣はジェットコースターのときと同じように俺の右手を掴んできた。結衣の顔を見ると、結衣はニコッと笑いかける。
「今回も手をしっかり握っているからね」
「ありがとう。心強いよ」
ジェットコースターに乗ったことによる興奮があるとはいえ、フリーフォールも久しぶりでちょっと怖い気持ちがあるから。ほんと、結衣は頼もしい恋人だ。
それから程なくして『ピー』とブザーが鳴り、
「それでは、フリーフォールスタートです!」
男性のスタッフさんが元気良くそう言った。
俺達の座っているマシンは、タワー最上部に向かってゆっくりと上がり始める。
「始まったね、悠真君!」
弾んだ声でそう言ってくる結衣。フリーフォールも好きだと言うだけのことはある。
「始まったな。あと、今はゆっくりと上がっている途中だけど、脚が宙ぶらりんになるのって、ちょっと怖いものがあるな」
「分かる気がする。意識していないけど、普段は地面に足を付けて生活しているもんね」
「ああ」
もしかしたら、フリーフォールでの絶叫に繋がる理由の一つはこれかもしれない。
マシンが最上部に近づくにつれ、遊園地の周辺の景色が見えるように。近くにある東都ドームはもちろん、都心のビル群がよく見えて。そのことで、脚が宙ぶらりんになっていることによる不安が少し晴れた。
「いい景色だな、結衣」
「そうだねっ。東都ドームとか高層ビルが見えるね。さすがは都心だよね」
「ああ。金井とは違う景色だよな」
「そうだね。金井にもビルはあるけど、駅の周りくらいだし。他にある大きい建物はエオンとかうちの高校くらいだもんね」
「そうだな」
もしかしたら、都心の景色が見られることも、フリーフォールが人気な理由の一つかもしれない。他のアトラクションで景色を見られるのは観覧車くらいだし。あと、絶叫系が好きだったり、耐性があったりすれば、ジェットコースターに乗っているときにも周りの景色を見られるかもしれないけど。
やがて、マシンの上昇が終わる。最上部に辿り着いたのだろう。
「あとは落ちるだけか……」
「そうだね。いつ落ちるか分からないドキドキがあるよね。ここのフリーフォールは毎回、頂上で停止している時間が違うし」
「そうなんだ」
何回も乗る人もいるだろうから、ドキドキやスリルを演出するために停止時間を毎回変えているのだろう。
「今回はいつ落ちるん――だあああっ!」
急にマシンが落下し始めたぞ!
勢い良く落下しているのもあって、宙ぶらりんになっている脚がフワッと浮いて。だから、ジェットコースターとは違った怖さがあるぞ!
「きゃあああっ!」
隣から結衣の黄色い絶叫が聞こえてくる。何とかして隣を見ると、結衣は楽しそうな笑顔で「きゃあああっ!」と叫んでいる。
俺は結衣の手をしっかりと握りしめて、結衣と一緒に絶叫する。怖さもあるけど、結衣と手を繋いで叫ぶと楽しい気持ちになるのであった。
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