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2学期編3
第24話『弾き語りライブ』
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たくさん拍手の音が聞こえる中、体育館のステージの幕が上がる。
体育館にはたくさんの人がいて。最前列付近は椅子に座っている人もいるけど、多くの人が立っている。椅子がかなり埋まっているのもあり、後方では立ち見でステージを見ている人もいて。審査員や係の生徒くらいしかいなかったオーディションのときと比べて、体育館が物凄く広く見える。
「悠真君!」
「ゆう君!」
「ユウちゃん!」
結衣や胡桃、芹花姉さんの声が聞こえてきたので、そちらを向くと……前方の席で結衣や胡桃、芹花姉さん、月読さん、伊集院さん、福王寺先生、中野先輩、柚月ちゃん、遥さん、雄大さん、杏さん、志田さん、御園さん、俺の両親など弾き語りライブを頑張ってと応援してくれた人達の姿が見えた。その近くには、佐藤や橋本など多くのクラスメイトがいて。喫茶店のシフトなどの用事がある人以外はみんな来ているんじゃないかと思えるほどで。あと、福王寺先生は今もメイド服を着ているから結構目立つな。
また、父さんはビデオカメラをこちらに向けている。
あと、結衣の父親の卓哉さんもビデオカメラを持っているぞ。結衣にライブの撮影を頼まれたのかな。また、一部のクラスメイト達がスマホを向けていて。
たくさんの人達が来てくれていることに嬉しさを覚えつつ、俺は結衣達の方に向かって手を振った。その瞬間、結衣は素早くスマホを取り出してこちらに向けていた。写真を撮っているのかな。可愛い。
「こんにちは。1年2組の低田悠真です。弾き語りライブに来ていただきありがとうございます。ステージ横から見ていましたが、先ほどの合唱部……とても良かったですね。刺激を受けました。これから人気のある曲をいくつか弾き語りします。どうぞよろしくお願いします!」
そう言い、頭を下げると、客席からは再びたくさんの拍手の音が。
ちなみに、どんな曲を弾き語りするのかは、家で練習したのもあって両親と芹花姉さん以外は知らない。俺は事前に教えても教えなくても良かったけど、結衣や胡桃達が「何を演奏するのかは当日のお楽しみにしたい」と言ったので、誰にも教えなかった。
結衣、これから弾き語りライブを始めるよ。楽しんでくれたら嬉しいな。かっこいいと思ってくれたらもっと嬉しいな。
「それでは、最初の曲を聴いてください。俺の大好きなバンドの曲です」
そして、俺は最初の曲の弾き語りを始める。
最初の曲は俺の大好きなロックバンドの代表曲。俺が生まれる前に発売された曲だけど、長年愛されている大ヒット曲なので、イントロを弾いた時点で歓声が上がり始める。
大ヒット曲であり、アップテンポの曲でもある。だから、弾き語りをしていくと会場が盛り上がっていく。
さっそく、弾き語りが楽しいと思えてきた。気持ちいいな。
会場が盛り上がる中、最初の曲を弾き終わった。その瞬間に拍手の音が聞こえてきた。
「ありがとうございます。1曲披露して、さっそく楽しい気持ちになっています。俺には3学年上の金井高校OGの姉がいまして。去年までの3年間は文化祭に遊びに来ていました」
俺がそう言うと、「きゃっ」と芹花姉さんの可愛らしい声が聞こえてきた。自分のことを話題に出されて嬉しいんだろうな。
「体育館のステージにも行きました。楽しそうにパフォーマンスしていた先輩方の姿を今でもよく覚えています。きっと、先輩方はステージの上でこういう楽しい気持ちになっていたんだろうなと思います。まだ1曲ですが、聴いてくれているみなさんも楽しい気持ちになってくれていたら嬉しいです」
「さっそく楽しいよー! 悠真君! 最高だよ!」
結衣が張りのある声でそう叫ぶ。結衣の方を見ると、結衣はニコニコとした笑顔で俺のことを見ていた。
結衣が叫んだのもあり、
「楽しいよ、ゆう君!」
「楽しんでるのです!」
「悠真、楽しんでるよ!」
「楽しんでるよ、ユウちゃん!」
「私も楽しんでるよ! 低田君!」
胡桃、伊集院さん、中野先輩、芹花姉さん、福王寺先生が声を上げる。次々と「楽しんでる」「最高」といった声が上がり、拍手も聞こえてきた。
「ありがとうございます。この後も楽しんでください! では、2曲目をやります。俺はアニメが大好きで、アニソンも弾き語りしたいと考えていました。つい最近まで『鬼刈剣』というアニメをやっていたのですが、みなさんはご存じでしょうか」
俺がそう問いかけると、客席からは「知ってるー」「見たー」といった声が続々と聞こえてくる。その中で、
「面白かった!」
という結衣の声も聞こえてきて。結衣は『鬼狩剣』が大好きだもんな。俺と一緒に観たこともある。
ちなみに、『鬼刈剣』とは大正時代を舞台にした時代劇やアクション、ファンタジー要素のある少年漫画だ。今年の4月から9月までテレビアニメが放送されていた。アニメをきっかけに大ヒットした作品だ。
「面白かったですよね。次は『鬼刈剣』のオープニングテーマを歌います。聴いてください」
俺は2曲目の弾き語りを始める。
この曲は女性アニソン歌手によるアップテンポな曲だ。
イントロや間奏などは激しいサウンドになっていて。なので、そういった部分ではギターをかき鳴らす。
勢いのある曲だし、歌っているとアニメの好きなシーンを思い出して。だから、弾き語りしていてとても気持ちがいい。
この曲はアニメと一緒に大ヒットした曲だ。なので、1曲目と同様に結構盛り上がった。弾き語りが終わると拍手が聞こえてきた。結衣達を含め「良かった!」とか「最高!」といった声も聞こえてきて。
「ありがとうございます。歌ったらまたアニメを観たくなりました。……2曲弾き語りをしたので、ここで気分転換にインストゥルメンタルの曲をちょっと弾きたいなと思います。低変人という人の曲なんですけど」
「えっ!」
たくさんの人達から『おおっ』と声が聞こえてくる中で、福王寺先生の可愛らしい声が響く。先生の方を見ると、両手を口に当て、見開いた目で俺のことを見ている。先生は低変人の大ファンだからな。低変人本人がこういう場で低変人の曲を演奏することに驚きや嬉しさがあるのだろう。近くにいる結衣や胡桃達は嬉しそうにしていて。
オーディションに合格してから、弾き語りライブで低変人の曲を演奏しようと決めていた。気分転換の意味合いももちろんある。ただ、結衣や福王寺先生、胡桃、俺の家族など、低変人の正体が俺であると知っている人達がライブに行くと言ってくれていた。だから、低変人本人が低変人の曲を演奏すれば喜んでもらえるかなと思ったからだ。
「結構反応がありますね。新曲が公開されたりするとSNSなどで話題になりますもんね。俺も低変人さんの曲は好きです」
低変人は自分なので、何だか言っていて不思議な感覚になる。
「『道』という曲をギターで弾きます。長い曲ですので、冒頭部分を弾きたいと思います。聴いてください」
俺は低変人として動画サイトに公開している『道』をギターで弾いていく。
この『道』という曲は、再生回数が最も多く、最も人気のある曲だ。ギターやキーボードなど、様々な楽器の音を用いた力強くてスケールの大きな曲だ。結衣や福王寺先生もこの曲が大好きだと言っていた。また、結衣は中学時代にこの曲を聴いて、嫌なことがあった当時の自分を救ってくれて、低変人の大ファンになったと言っていた。
また、俺にとって『道』は思い入れの深い曲だ。3年以上続く低変人の活動の中で、2年前の中学時代に一度だけ活動休止をしたことがあった。胡桃絡みで辛いことがあり、その影響でいい曲が思いつかなかったのだ。そんな休止明けの復帰作で公開したのがこの曲だった。特別な一曲なのも、この曲を弾こうと決めた理由の一つだ。
「こんな感じです。いかがでしたか?」
『道』の冒頭部分を弾き終わり、俺はそう問いかける。すると、客席からは大きな拍手が送られる。
客席を見ると……笑顔で拍手をしている人が多い。もちろん、結衣や福王寺先生といった俺が低変人だと知っている人達も。「良かった!」「演奏上手い!」といった感想も聞こえてきて。
「良かったよ! 悠真くーん!」
「最高だよっ!」
「ユウちゃん最高!」
結衣と福王寺先生と芹花姉さんはとても感動した様子でそう言った。また、胡桃や伊集院さん、中野先輩、柚月ちゃん、月読さんなども「良かったよ!」と笑顔で言ってくれて。
低変人の曲をこの弾き語りライブで弾いて正解だったな。
あと、自分が作った曲で多くの人を笑顔にできているのだと思うと本当に嬉しい気持ちになる。この先も低変人としての活動を頑張ろうと思えた。
「ありがとうございます。嬉しいです。……では、次の曲で最後になります」
俺がそう言うと、客席からは「ええっ」という声が聞こえてくる。それだけ、これまでの内容が良かったと思ってくれているのだろう。
「この曲を弾いてオーディションに合格したので、今、ここに立てています。聴いてください」
俺は最後の曲を弾き語りする。
最後の曲はオーディションでも披露したバラード曲だ。ドラマ主題歌として起用され、亡くなった人のことを想う内容の歌詞も相まって大ヒットした曲だ。
オーディションで披露した曲だし、今日弾き語りした曲の中では一番好きな曲だ。だから、演奏にも歌唱にも熱が入る。オーディションのときやそれに向けて結衣達の前や教室で練習したときのことを思い出す。
バラード曲なのもあり、これまで弾き語りした2曲とは違って弾き語り中は会場の盛り上がりはあまりない。ただ、客席にいる人達が俺の方を見て、真剣に聴いてくれているのが分かる。
そして、最後の曲の弾き語りが終わりと、今日で一番の大きな拍手が起こった。拍手の音の中で、「最高!」「良かったー!」といった歓声が聞こえてきて。
「悠真君、凄く良かったよ! 最高のライブだったよ! 悠真君かっこいいー!」
とっても大きな声で、結衣は俺に向かってそう言ってくれる。結衣は満面の笑顔になって、俺に向かって大きく手を振ってくれる。そのことに嬉しい気持ちになり、俺は結衣達がいる方に手を振った。
「ゆう君、良かったよ!」
「ユウちゃん最高だったよー!」
「低田君、最高で幸せな時間だったよ!」
「とても良かったのです、低田君!」
「悠真、良かったよ! お疲れ様!」
「悠真君、どの曲も良かったよ!」
胡桃、芹花姉さん、福王寺先生、伊集院さん、中野先輩、月読さんが笑顔で俺に向かってそんな言葉を送ってくれて。
両親や結衣の御両親、遥さん、雄大さん、志田さん、御園さん、杏さん、胡桃の御両親、伊集院さんの御両親、中野先輩の御両親、クラスメイト達なども「良かったよ!」と言ってくれて。本当に嬉しいし、胸が高鳴る。
「これで弾き語りライブを終わります。ありがとうございました! 凄く楽しかったです! みなさんにとっても楽しい時間になったら嬉しいです。本当にありがとうございました!」
感謝の言葉を言って、俺は深く頭を下げた。それもあり、客席からの拍手の音や歓声がより大きくなる。
ゆっくりと頭を上げても、拍手は鳴り止まない。客席にいる多くの人達の笑顔が見えて。その様子を見て胸がより高鳴って。こんなに最高な時間を味わえるなんて。本当に幸せだ。だからこそ言いたかった。
「最後に言わせてください。たくさんの方達の応援のおかげで、オーディションに合格して、今日、このステージで弾き語りライブをすることができました。本当にありがとうございました。そして……結衣」
俺は結衣の方を向く。
「結衣が『ステージに立ってパフォーマンスする姿を見たい』って言ってくれたから申し込みをしようって決められたよ。練習しているとき、結衣が良かったって言ってくれたのがとても嬉しかったよ。昨日、ステージパフォーマンスを見て緊張する俺に『大丈夫だよ』って言ってくれたことや、さっき教室の前でおまじないをかけてくれたことが支えになったよ。本当にありがとう。この文化祭を通して、俺にとって結衣は本当に大きな存在なんだって改めて実感したよ。これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと……結衣のことが大好きです」
たくさんの人達への感謝と、結衣への想いを伝えた。
大好きです、と言ったのもあって、会場は「フゥー!」という歓声や大きな拍手が起こった。
結衣は文化祭が始まってから一番の笑顔になり、
「ステージでの悠真君は最高にかっこよかったよ! 弾き語りも低変人さんの『道』も凄く良かったよ! 私も……これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと悠真君のことが大好きです!」
大きな声で言ってくれた。そんな結衣の姿を見て幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。俺は本当に幸せ者だなぁ。
結衣の返事もあって、会場はさらに盛り上がる。
「ありがとう、結衣! ……今日は本当にありがとうございました! 終盤ですが、この後も文化祭を楽しんでいってください! 俺のクラスの1年2組ではメイド&執事喫茶をやっているので、もしよければ第2教室棟の2階までお越しください! ありがとうございました!」
俺は再び深くお辞儀をして、大きな拍手が巻き起こる中でステージを後にした。最高のライブになったことに幸せな気持ちを抱きながら。
*****
ステージで弾き語りする悠真君はとても輝いていた。
悠真君の楽しそうな笑顔を見ると、悠真君は本当に音楽が大好きなんだって分かる。その姿はとても素敵で、かっこよくて。ギターの演奏も歌も凄く上手で。さすがは悠真君だなって思った。
2曲目の後に低変人さんとして作った『道』の冒頭部分を披露したのには驚いた。正体を公表していない悠真君が、低変人さんの曲を多くの人前で演奏するとは思わなかったから。ライブは20分だし『道』は長い曲だから冒頭部分を弾いたのだと思う。
『道』一番好きな曲だし、中学時代に辛いことがあったとき、この曲を聴いて救われた経験がある。低変人さんの大ファンになったきっかけの曲でもある。大好きなこの曲を生で聴けて、低変人さんの曲を本人である悠真君が演奏する姿を見られて本当に嬉しかった。『道』は本当にいい曲だなって思ったよ。
悠真君のパフォーマンスにとても引き込まれて。感動して。最高のライブだよ!
最後の曲を弾き終わった後、みんなへの感謝を伝えた後に、まさか、
「結衣が『ステージに立ってパフォーマンスする姿を見たい』って言ってくれたから申し込みをしようって決められたよ。練習しているとき、結衣が良かったって言ってくれたのがとても嬉しかったよ。昨日、ステージパフォーマンスを見て緊張する俺に『大丈夫だよ』って言ってくれたことや、さっき教室の前でおまじないをかけてくれたことが支えになったよ。本当にありがとう。この文化祭を通して、俺にとって結衣は本当に大きな存在なんだって改めて実感したよ。これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと……結衣のことが大好きです」
って、私への気持ちを言ってくれるなんて。これまでも、この瞬間も、これからも大好きだって言ってくれるなんて。ステージから言われるのは予想してなかったから驚きもあったけど、ニッコリとした笑顔で言ってくれるから、とてもキュンってなって。とても嬉しくて。悠真君への大好きな気持ちがどんどん膨らんでいく。だから、
「ステージでの悠真君は最高にかっこよかったよ! 弾き語りも低変人さんの『道』も凄く良かったよ! 私も……これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと悠真君のことが大好きです!」
ライブの称賛と悠真君への想いを大きな声で伝えた。好きな気持ちは悠真君と一緒だから、それについては悠真君と同じ言葉で。
悠真君は幸せそうな笑顔で「ありがとう!」って言ってくれて。その姿にもまたキュンってなる。悠真君……本当に好き。大好き!
ステージでの悠真君のかっこいい姿を見られて。
悠真君から大好きだって言ってもらえて。
私はとても幸せ者だ。
体育館にはたくさんの人がいて。最前列付近は椅子に座っている人もいるけど、多くの人が立っている。椅子がかなり埋まっているのもあり、後方では立ち見でステージを見ている人もいて。審査員や係の生徒くらいしかいなかったオーディションのときと比べて、体育館が物凄く広く見える。
「悠真君!」
「ゆう君!」
「ユウちゃん!」
結衣や胡桃、芹花姉さんの声が聞こえてきたので、そちらを向くと……前方の席で結衣や胡桃、芹花姉さん、月読さん、伊集院さん、福王寺先生、中野先輩、柚月ちゃん、遥さん、雄大さん、杏さん、志田さん、御園さん、俺の両親など弾き語りライブを頑張ってと応援してくれた人達の姿が見えた。その近くには、佐藤や橋本など多くのクラスメイトがいて。喫茶店のシフトなどの用事がある人以外はみんな来ているんじゃないかと思えるほどで。あと、福王寺先生は今もメイド服を着ているから結構目立つな。
また、父さんはビデオカメラをこちらに向けている。
あと、結衣の父親の卓哉さんもビデオカメラを持っているぞ。結衣にライブの撮影を頼まれたのかな。また、一部のクラスメイト達がスマホを向けていて。
たくさんの人達が来てくれていることに嬉しさを覚えつつ、俺は結衣達の方に向かって手を振った。その瞬間、結衣は素早くスマホを取り出してこちらに向けていた。写真を撮っているのかな。可愛い。
「こんにちは。1年2組の低田悠真です。弾き語りライブに来ていただきありがとうございます。ステージ横から見ていましたが、先ほどの合唱部……とても良かったですね。刺激を受けました。これから人気のある曲をいくつか弾き語りします。どうぞよろしくお願いします!」
そう言い、頭を下げると、客席からは再びたくさんの拍手の音が。
ちなみに、どんな曲を弾き語りするのかは、家で練習したのもあって両親と芹花姉さん以外は知らない。俺は事前に教えても教えなくても良かったけど、結衣や胡桃達が「何を演奏するのかは当日のお楽しみにしたい」と言ったので、誰にも教えなかった。
結衣、これから弾き語りライブを始めるよ。楽しんでくれたら嬉しいな。かっこいいと思ってくれたらもっと嬉しいな。
「それでは、最初の曲を聴いてください。俺の大好きなバンドの曲です」
そして、俺は最初の曲の弾き語りを始める。
最初の曲は俺の大好きなロックバンドの代表曲。俺が生まれる前に発売された曲だけど、長年愛されている大ヒット曲なので、イントロを弾いた時点で歓声が上がり始める。
大ヒット曲であり、アップテンポの曲でもある。だから、弾き語りをしていくと会場が盛り上がっていく。
さっそく、弾き語りが楽しいと思えてきた。気持ちいいな。
会場が盛り上がる中、最初の曲を弾き終わった。その瞬間に拍手の音が聞こえてきた。
「ありがとうございます。1曲披露して、さっそく楽しい気持ちになっています。俺には3学年上の金井高校OGの姉がいまして。去年までの3年間は文化祭に遊びに来ていました」
俺がそう言うと、「きゃっ」と芹花姉さんの可愛らしい声が聞こえてきた。自分のことを話題に出されて嬉しいんだろうな。
「体育館のステージにも行きました。楽しそうにパフォーマンスしていた先輩方の姿を今でもよく覚えています。きっと、先輩方はステージの上でこういう楽しい気持ちになっていたんだろうなと思います。まだ1曲ですが、聴いてくれているみなさんも楽しい気持ちになってくれていたら嬉しいです」
「さっそく楽しいよー! 悠真君! 最高だよ!」
結衣が張りのある声でそう叫ぶ。結衣の方を見ると、結衣はニコニコとした笑顔で俺のことを見ていた。
結衣が叫んだのもあり、
「楽しいよ、ゆう君!」
「楽しんでるのです!」
「悠真、楽しんでるよ!」
「楽しんでるよ、ユウちゃん!」
「私も楽しんでるよ! 低田君!」
胡桃、伊集院さん、中野先輩、芹花姉さん、福王寺先生が声を上げる。次々と「楽しんでる」「最高」といった声が上がり、拍手も聞こえてきた。
「ありがとうございます。この後も楽しんでください! では、2曲目をやります。俺はアニメが大好きで、アニソンも弾き語りしたいと考えていました。つい最近まで『鬼刈剣』というアニメをやっていたのですが、みなさんはご存じでしょうか」
俺がそう問いかけると、客席からは「知ってるー」「見たー」といった声が続々と聞こえてくる。その中で、
「面白かった!」
という結衣の声も聞こえてきて。結衣は『鬼狩剣』が大好きだもんな。俺と一緒に観たこともある。
ちなみに、『鬼刈剣』とは大正時代を舞台にした時代劇やアクション、ファンタジー要素のある少年漫画だ。今年の4月から9月までテレビアニメが放送されていた。アニメをきっかけに大ヒットした作品だ。
「面白かったですよね。次は『鬼刈剣』のオープニングテーマを歌います。聴いてください」
俺は2曲目の弾き語りを始める。
この曲は女性アニソン歌手によるアップテンポな曲だ。
イントロや間奏などは激しいサウンドになっていて。なので、そういった部分ではギターをかき鳴らす。
勢いのある曲だし、歌っているとアニメの好きなシーンを思い出して。だから、弾き語りしていてとても気持ちがいい。
この曲はアニメと一緒に大ヒットした曲だ。なので、1曲目と同様に結構盛り上がった。弾き語りが終わると拍手が聞こえてきた。結衣達を含め「良かった!」とか「最高!」といった声も聞こえてきて。
「ありがとうございます。歌ったらまたアニメを観たくなりました。……2曲弾き語りをしたので、ここで気分転換にインストゥルメンタルの曲をちょっと弾きたいなと思います。低変人という人の曲なんですけど」
「えっ!」
たくさんの人達から『おおっ』と声が聞こえてくる中で、福王寺先生の可愛らしい声が響く。先生の方を見ると、両手を口に当て、見開いた目で俺のことを見ている。先生は低変人の大ファンだからな。低変人本人がこういう場で低変人の曲を演奏することに驚きや嬉しさがあるのだろう。近くにいる結衣や胡桃達は嬉しそうにしていて。
オーディションに合格してから、弾き語りライブで低変人の曲を演奏しようと決めていた。気分転換の意味合いももちろんある。ただ、結衣や福王寺先生、胡桃、俺の家族など、低変人の正体が俺であると知っている人達がライブに行くと言ってくれていた。だから、低変人本人が低変人の曲を演奏すれば喜んでもらえるかなと思ったからだ。
「結構反応がありますね。新曲が公開されたりするとSNSなどで話題になりますもんね。俺も低変人さんの曲は好きです」
低変人は自分なので、何だか言っていて不思議な感覚になる。
「『道』という曲をギターで弾きます。長い曲ですので、冒頭部分を弾きたいと思います。聴いてください」
俺は低変人として動画サイトに公開している『道』をギターで弾いていく。
この『道』という曲は、再生回数が最も多く、最も人気のある曲だ。ギターやキーボードなど、様々な楽器の音を用いた力強くてスケールの大きな曲だ。結衣や福王寺先生もこの曲が大好きだと言っていた。また、結衣は中学時代にこの曲を聴いて、嫌なことがあった当時の自分を救ってくれて、低変人の大ファンになったと言っていた。
また、俺にとって『道』は思い入れの深い曲だ。3年以上続く低変人の活動の中で、2年前の中学時代に一度だけ活動休止をしたことがあった。胡桃絡みで辛いことがあり、その影響でいい曲が思いつかなかったのだ。そんな休止明けの復帰作で公開したのがこの曲だった。特別な一曲なのも、この曲を弾こうと決めた理由の一つだ。
「こんな感じです。いかがでしたか?」
『道』の冒頭部分を弾き終わり、俺はそう問いかける。すると、客席からは大きな拍手が送られる。
客席を見ると……笑顔で拍手をしている人が多い。もちろん、結衣や福王寺先生といった俺が低変人だと知っている人達も。「良かった!」「演奏上手い!」といった感想も聞こえてきて。
「良かったよ! 悠真くーん!」
「最高だよっ!」
「ユウちゃん最高!」
結衣と福王寺先生と芹花姉さんはとても感動した様子でそう言った。また、胡桃や伊集院さん、中野先輩、柚月ちゃん、月読さんなども「良かったよ!」と笑顔で言ってくれて。
低変人の曲をこの弾き語りライブで弾いて正解だったな。
あと、自分が作った曲で多くの人を笑顔にできているのだと思うと本当に嬉しい気持ちになる。この先も低変人としての活動を頑張ろうと思えた。
「ありがとうございます。嬉しいです。……では、次の曲で最後になります」
俺がそう言うと、客席からは「ええっ」という声が聞こえてくる。それだけ、これまでの内容が良かったと思ってくれているのだろう。
「この曲を弾いてオーディションに合格したので、今、ここに立てています。聴いてください」
俺は最後の曲を弾き語りする。
最後の曲はオーディションでも披露したバラード曲だ。ドラマ主題歌として起用され、亡くなった人のことを想う内容の歌詞も相まって大ヒットした曲だ。
オーディションで披露した曲だし、今日弾き語りした曲の中では一番好きな曲だ。だから、演奏にも歌唱にも熱が入る。オーディションのときやそれに向けて結衣達の前や教室で練習したときのことを思い出す。
バラード曲なのもあり、これまで弾き語りした2曲とは違って弾き語り中は会場の盛り上がりはあまりない。ただ、客席にいる人達が俺の方を見て、真剣に聴いてくれているのが分かる。
そして、最後の曲の弾き語りが終わりと、今日で一番の大きな拍手が起こった。拍手の音の中で、「最高!」「良かったー!」といった歓声が聞こえてきて。
「悠真君、凄く良かったよ! 最高のライブだったよ! 悠真君かっこいいー!」
とっても大きな声で、結衣は俺に向かってそう言ってくれる。結衣は満面の笑顔になって、俺に向かって大きく手を振ってくれる。そのことに嬉しい気持ちになり、俺は結衣達がいる方に手を振った。
「ゆう君、良かったよ!」
「ユウちゃん最高だったよー!」
「低田君、最高で幸せな時間だったよ!」
「とても良かったのです、低田君!」
「悠真、良かったよ! お疲れ様!」
「悠真君、どの曲も良かったよ!」
胡桃、芹花姉さん、福王寺先生、伊集院さん、中野先輩、月読さんが笑顔で俺に向かってそんな言葉を送ってくれて。
両親や結衣の御両親、遥さん、雄大さん、志田さん、御園さん、杏さん、胡桃の御両親、伊集院さんの御両親、中野先輩の御両親、クラスメイト達なども「良かったよ!」と言ってくれて。本当に嬉しいし、胸が高鳴る。
「これで弾き語りライブを終わります。ありがとうございました! 凄く楽しかったです! みなさんにとっても楽しい時間になったら嬉しいです。本当にありがとうございました!」
感謝の言葉を言って、俺は深く頭を下げた。それもあり、客席からの拍手の音や歓声がより大きくなる。
ゆっくりと頭を上げても、拍手は鳴り止まない。客席にいる多くの人達の笑顔が見えて。その様子を見て胸がより高鳴って。こんなに最高な時間を味わえるなんて。本当に幸せだ。だからこそ言いたかった。
「最後に言わせてください。たくさんの方達の応援のおかげで、オーディションに合格して、今日、このステージで弾き語りライブをすることができました。本当にありがとうございました。そして……結衣」
俺は結衣の方を向く。
「結衣が『ステージに立ってパフォーマンスする姿を見たい』って言ってくれたから申し込みをしようって決められたよ。練習しているとき、結衣が良かったって言ってくれたのがとても嬉しかったよ。昨日、ステージパフォーマンスを見て緊張する俺に『大丈夫だよ』って言ってくれたことや、さっき教室の前でおまじないをかけてくれたことが支えになったよ。本当にありがとう。この文化祭を通して、俺にとって結衣は本当に大きな存在なんだって改めて実感したよ。これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと……結衣のことが大好きです」
たくさんの人達への感謝と、結衣への想いを伝えた。
大好きです、と言ったのもあって、会場は「フゥー!」という歓声や大きな拍手が起こった。
結衣は文化祭が始まってから一番の笑顔になり、
「ステージでの悠真君は最高にかっこよかったよ! 弾き語りも低変人さんの『道』も凄く良かったよ! 私も……これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと悠真君のことが大好きです!」
大きな声で言ってくれた。そんな結衣の姿を見て幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。俺は本当に幸せ者だなぁ。
結衣の返事もあって、会場はさらに盛り上がる。
「ありがとう、結衣! ……今日は本当にありがとうございました! 終盤ですが、この後も文化祭を楽しんでいってください! 俺のクラスの1年2組ではメイド&執事喫茶をやっているので、もしよければ第2教室棟の2階までお越しください! ありがとうございました!」
俺は再び深くお辞儀をして、大きな拍手が巻き起こる中でステージを後にした。最高のライブになったことに幸せな気持ちを抱きながら。
*****
ステージで弾き語りする悠真君はとても輝いていた。
悠真君の楽しそうな笑顔を見ると、悠真君は本当に音楽が大好きなんだって分かる。その姿はとても素敵で、かっこよくて。ギターの演奏も歌も凄く上手で。さすがは悠真君だなって思った。
2曲目の後に低変人さんとして作った『道』の冒頭部分を披露したのには驚いた。正体を公表していない悠真君が、低変人さんの曲を多くの人前で演奏するとは思わなかったから。ライブは20分だし『道』は長い曲だから冒頭部分を弾いたのだと思う。
『道』一番好きな曲だし、中学時代に辛いことがあったとき、この曲を聴いて救われた経験がある。低変人さんの大ファンになったきっかけの曲でもある。大好きなこの曲を生で聴けて、低変人さんの曲を本人である悠真君が演奏する姿を見られて本当に嬉しかった。『道』は本当にいい曲だなって思ったよ。
悠真君のパフォーマンスにとても引き込まれて。感動して。最高のライブだよ!
最後の曲を弾き終わった後、みんなへの感謝を伝えた後に、まさか、
「結衣が『ステージに立ってパフォーマンスする姿を見たい』って言ってくれたから申し込みをしようって決められたよ。練習しているとき、結衣が良かったって言ってくれたのがとても嬉しかったよ。昨日、ステージパフォーマンスを見て緊張する俺に『大丈夫だよ』って言ってくれたことや、さっき教室の前でおまじないをかけてくれたことが支えになったよ。本当にありがとう。この文化祭を通して、俺にとって結衣は本当に大きな存在なんだって改めて実感したよ。これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと……結衣のことが大好きです」
って、私への気持ちを言ってくれるなんて。これまでも、この瞬間も、これからも大好きだって言ってくれるなんて。ステージから言われるのは予想してなかったから驚きもあったけど、ニッコリとした笑顔で言ってくれるから、とてもキュンってなって。とても嬉しくて。悠真君への大好きな気持ちがどんどん膨らんでいく。だから、
「ステージでの悠真君は最高にかっこよかったよ! 弾き語りも低変人さんの『道』も凄く良かったよ! 私も……これまでも、この瞬間も、そしてこれからもずっと悠真君のことが大好きです!」
ライブの称賛と悠真君への想いを大きな声で伝えた。好きな気持ちは悠真君と一緒だから、それについては悠真君と同じ言葉で。
悠真君は幸せそうな笑顔で「ありがとう!」って言ってくれて。その姿にもまたキュンってなる。悠真君……本当に好き。大好き!
ステージでの悠真君のかっこいい姿を見られて。
悠真君から大好きだって言ってもらえて。
私はとても幸せ者だ。
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そんなラブコメディです。
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