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1-6.クロの忠義
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「何やら、面妖な店構えであるな。」
この『ローラー・クレープ』とやらを見た時、思わずそう口にした我を責める者はおるまい。
魔力を動力にでもしているのだろう。円形の店自体が、ゆっくりと回転している。派手な紫とピンクの照明が看板と店内を照らすその店構えは、単なるファーストフードではなく、遊園施設の一つと見做した方が、『無難』と言えよう。
そこでは、儀式とでも言えば良かろうか。クラシカルなゴシック衣装を身にまとい、歌い、踊り、くるくると回りながらペンキでも塗れそうなローラーで生地を作る娘たちがたくさん見受けられる。
娘たちが互いのローラーを駆使して、妙なフォーメーションダンスを行う様子に、我は目を細めてしまう。あの小娘、つまり、ルルが目を輝かせて真似をしていたが、若者文化と言う物は我には良く分からない。『平凡』な我には刺激が強すぎる。
クロは『無難』、『平凡』など、そういった言葉を愛していた。
白でもなく、黒でもない。呼び名こそ『クロ』であるが、『クロノ・ファミリア』が本来の名前である。要は『時の神の使い魔』と言ったところだ。
中庸、調和、拮抗…。中間や曖昧さを示す言葉を愛するクロは、主の様子がどこかおかしいことに気づいていた。故に、少しでもその負担を自身でも被って調和を図ろうと、進んで前に出ているのだ。
クロが店構えに引き攣った顔をしているのを尻目に、ルルが一切の躊躇もなく歩み寄っていく。身体の傾き具合から吸い寄せられているようだな、とクロは眉間にしわを寄せる。
「おい、勝手に進むな。賭けとやらがあるであろう?」
「あぁ…そうでしたね。私の注文は決まっていますから、お二方で考えてみてください。」
ルルがそう言って口を半開きにして涎を垂らしている。我が『進むな』と言ったにも関わらず、両手をわきわきさせながら一歩ずつルルが歩いていく。
(まるで、飢えたゾンビにしか見えんぞ……)
仕方がない、とため息を吐きながらクロは、短い腕を伸ばしてルルの後頭部を叩きつける。子供の様に後頭部を押さえて、ルルがしゃがみ込んだ。
(まったく本当に…この小娘ときたら。)
周囲を見渡すと、ここで食べてくれと言わんばかりに、テーブルが並んでいる。
空いたテーブルに目をつけると、クロはとりあえずルルたちを座らせた。
ルルは『早くしてください』とでも言いたいのだろう。黄色い目を不気味に光らせ、腕で涎を拭っていた。
(よほど食べたいのだろうが、乙女の姿にはまったく見えんぞ…。)
店に引き攣り、ルルに慄き、我はげっそりした気分でメニュー表をユア様へ献上する。テーブルの中央にはパラソルが刺さっていて、ちょっとしたリゾート気分を味わうことも出来そうである。
(ユア様は何か考え事をしているようだ。娘と賭け事の話を始めた頃から、表情がお堅いのが気になるが…。)
こういう時こそ働かねばなるまい、とクロは勇んで行動を始める。
まずはテーブル脇にいる露店商からアイスティーを買う。氷の魔結晶がアイスティーを冷やすために使われている。甘いものに合うようにシロップやミルクは丁寧に別添えしてくれる。
(なかなか気が利く店主よ。だが、氷の魔結晶は塩を振ると更に冷えるのだぞ。)
クロがアイスティーを持ってテーブルに戻ると、空気が一変していた。
ルルが我慢のしすぎで力尽きたのか、「うーうー」唸りながらテーブルに突っ伏している。
ユアはそんなルルを指で突こうとし、目を見開いて人差し指を震わせている。
ユアの鼻息が荒いのをクロは見逃さないが、黙っておくことにした。
我はため息を吐きながらアイスティーをそれぞれに渡す。ちょうどそのとき、並んだテーブルの中央から歓声が上がった。やたらとカラフルな衣装を着た魔導士が注目を集め、水魔法を空中へ打ち上げている。噴水の真似をする芸だろうか。ずいぶんと人だかりが出来ている。
(ふん。安物の魔道具だな。もう少し工夫すれば虹を作ることも出来ように。)
◇◆◇
ようやく一息つくと、クロは早速本題に取り掛かることにした。
「で、お前の注文は何なのだ?」
「そんなの、言ったら賭けにならないでしょう。」
ルルはアイスティーから口を離してぼやくと、ひらひらと注文の書かれた紙を見せつけてくる。ストローを咥えて話す姿は雑そのものだ。この小娘はどうにも神経が太いので、対抗するのに苦労する。
ルルから持ち掛けられている『賭け』。それは至って簡単な物だ。自分が注文する物を当てよと言ってきた。
それは、我が主であるユア様の権能を思ってのことであろう。当てられない自信があることの裏返しでもある。当てれば『やり直しをしている』外せば『やり直していない』そういう理屈だろうとクロは推測していた。
(さりとて、むざむざ外すのも面白くなかろう。無難な注文をしていれば良いのだが。)
「どれが良いと思うか? クロよ。」
「うーむ。生憎、我はどうにもこういった物をあまり食べないので、どうしたものか…。」
頭の回転を速くしようと時計針をぐるぐると回してみる。メニュー数は十種類ほどで、菓子に向く甘いものと食事に向くものそれぞれ半々といったところか。
「一般にクレープとは男女が仲睦まじく甘みを分け合うものと聞いております。そう考えると、菓子のような物が無難ではないかと…。」
ちらとクロが向ける視線の先では、フルプレートの鎧女が露出の激しい弓男にクレープが食べたいと強請っている。平凡な我には、服装が逆ではなかろうかと思うが、仲睦まじく食べようとしていることに変わりはない。
「はん。何を言い出すかと思えば。私は一人で食べていますよ。誰とどうやって食べるかなんて、私には関係ありません。」
(この娘は、どうも一本気と言うか何というか……。我のように、中庸という言葉を知れば良いと思うのだが……。いや、それではこの娘の良いところを損ねてしまうかもしれぬか。)
ルルが自分の道を行こうとする性格なのをクロは理解しているし、好ましいと思っている。己を信じることはとても大切なことだ。同時に、我にもその様な信じる心がもっとあればと思う。
(過去を取り戻して、あるべき星の姿を取り戻す……か。ユア様のお考えは正しいと思うが、愚かな我には、どこか恐ろしい)
忘れてはいけないが、『やり直し』のきっかけとなる『ある事件』を起こしたのはクロだ。
ルルがやり直しに同意して、世界が書き換わったとしても、自分がまた過ちを犯すのではとクロは懸念している。その意味では、ルルほど頑なではないにしろ、クロも全面的な賛成とは言い切れない。
(我に『あの事件』の罪を償う機会を与えて下さったユア様には感謝しかない。だが……)
ルルの扱い、また、ユアとルルの関係については、クロにも思う所があった。
(ユア様は、人間と言うものがどういう存在か掴んでいないのに、分かったつもりになっておられる。)
故に、きちんと人間、そして、ルルのことを理解するまで『会話をやり直す』ことは、ユアにとって不要だとクロは考えた。
「イチゴチョコバナナ辺り・・・が手堅いところでしょうか。」
「そうか。クロに任せよう。」
(『無難』な選択……これが正解とは思えぬが……)
「ユアさんとクロさんの答えは、それで良いですか?」
ユアの表情はアイスティーを飲んでやや寛いできたが、まだ少し堅い。何かを思案しているのだろうか。空を見たかと思えばルルを眺め、目を細めてはテーブルを眺めている。
クロはルルへ『それで構わん』と告げる。
それを合図に、ルルがテーブルに紙切れを叩きつけた。
頼もうとしていたメニューは…。
(我の選択は、背信にあたるのだろうか。)
クロは空を見上げて軽くため息を吐く。
空は青く、教会の鐘の音が聞こえる。『ローラー・クレープ』で働く娘たちが歌う声が鐘の音に混じった。
この『ローラー・クレープ』とやらを見た時、思わずそう口にした我を責める者はおるまい。
魔力を動力にでもしているのだろう。円形の店自体が、ゆっくりと回転している。派手な紫とピンクの照明が看板と店内を照らすその店構えは、単なるファーストフードではなく、遊園施設の一つと見做した方が、『無難』と言えよう。
そこでは、儀式とでも言えば良かろうか。クラシカルなゴシック衣装を身にまとい、歌い、踊り、くるくると回りながらペンキでも塗れそうなローラーで生地を作る娘たちがたくさん見受けられる。
娘たちが互いのローラーを駆使して、妙なフォーメーションダンスを行う様子に、我は目を細めてしまう。あの小娘、つまり、ルルが目を輝かせて真似をしていたが、若者文化と言う物は我には良く分からない。『平凡』な我には刺激が強すぎる。
クロは『無難』、『平凡』など、そういった言葉を愛していた。
白でもなく、黒でもない。呼び名こそ『クロ』であるが、『クロノ・ファミリア』が本来の名前である。要は『時の神の使い魔』と言ったところだ。
中庸、調和、拮抗…。中間や曖昧さを示す言葉を愛するクロは、主の様子がどこかおかしいことに気づいていた。故に、少しでもその負担を自身でも被って調和を図ろうと、進んで前に出ているのだ。
クロが店構えに引き攣った顔をしているのを尻目に、ルルが一切の躊躇もなく歩み寄っていく。身体の傾き具合から吸い寄せられているようだな、とクロは眉間にしわを寄せる。
「おい、勝手に進むな。賭けとやらがあるであろう?」
「あぁ…そうでしたね。私の注文は決まっていますから、お二方で考えてみてください。」
ルルがそう言って口を半開きにして涎を垂らしている。我が『進むな』と言ったにも関わらず、両手をわきわきさせながら一歩ずつルルが歩いていく。
(まるで、飢えたゾンビにしか見えんぞ……)
仕方がない、とため息を吐きながらクロは、短い腕を伸ばしてルルの後頭部を叩きつける。子供の様に後頭部を押さえて、ルルがしゃがみ込んだ。
(まったく本当に…この小娘ときたら。)
周囲を見渡すと、ここで食べてくれと言わんばかりに、テーブルが並んでいる。
空いたテーブルに目をつけると、クロはとりあえずルルたちを座らせた。
ルルは『早くしてください』とでも言いたいのだろう。黄色い目を不気味に光らせ、腕で涎を拭っていた。
(よほど食べたいのだろうが、乙女の姿にはまったく見えんぞ…。)
店に引き攣り、ルルに慄き、我はげっそりした気分でメニュー表をユア様へ献上する。テーブルの中央にはパラソルが刺さっていて、ちょっとしたリゾート気分を味わうことも出来そうである。
(ユア様は何か考え事をしているようだ。娘と賭け事の話を始めた頃から、表情がお堅いのが気になるが…。)
こういう時こそ働かねばなるまい、とクロは勇んで行動を始める。
まずはテーブル脇にいる露店商からアイスティーを買う。氷の魔結晶がアイスティーを冷やすために使われている。甘いものに合うようにシロップやミルクは丁寧に別添えしてくれる。
(なかなか気が利く店主よ。だが、氷の魔結晶は塩を振ると更に冷えるのだぞ。)
クロがアイスティーを持ってテーブルに戻ると、空気が一変していた。
ルルが我慢のしすぎで力尽きたのか、「うーうー」唸りながらテーブルに突っ伏している。
ユアはそんなルルを指で突こうとし、目を見開いて人差し指を震わせている。
ユアの鼻息が荒いのをクロは見逃さないが、黙っておくことにした。
我はため息を吐きながらアイスティーをそれぞれに渡す。ちょうどそのとき、並んだテーブルの中央から歓声が上がった。やたらとカラフルな衣装を着た魔導士が注目を集め、水魔法を空中へ打ち上げている。噴水の真似をする芸だろうか。ずいぶんと人だかりが出来ている。
(ふん。安物の魔道具だな。もう少し工夫すれば虹を作ることも出来ように。)
◇◆◇
ようやく一息つくと、クロは早速本題に取り掛かることにした。
「で、お前の注文は何なのだ?」
「そんなの、言ったら賭けにならないでしょう。」
ルルはアイスティーから口を離してぼやくと、ひらひらと注文の書かれた紙を見せつけてくる。ストローを咥えて話す姿は雑そのものだ。この小娘はどうにも神経が太いので、対抗するのに苦労する。
ルルから持ち掛けられている『賭け』。それは至って簡単な物だ。自分が注文する物を当てよと言ってきた。
それは、我が主であるユア様の権能を思ってのことであろう。当てられない自信があることの裏返しでもある。当てれば『やり直しをしている』外せば『やり直していない』そういう理屈だろうとクロは推測していた。
(さりとて、むざむざ外すのも面白くなかろう。無難な注文をしていれば良いのだが。)
「どれが良いと思うか? クロよ。」
「うーむ。生憎、我はどうにもこういった物をあまり食べないので、どうしたものか…。」
頭の回転を速くしようと時計針をぐるぐると回してみる。メニュー数は十種類ほどで、菓子に向く甘いものと食事に向くものそれぞれ半々といったところか。
「一般にクレープとは男女が仲睦まじく甘みを分け合うものと聞いております。そう考えると、菓子のような物が無難ではないかと…。」
ちらとクロが向ける視線の先では、フルプレートの鎧女が露出の激しい弓男にクレープが食べたいと強請っている。平凡な我には、服装が逆ではなかろうかと思うが、仲睦まじく食べようとしていることに変わりはない。
「はん。何を言い出すかと思えば。私は一人で食べていますよ。誰とどうやって食べるかなんて、私には関係ありません。」
(この娘は、どうも一本気と言うか何というか……。我のように、中庸という言葉を知れば良いと思うのだが……。いや、それではこの娘の良いところを損ねてしまうかもしれぬか。)
ルルが自分の道を行こうとする性格なのをクロは理解しているし、好ましいと思っている。己を信じることはとても大切なことだ。同時に、我にもその様な信じる心がもっとあればと思う。
(過去を取り戻して、あるべき星の姿を取り戻す……か。ユア様のお考えは正しいと思うが、愚かな我には、どこか恐ろしい)
忘れてはいけないが、『やり直し』のきっかけとなる『ある事件』を起こしたのはクロだ。
ルルがやり直しに同意して、世界が書き換わったとしても、自分がまた過ちを犯すのではとクロは懸念している。その意味では、ルルほど頑なではないにしろ、クロも全面的な賛成とは言い切れない。
(我に『あの事件』の罪を償う機会を与えて下さったユア様には感謝しかない。だが……)
ルルの扱い、また、ユアとルルの関係については、クロにも思う所があった。
(ユア様は、人間と言うものがどういう存在か掴んでいないのに、分かったつもりになっておられる。)
故に、きちんと人間、そして、ルルのことを理解するまで『会話をやり直す』ことは、ユアにとって不要だとクロは考えた。
「イチゴチョコバナナ辺り・・・が手堅いところでしょうか。」
「そうか。クロに任せよう。」
(『無難』な選択……これが正解とは思えぬが……)
「ユアさんとクロさんの答えは、それで良いですか?」
ユアの表情はアイスティーを飲んでやや寛いできたが、まだ少し堅い。何かを思案しているのだろうか。空を見たかと思えばルルを眺め、目を細めてはテーブルを眺めている。
クロはルルへ『それで構わん』と告げる。
それを合図に、ルルがテーブルに紙切れを叩きつけた。
頼もうとしていたメニューは…。
(我の選択は、背信にあたるのだろうか。)
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