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1-7.『やり直し』の着地点
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「これはどう食べるのが良いのだ?」
織り込まれた持ち手を掴み、ユアが不思議そうにクレープを眺めている。持っているのは、『イチゴチョコバナナ』。初めて食べる物として悪くないチョイスだとルルは思ったが、もう少し冒険した物を選んでも良かったのでは、とクロに目をやる。
「こうして、そのままかぶりついちゃってください」
手本とばかりにルルは『ソーセージピザチーズ』に齧りつく。幸せそうに目を瞑って口を動かし、頬は緩みっぱなしである。一口、また一口と食べ進む度、体がくねくね動き、心踊らされている。
「結局賭けは外れてしまったか……」
「うむ。もうあれはどうでもいい。それよりもクロ、なかなかうまいぞ」
甘みを求めるだろうと予想したクロ・ユアコンビに対して、ルルが頼もうとしていたのは食事としてのクレープだった。
(どうでもいいって……。私は必死だったのになあ)
つまり、賭けはルルの勝ち。今後はユアによる『会話』のやり直しがなくなることを意味している。美味しそうにクレープを頬張るユアを見て、喜んで良いのか、些細なことに振り回されていたのか、ルルは複雑な心境に唇を尖らせる。
(ま、一安心ってことで、良いのだけれどね)
クロがどこか心配そうにユアの方を見ているが、当の神さまは舌鼓を打つのに夢中で、ルルとの会話で『やり直し』を使わなくなることなど、どこ吹く風に見える。裏があって険の籠った普段の様子とも違い、見た目相応な青年風の姿に、ルルはほっとしてしまう。
(ずっとこんな感じなら、もう少し接しやすいのだけどなあ)
ルルは口をもぐもぐさせながら横目でユアを見る。あどけなくクレープに向かう甘い顔立ちに、ルルは長く見ていると幻惑されてしまいそうだった。
誘惑に心の中で首を振り、まだやるべきことが残っている、とルルはユアへ向き直る。
(たくさんの種類があるのもクレープの魅力と知ってもらわなければ……!)
妙な使命感に突き動かされ、ルルは一番美味しいと信じている自分のクレープを差し出す。ユアはちょうどアイスティーに口をつけていたが、差し出されたクレープに気づいたようだ。『これは?』ときょとんとした顔をする。
「良ければ、こっちも一口食べてみてください。美味しいですよ」
「そ、それはお前のだろう」
微かに頬を赤らめるユアは目を泳がせた。ルルは少し口角を上げると、気にしないでいいですから、と腕を伸ばす。どこかぽうっとしたユアが目を瞑り、ぱくっとかじりつく。
「う、うまいな」
「でしょう?」
ルルは片足を椅子に乗せ、テーブルに乗り上げる。にぃっと目を細めて、悪戯そうな表情をする。間近に迫ったルルの表情に、ユアが目を見開いて口をぱくぱくさせた。椅子から崩れそうになるユアの頬が紅潮し、小刻みに震え出す。
(どうやら舌に合ったみたいだ。あまりの旨さに身悶えしたのだろう。よく分かるよ)
椅子に戻ったルルは腕を組んで頷いている。一仕事終えたように、ルルはすっきりした顔をする。
(『ソーセージピザチーズ』は最高だからね。あぁ、チーズの功績も忘れてはいけないな)
「チーズは世界を救うと言われていますから。最高の一品ですよ」
「ず、ずいぶんと力のありそうな食べ物だな」
椅子から滑り落ちそうなくらい身体を傾けていたユアだったが、少し落ち着いたのだろう。ゆっくり座り直そうとしていた。普段の神々しさが消えているので忘れてはいけないが、ユアは『時の神』だ。
「あぁ、そういえば、ユアさまも神様でしたね」
「そ、そうだぞ。どうだ…この光景を取り戻す気にはなったか? いつに戻っても良いのだ。す、好きなとき、そうだな…。始めて会った玩具の時でも良い」
両手を広げてユアが大仰な声を上げて誘いをかけてくる。襟元と髪の乱れた少しワイルドな様子に、ルルは半眼になってじとっとした視線を向ける。
「最初は友達と喧嘩したときじゃありませんでしたっけ?」
「そうだったか? 細かいことは良い」
「まあ、それはそうですが……」
ユアが言っているのは、細かい出来事や時間の問題ではない。過去へ戻ってやり直すかどうかの問題で、ルルの答えはもう決まっている。どう話すのが良いかなあ、とルルは少し思案する。
「では、クレープだと思えばいかがですか?」
ルルは名残惜しそうに最後の一口を食べる。包み紙の中は空っぽだ。残念そうに、慈しむように、そんな目を空っぽの包み紙へ向けている。
「こんなに美味しいのですから、今ある一枚一枚を大事に食べますよね。食べ終えた後には、美味しかった記憶ともっと食べたかったという寂寥感の両方が残ります。そういう気持ちを積み重ねていくと、次はこれを食べてやろうって考えると思うのです」
ルルが言いたいのは『今を大事にして、終わったどんな過去も忘れない。それが未来に繋がっていく。』そんなことだ。
「では、私のやっていたことは、勝手にクレープの注文をすり替えているようなものか?」
ユアの質問に、ルルは、んー、と目を糸の様にして上を眺める。仮にやられたら、と想像してみる。勝手に唇がぎざぎざになって、目を細めたり瞑ったりしてしまう。
(クレープの注文をすり替えられたら……かあ。これは迷うところだなあ)
「うーん。クレープでしたら、食べますけど、口を利かなくなっていたかもしれませんね……」
「おぬし…クレープと故郷でクレープを上に置いているのか……」
クロが呆れている。ルルとしては、そんなつもりは微塵もない。
(冗談でもクレープが大事だと言うほど、人でなしではないぞ、私は)
「そんなことはさすがにないですよ…。出過ぎた言葉かもしれませんが、時の神様も下々の人間が時間をどう感じるかは知っておいて頂ければよろしいかと。あと、ぜひ庭園でもクレープを食べられるようにして頂ければ」
ルルが『時の庭園』に囚われた思うこと。それは、神にとって人間など吹けば飛ぶようなものだと言うことだ。ルルがユアのことを憎めないように、人間とは神を崇めてしまうのかもしれない。
(拝んでくる奴らがどんな考えか知っていたら、ユアさまも星を焼いたりしなかったと思うな)
「生意気にユアさまへ説法などしおって!」
相変わらずクロが元気にわめき始める。主に忠実なこのバランサーはちゃんと周りを見て突っ込んでいるのだろうとルルは理解し始めていた。ユアが不利ならユアのところへ行くし、ユアがやりすぎていればルルを庇うことだってしてくれる。
(悪い奴じゃあ、ないのだよなあ……クロも)
「クロ、静かにしていろ。クレープの方は手配しておこう。ただ、もう一つの方だな。未来か。確かに、私もここのところ見ていなかった」
ようやく『時の神様』の神々しさを取り戻したユアは、ルルにとっては親しみにくい笑みを浮かべている。唇は弧を描き、歪み、目は爛々と、野心を隠そうともしていない。
「今度、お前にも見せてやろう。このまま時が進めば、この星がどう滅びゆくのかを、な」
「私には必要ありません」
ルルは無理やり考えを押し付けられるのが好きではないのだ。例え違う意見だとしても、何かの形で折り合いをつけられないかを探ってしまう性質である。ルルは軽くため息を吐きつつ、そういう態度は拒絶をするしかないのだけど、と考えていた。
「同意しておいた方が良いぞ。私がやろうと思えば、どの道結果は変わらない」
(まーた、そういうことを言うのだから、ユアさまは……)
そう言いながら、ユアの目がどこか寂しそうなのにルルは気づいている。わざわざ指摘するほどルルは無遠慮ではないが、ユアの伏し目姿を見ていると、どうにも調子が狂ってしまう。思いのままに権能を振う神ではなく、強大な力に振り回されている青年みたいだ、などとルルは思ったりする。
(まったく、そんな目をするならやらなきゃいい物を)
だらしなくストローを咥えたルルは、頭の後ろで手を組んだ。椅子に寄りかかって空を見上げると、いつの間にかすっかり日が暮れていた。
(見上げる星ってのも、案外久しぶりだなあ)
三人の頭上で、月が光っている。久々の故郷から見る夜空は、とても綺麗だった。
織り込まれた持ち手を掴み、ユアが不思議そうにクレープを眺めている。持っているのは、『イチゴチョコバナナ』。初めて食べる物として悪くないチョイスだとルルは思ったが、もう少し冒険した物を選んでも良かったのでは、とクロに目をやる。
「こうして、そのままかぶりついちゃってください」
手本とばかりにルルは『ソーセージピザチーズ』に齧りつく。幸せそうに目を瞑って口を動かし、頬は緩みっぱなしである。一口、また一口と食べ進む度、体がくねくね動き、心踊らされている。
「結局賭けは外れてしまったか……」
「うむ。もうあれはどうでもいい。それよりもクロ、なかなかうまいぞ」
甘みを求めるだろうと予想したクロ・ユアコンビに対して、ルルが頼もうとしていたのは食事としてのクレープだった。
(どうでもいいって……。私は必死だったのになあ)
つまり、賭けはルルの勝ち。今後はユアによる『会話』のやり直しがなくなることを意味している。美味しそうにクレープを頬張るユアを見て、喜んで良いのか、些細なことに振り回されていたのか、ルルは複雑な心境に唇を尖らせる。
(ま、一安心ってことで、良いのだけれどね)
クロがどこか心配そうにユアの方を見ているが、当の神さまは舌鼓を打つのに夢中で、ルルとの会話で『やり直し』を使わなくなることなど、どこ吹く風に見える。裏があって険の籠った普段の様子とも違い、見た目相応な青年風の姿に、ルルはほっとしてしまう。
(ずっとこんな感じなら、もう少し接しやすいのだけどなあ)
ルルは口をもぐもぐさせながら横目でユアを見る。あどけなくクレープに向かう甘い顔立ちに、ルルは長く見ていると幻惑されてしまいそうだった。
誘惑に心の中で首を振り、まだやるべきことが残っている、とルルはユアへ向き直る。
(たくさんの種類があるのもクレープの魅力と知ってもらわなければ……!)
妙な使命感に突き動かされ、ルルは一番美味しいと信じている自分のクレープを差し出す。ユアはちょうどアイスティーに口をつけていたが、差し出されたクレープに気づいたようだ。『これは?』ときょとんとした顔をする。
「良ければ、こっちも一口食べてみてください。美味しいですよ」
「そ、それはお前のだろう」
微かに頬を赤らめるユアは目を泳がせた。ルルは少し口角を上げると、気にしないでいいですから、と腕を伸ばす。どこかぽうっとしたユアが目を瞑り、ぱくっとかじりつく。
「う、うまいな」
「でしょう?」
ルルは片足を椅子に乗せ、テーブルに乗り上げる。にぃっと目を細めて、悪戯そうな表情をする。間近に迫ったルルの表情に、ユアが目を見開いて口をぱくぱくさせた。椅子から崩れそうになるユアの頬が紅潮し、小刻みに震え出す。
(どうやら舌に合ったみたいだ。あまりの旨さに身悶えしたのだろう。よく分かるよ)
椅子に戻ったルルは腕を組んで頷いている。一仕事終えたように、ルルはすっきりした顔をする。
(『ソーセージピザチーズ』は最高だからね。あぁ、チーズの功績も忘れてはいけないな)
「チーズは世界を救うと言われていますから。最高の一品ですよ」
「ず、ずいぶんと力のありそうな食べ物だな」
椅子から滑り落ちそうなくらい身体を傾けていたユアだったが、少し落ち着いたのだろう。ゆっくり座り直そうとしていた。普段の神々しさが消えているので忘れてはいけないが、ユアは『時の神』だ。
「あぁ、そういえば、ユアさまも神様でしたね」
「そ、そうだぞ。どうだ…この光景を取り戻す気にはなったか? いつに戻っても良いのだ。す、好きなとき、そうだな…。始めて会った玩具の時でも良い」
両手を広げてユアが大仰な声を上げて誘いをかけてくる。襟元と髪の乱れた少しワイルドな様子に、ルルは半眼になってじとっとした視線を向ける。
「最初は友達と喧嘩したときじゃありませんでしたっけ?」
「そうだったか? 細かいことは良い」
「まあ、それはそうですが……」
ユアが言っているのは、細かい出来事や時間の問題ではない。過去へ戻ってやり直すかどうかの問題で、ルルの答えはもう決まっている。どう話すのが良いかなあ、とルルは少し思案する。
「では、クレープだと思えばいかがですか?」
ルルは名残惜しそうに最後の一口を食べる。包み紙の中は空っぽだ。残念そうに、慈しむように、そんな目を空っぽの包み紙へ向けている。
「こんなに美味しいのですから、今ある一枚一枚を大事に食べますよね。食べ終えた後には、美味しかった記憶ともっと食べたかったという寂寥感の両方が残ります。そういう気持ちを積み重ねていくと、次はこれを食べてやろうって考えると思うのです」
ルルが言いたいのは『今を大事にして、終わったどんな過去も忘れない。それが未来に繋がっていく。』そんなことだ。
「では、私のやっていたことは、勝手にクレープの注文をすり替えているようなものか?」
ユアの質問に、ルルは、んー、と目を糸の様にして上を眺める。仮にやられたら、と想像してみる。勝手に唇がぎざぎざになって、目を細めたり瞑ったりしてしまう。
(クレープの注文をすり替えられたら……かあ。これは迷うところだなあ)
「うーん。クレープでしたら、食べますけど、口を利かなくなっていたかもしれませんね……」
「おぬし…クレープと故郷でクレープを上に置いているのか……」
クロが呆れている。ルルとしては、そんなつもりは微塵もない。
(冗談でもクレープが大事だと言うほど、人でなしではないぞ、私は)
「そんなことはさすがにないですよ…。出過ぎた言葉かもしれませんが、時の神様も下々の人間が時間をどう感じるかは知っておいて頂ければよろしいかと。あと、ぜひ庭園でもクレープを食べられるようにして頂ければ」
ルルが『時の庭園』に囚われた思うこと。それは、神にとって人間など吹けば飛ぶようなものだと言うことだ。ルルがユアのことを憎めないように、人間とは神を崇めてしまうのかもしれない。
(拝んでくる奴らがどんな考えか知っていたら、ユアさまも星を焼いたりしなかったと思うな)
「生意気にユアさまへ説法などしおって!」
相変わらずクロが元気にわめき始める。主に忠実なこのバランサーはちゃんと周りを見て突っ込んでいるのだろうとルルは理解し始めていた。ユアが不利ならユアのところへ行くし、ユアがやりすぎていればルルを庇うことだってしてくれる。
(悪い奴じゃあ、ないのだよなあ……クロも)
「クロ、静かにしていろ。クレープの方は手配しておこう。ただ、もう一つの方だな。未来か。確かに、私もここのところ見ていなかった」
ようやく『時の神様』の神々しさを取り戻したユアは、ルルにとっては親しみにくい笑みを浮かべている。唇は弧を描き、歪み、目は爛々と、野心を隠そうともしていない。
「今度、お前にも見せてやろう。このまま時が進めば、この星がどう滅びゆくのかを、な」
「私には必要ありません」
ルルは無理やり考えを押し付けられるのが好きではないのだ。例え違う意見だとしても、何かの形で折り合いをつけられないかを探ってしまう性質である。ルルは軽くため息を吐きつつ、そういう態度は拒絶をするしかないのだけど、と考えていた。
「同意しておいた方が良いぞ。私がやろうと思えば、どの道結果は変わらない」
(まーた、そういうことを言うのだから、ユアさまは……)
そう言いながら、ユアの目がどこか寂しそうなのにルルは気づいている。わざわざ指摘するほどルルは無遠慮ではないが、ユアの伏し目姿を見ていると、どうにも調子が狂ってしまう。思いのままに権能を振う神ではなく、強大な力に振り回されている青年みたいだ、などとルルは思ったりする。
(まったく、そんな目をするならやらなきゃいい物を)
だらしなくストローを咥えたルルは、頭の後ろで手を組んだ。椅子に寄りかかって空を見上げると、いつの間にかすっかり日が暮れていた。
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