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番外編:子どもができても先輩の愛はいろいろと重すぎる
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しおりを挟む一樹さんのマンションに行くと、一樹さんが笑顔で迎えてくれた。
一樹さんの部屋は、健人さんのマンションよりさらに輪をかけて広い。最近ではあかり専用の部屋まで用意されているのだから、叔父バカもいいところだ。
「あかり、いらっしゃい」
「一樹!」
明かりは一樹さんに飛びつく。離れていた恋人さながらだな、と苦笑すると、となりで健人さんがちょっぴり悔しそうにしていた。
そうしていると、後ろからお義父さんがやって来る。
「あかり」
「じいじ!」
「今日あかりが一樹のとこに来るって聞いていたから、プレゼント持ってきたんだ」
「あ、僕もあかりにアメリカのお土産がある」
「わーい!」
私はすっと目を細める。
一見なんてことない会話だが、そのプレゼントやらお土産やらの中身が大変心配なのである。
リビングに行くと、お義父さんから一冊の冊子を渡される。
本、だろうか、と思ったところで、それがパンフレットだと言うことに気づいた。
「あかり、この前テレビ見て、船が好きって言ってたから」
とお義父さんは笑う。
(船って……まさかクルーザーとかじゃないだろうな……!)
お金持ちはやたらクルーザーを持っていて、そのお金持ち勢の多くが免許を所有していることを私は最近知ったところだ。もちろん、一樹さんや健人さんも例外ではない。
しかし、そのパンフレットに載っている船は、明らかにクルーザーではなく……
「豪華、客船……?」
私はつぶやく。すると、お義父さんはにこりと笑い、
「あぁ、そうだよ。大型豪華客船で、うちが今度経営しようかと思ってるけど、所有権はあかりに。だから、あかりって名前にしたんだよ」
お義父さんは、そう言って笑った。
確かに、客船の外にAkariと綴られている。テレビでしかお目にかかったことのないような、プールやレストラン、カジノやパーティー会場までついているような超大型豪華客船だった。
「初就航にはあかりも一緒に乗ろうね。あかりの船なんだから」
「お船大好き!」
嬉しくて飛びついたあかりを抱きしめ、目を細めて、嬉しそうにお義父さんは微笑む。
「……大型豪華客船」
私はつぶやいた。
クルーザーでもたぶん驚いた。でもちょっとそこまでは予想できてた。
でもこれは……思ってたのと規模が違う。
泣きそうになった私に追い打ちをかけたのは一樹さんだ。
一樹さんは、急に眼光の鋭い外国人を連れきて紹介した。名は、マイケル。ニューヨーク出身だが、日本語も堪能で、マイクと呼んでくれ、と言われ握手を求められた。
(……ヒト? ってかアメリカ人?)
あかりは誰に似たのか全く物おじしない性格なので、嬉しそうにマイクさんと握手を交わす。
「マイク?」
「あぁ、あかり。よろしく」
「うん!」
あかりの笑顔にマイクさんが破顔する。マイクさんは怖い外面に似合わず笑顔が素敵な人だった……。
(って、人って、どういうことだーーーー⁉)
混乱する私を見て、一樹さんはにこりと笑うと、
「あかり、SP3人しかいないって聞いたから心配になって。この前アメリカ出張の時に、本場のSP訓練を終えたSP連れて帰ってきたよ。あかりの英語の勉強にもなるしね」
「ちょうどよかった。俺も足りないって言ってたんだ」
一樹さんが言い、健人さんが頷く。そこにお義父さんまでもが、
「あかりのSP、3人だって? ちょっと少なすぎないか?」
「少なくないですけど⁉」
思わずお義父さんにもツッこんでしまった。
マイクさんには非常に申し訳ないけど……これも全く予想してなかった……!
―――これ以上のSPだめ。ぜったい。
しかし、当のあかりがマイクさんを気に入り、絶対に私のSPにする、と言い張って、私しか反対する人のいない中、つつがなくマイクさんは4人目のSPとなったのだった……。
まさかアメリカ出張土産が本場のSPとはね。それは私も予想してなかったわ。
私は泣きそうになりながら、あかりとマイクさんを見つめた。ほかの男性陣は目を細めて、嬉しそうにあかりを見つめている。
本当に恐ろしいのは、健人さんではなく、この3名が結託した時ではないかと思った。悪気のない大富豪って……怖い。超コワイ。
その日はあかりを一樹さんたちに託して、私と健人さんは自宅に戻ってきていた。
あの場ではどう言っても私は絶対に不利になる。3対1では勝ち目などない。
健人さんと二人で話したい(文句を言いたい)事もあったし、ちょうどよかった。そんなことを思っていると、帰り際、一樹さんとお義父さんに『仲良くね』と微笑まれた。
私が喧嘩をふっかけそうな雰囲気が伝わったのだろうか……?
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