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■フェルレント視点
千景がこの世に誕生したその瞬間から私はずっと千景のそばにいた。
千景が辛い思いをしている間ずっとだ。
現世への干渉は規制されていて、千景をあの地獄からなかなか救い出すことが出来ず、私は己の無力さをいつも歯痒く思っていた。
愛する千景を傷つけた人間は1人残らず許すことは出来ない。
千景に対する執着の強さは自分自身が一番よく分かっていた。
あれこれと手を回し、千景の両親や、和樹という青年は不幸に追いやることができ、残すところは青砥という者だけだった。
もちろん、それを千景には悟らせたりはしまいと、息子が2人生まれた今でも常に自分を律して生きている。千景も息子たちも本当に可愛らしく愛おしい。
幸せな日々はとても楽しかった。けれど、その間も私は許せぬ相手をずっと待ち続けていた。
そうしてやっとその時がきた。
反省とは名ばかりで、空っぽの墓に向かって懺悔というなのポエムを垂れ流し続ける青砥という人物が、寿命を終えてやってきたのだ。
私は直々に案内を買って出た。
現世はこの世界よりも早く時が進んでいる。
その上、千景は私の番になった時に私と同じ歳の流れで生きることになったから、千景がこの世界に来てから6年と少し経ったにも関わらず、見た目は18歳の頃とまるで変わらない。
けれど、現世で図々しくも寿命を全うした青砥は、荒んだ生活が滲み出るような見た目で年老いていてみすぼらしかった。
本来、扉への案内なども私の職務ではないのだが、私が出ていくと青砥は千景に会わせろと宣った。
それを断り、適当にかわして、落ち着く時間が必要だろうから明日また来るなどと言って、私は役所を後にした。
青砥は必ず言いつけを破り私の後を追ってこの建物を出るだろうと確信してほくそ笑み、屋敷までは瞬間移動を使わずわざわざ歩いて帰宅した。
案の定、私の屋敷に忍び込んでいた青砥は千景に不審者扱いを受けてうろたえていた。
青砥の目は血走り、その目は遠くで怯える息子たちを捉えた。
走り出そうとする青砥を取り押さえ千景と息子たちを屋敷に帰すと青砥は体から力を抜いた。
「なんで」
茫然自失というように青砥が呟いた。
千景の反応は当たり前の反応だということが分からない青砥は本当に愚かだ。
青砥を押さえつけていた体をどかしても、青砥は座り込むだけで動こうとはしなかった。
落ち込んだ様子を見せる青砥の足元では黒い影が現れ、そしてそれが大きくなっていく。
「ひっ、な、なんだこれ!!」
影が足を覆い始めてやっと青砥は自分の体を這い回る黒い影に気がつき怯え始めた。
私はおかしくて仕方がなかった。
「ふ……ははっ。だからあの建物から出ないほうが良いと言ったでしょう。ちゃんと説明されたはずですよ。あなたは本来この世界の者ではないのですから。天国か、地獄か、どちらかに向かわないといけないんです」
「な、はぁ?」
意味がわからないと青砥の顔が言っていた。
それでも私は続けた。
「役所は治外法権みたいなもの。あそこを出てしまえば強制送還です。もちろん、こちらが説明した決まりを破ったのですから、送られる先は地獄になりますよ」
「そんなっ、聞いてない! 俺は聞いてない!!」
「受付のものがちゃんと説明しておりますよ。磯村青砥様。それでは、良い旅を」
「わっ、ひぃ!! ぁああ! やだ!! いやだ!!」
影は青砥の体を包み込み、そして地面へと引きずり込んで消えた。
後に残るのは静寂のみで、私は押し殺すように数分笑った後、千景達のもとに向かった。
千景がこの世に誕生したその瞬間から私はずっと千景のそばにいた。
千景が辛い思いをしている間ずっとだ。
現世への干渉は規制されていて、千景をあの地獄からなかなか救い出すことが出来ず、私は己の無力さをいつも歯痒く思っていた。
愛する千景を傷つけた人間は1人残らず許すことは出来ない。
千景に対する執着の強さは自分自身が一番よく分かっていた。
あれこれと手を回し、千景の両親や、和樹という青年は不幸に追いやることができ、残すところは青砥という者だけだった。
もちろん、それを千景には悟らせたりはしまいと、息子が2人生まれた今でも常に自分を律して生きている。千景も息子たちも本当に可愛らしく愛おしい。
幸せな日々はとても楽しかった。けれど、その間も私は許せぬ相手をずっと待ち続けていた。
そうしてやっとその時がきた。
反省とは名ばかりで、空っぽの墓に向かって懺悔というなのポエムを垂れ流し続ける青砥という人物が、寿命を終えてやってきたのだ。
私は直々に案内を買って出た。
現世はこの世界よりも早く時が進んでいる。
その上、千景は私の番になった時に私と同じ歳の流れで生きることになったから、千景がこの世界に来てから6年と少し経ったにも関わらず、見た目は18歳の頃とまるで変わらない。
けれど、現世で図々しくも寿命を全うした青砥は、荒んだ生活が滲み出るような見た目で年老いていてみすぼらしかった。
本来、扉への案内なども私の職務ではないのだが、私が出ていくと青砥は千景に会わせろと宣った。
それを断り、適当にかわして、落ち着く時間が必要だろうから明日また来るなどと言って、私は役所を後にした。
青砥は必ず言いつけを破り私の後を追ってこの建物を出るだろうと確信してほくそ笑み、屋敷までは瞬間移動を使わずわざわざ歩いて帰宅した。
案の定、私の屋敷に忍び込んでいた青砥は千景に不審者扱いを受けてうろたえていた。
青砥の目は血走り、その目は遠くで怯える息子たちを捉えた。
走り出そうとする青砥を取り押さえ千景と息子たちを屋敷に帰すと青砥は体から力を抜いた。
「なんで」
茫然自失というように青砥が呟いた。
千景の反応は当たり前の反応だということが分からない青砥は本当に愚かだ。
青砥を押さえつけていた体をどかしても、青砥は座り込むだけで動こうとはしなかった。
落ち込んだ様子を見せる青砥の足元では黒い影が現れ、そしてそれが大きくなっていく。
「ひっ、な、なんだこれ!!」
影が足を覆い始めてやっと青砥は自分の体を這い回る黒い影に気がつき怯え始めた。
私はおかしくて仕方がなかった。
「ふ……ははっ。だからあの建物から出ないほうが良いと言ったでしょう。ちゃんと説明されたはずですよ。あなたは本来この世界の者ではないのですから。天国か、地獄か、どちらかに向かわないといけないんです」
「な、はぁ?」
意味がわからないと青砥の顔が言っていた。
それでも私は続けた。
「役所は治外法権みたいなもの。あそこを出てしまえば強制送還です。もちろん、こちらが説明した決まりを破ったのですから、送られる先は地獄になりますよ」
「そんなっ、聞いてない! 俺は聞いてない!!」
「受付のものがちゃんと説明しておりますよ。磯村青砥様。それでは、良い旅を」
「わっ、ひぃ!! ぁああ! やだ!! いやだ!!」
影は青砥の体を包み込み、そして地面へと引きずり込んで消えた。
後に残るのは静寂のみで、私は押し殺すように数分笑った後、千景達のもとに向かった。
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