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目を覚ますと
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目を覚ますと俺は忠次を抱え込んでいた。
忠次もぐっすりと眠っている。
忠次が起きないように腕の力を緩めて解放しようとするとモゾモゾと動いて俺の胸にすり寄ってピトとくっついてきた。
ちょっと待て。かわいい。
可愛すぎるな。これは。
だって、あのバリバリ働いてる副会長然とする忠次が、俺に甘えるようにすり寄ってきているのだ。
しかも明け方に何やらゴキブリが出て騒いでいたけどその後俺と一緒にそのまま寝てくれたんだろ?
俺は未だかつてないほど忠次に執着してしまいそうな気がして内心戸惑った。
母以外の人に執着したことがない。
俺のテリトリーの中に入れた人間は守りたいと思う。
実際多少のことからは守れる力も持っている自信がある。
だけど、それだけだ。
俺から離れるならそれを追って行ってまで守りに行こうとは思えない。
だが、忠次は違う。
忠次はただ守られるような男じゃない。
むしろ委員長の実家では俺の方が守られた。
それでも俺は例え忠次が俺から逃げようとしてもどこまでも追いかけて俺のテリトリーから出したくないと願ってしまう。
そこまで考えて俺は覚悟を決めた。
言ってしまおう。
このまま悶々と考えても仕方がない。
忠次が迷惑に思うとかもう考えてはいられない。
だって忠次が可愛すぎるから。
寝過ぎたテンションなのかやたらと頭が冴えている割に変にハイになって決意した。
「ん……」
忠次がまたモゾモゾと動き出してうっすらと目を開けた。
「忠次」
「あ……凛太郎。起きたんですか」
「好きだ」
「…………は?」
「忠次が好きだ。付き合ってくれ」
「……ぁ……夢……?」
惚けた顔の忠次はかわいいが、夢だと思ってスルーらされたら困る。
「ぃた。痛いです。凛太郎! 頬つねらないで!」
「夢じゃない」
「……それは……言葉で伝えてください」
拗ねたように言う忠次がやはりかわいい。
「なぁ。好きな人はいるのか? 俺じゃダメか」
「好きな人はいます」
そう、忠次が言った。
そうか。
好きな人いるのか。
諦めないといけないのか。
いや、諦めはしないが。
「そんな悲しそうな顔しないでください」
「あ、ああ。でも俺、諦めねぇから。振られたらすぐに教えてくれよ」
「振られませんよ」
「……そうか」
「私も、凛太郎が好きです」
「……え?」
「だから私も凛太郎が好きですと言ったんです」
「それは付き合ってくれるって意味か?」
「はい」
え? 告白成功?
うわぁ。めっちゃ嬉しい。
だが。
「っ。だったら何で振る雰囲気出すんだよ!」
「だって! 寝起きでそんな話されても頭回んないじゃないですか! それに寝起きからまたキラキラした顔ドアップだし!」
「えっ、忠次俺の顔好きなの?」
そう聞いたら忠次はボフッと音がしそうなほど顔を赤くした。
「すっ……好きですけど。顔だけじゃないですよ。強いところも、優しいところも、不器用なところも、ちゃんと体育祭とか真面目に頑張ったりするところも、髪の毛が芝犬みたいなところも全部好きです」
「っ!!」
ギュッと心臓が鷲掴みにされた。
何だかよく分からない感情が背中から腹を回って胸をあがって、叫び声になりそうな。
だから叫び声を上げないようにとりあえず忠次を抱きしめた。
そしたら忠次もすぐに抱きしめ返してくれた。
「あれ? 俺めっちゃ嬉しいんだけど、よく考えたら最後聞き捨てならないこと言ってなかったか?」
そう言うと忠次はクスクスと笑って俺の髪を撫でた。
「髪の毛が芝犬みたい? 言ったら怒るかなぁと思ったんですがやっぱり我慢できませんでした」
嬉しそうにそう言う忠次に俺は諦めた。
「……まぁ、いいか。忠次がそんな俺がいいって言うなら」
「あ、あともう一つありました。凛太郎は女装もかわいいです」
「女装『も』? 普段もかわいいってこと?」
そう聞くと忠次はもちろんとまた嬉しそうに笑ったので俺はまた叫び声を上げるのを抑えるのが大変だった。
忠次もぐっすりと眠っている。
忠次が起きないように腕の力を緩めて解放しようとするとモゾモゾと動いて俺の胸にすり寄ってピトとくっついてきた。
ちょっと待て。かわいい。
可愛すぎるな。これは。
だって、あのバリバリ働いてる副会長然とする忠次が、俺に甘えるようにすり寄ってきているのだ。
しかも明け方に何やらゴキブリが出て騒いでいたけどその後俺と一緒にそのまま寝てくれたんだろ?
俺は未だかつてないほど忠次に執着してしまいそうな気がして内心戸惑った。
母以外の人に執着したことがない。
俺のテリトリーの中に入れた人間は守りたいと思う。
実際多少のことからは守れる力も持っている自信がある。
だけど、それだけだ。
俺から離れるならそれを追って行ってまで守りに行こうとは思えない。
だが、忠次は違う。
忠次はただ守られるような男じゃない。
むしろ委員長の実家では俺の方が守られた。
それでも俺は例え忠次が俺から逃げようとしてもどこまでも追いかけて俺のテリトリーから出したくないと願ってしまう。
そこまで考えて俺は覚悟を決めた。
言ってしまおう。
このまま悶々と考えても仕方がない。
忠次が迷惑に思うとかもう考えてはいられない。
だって忠次が可愛すぎるから。
寝過ぎたテンションなのかやたらと頭が冴えている割に変にハイになって決意した。
「ん……」
忠次がまたモゾモゾと動き出してうっすらと目を開けた。
「忠次」
「あ……凛太郎。起きたんですか」
「好きだ」
「…………は?」
「忠次が好きだ。付き合ってくれ」
「……ぁ……夢……?」
惚けた顔の忠次はかわいいが、夢だと思ってスルーらされたら困る。
「ぃた。痛いです。凛太郎! 頬つねらないで!」
「夢じゃない」
「……それは……言葉で伝えてください」
拗ねたように言う忠次がやはりかわいい。
「なぁ。好きな人はいるのか? 俺じゃダメか」
「好きな人はいます」
そう、忠次が言った。
そうか。
好きな人いるのか。
諦めないといけないのか。
いや、諦めはしないが。
「そんな悲しそうな顔しないでください」
「あ、ああ。でも俺、諦めねぇから。振られたらすぐに教えてくれよ」
「振られませんよ」
「……そうか」
「私も、凛太郎が好きです」
「……え?」
「だから私も凛太郎が好きですと言ったんです」
「それは付き合ってくれるって意味か?」
「はい」
え? 告白成功?
うわぁ。めっちゃ嬉しい。
だが。
「っ。だったら何で振る雰囲気出すんだよ!」
「だって! 寝起きでそんな話されても頭回んないじゃないですか! それに寝起きからまたキラキラした顔ドアップだし!」
「えっ、忠次俺の顔好きなの?」
そう聞いたら忠次はボフッと音がしそうなほど顔を赤くした。
「すっ……好きですけど。顔だけじゃないですよ。強いところも、優しいところも、不器用なところも、ちゃんと体育祭とか真面目に頑張ったりするところも、髪の毛が芝犬みたいなところも全部好きです」
「っ!!」
ギュッと心臓が鷲掴みにされた。
何だかよく分からない感情が背中から腹を回って胸をあがって、叫び声になりそうな。
だから叫び声を上げないようにとりあえず忠次を抱きしめた。
そしたら忠次もすぐに抱きしめ返してくれた。
「あれ? 俺めっちゃ嬉しいんだけど、よく考えたら最後聞き捨てならないこと言ってなかったか?」
そう言うと忠次はクスクスと笑って俺の髪を撫でた。
「髪の毛が芝犬みたい? 言ったら怒るかなぁと思ったんですがやっぱり我慢できませんでした」
嬉しそうにそう言う忠次に俺は諦めた。
「……まぁ、いいか。忠次がそんな俺がいいって言うなら」
「あ、あともう一つありました。凛太郎は女装もかわいいです」
「女装『も』? 普段もかわいいってこと?」
そう聞くと忠次はもちろんとまた嬉しそうに笑ったので俺はまた叫び声を上げるのを抑えるのが大変だった。
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