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親父の部屋
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親父の部屋に行くために廊下を歩き始めると後ろをぴったりと憲史がついて歩いてきた。
「憲史、俺の部屋の前で待ってろ」
「ですが」
「安心しろよ。今から出かけたりしない。それにお前にとっていい話をしに行くんだ」
「俺にとっていい話……?」
憲史は首を傾げながらそう尋ねた。
「ああ」
「なんです」
「あ?」
「俺にとっていい話ってなんですか」
「そりゃあ、後からのお楽しみだよ」
「俺の話をするのなら、俺がいてもいいでしょう」
「憲史、命令だ」
「っ」
憲史は足を止めて、俺はそれを確認して親父の部屋へと急いだ。
「親父、いるか」
「あ”ぁ? 正親か? 入れ!」
親父は俺が部屋に入ると不機嫌そうな顔をして座っていた。
「何の用だ」
「ああ、憲史の件だ」
「憲史の?」
「親父が前から言ってたろ。俺の世話係を外してくれ」
「……なぜだ。お前は前から憲史になついて離れるのを嫌がっていたろう」
「ああ。だが俺も兄離れしないとなと思っただけだ」
「そうか……わかった。じゃあ憲史にも確認してから、憲史がそれでいいと言ったらそうしよう」
「憲史に確認する必要はないだろう」
「あ? あるだろ。あいつだってお前から離れるのを嫌がってた。お前だけが嫌がっているなら俺はすぐにでも憲史を俺の秘書にしたさ」
「憲史が……?」
やめろ。期待するな。
憲史は俺に甘かったから、俺が嫌がっていたから俺の近くにいただけだ。
だけど俺の心臓はドクドクと鳴っていた。
でももう今更か。
俺から憲史から離れると言ったと知れば、憲史だって俺から喜んで離れるだろう。
親父の部屋を出てスマホを見ると健からラインが返ってきていた。
『じゃあ、明日はどうかな。無理だったら気にせず断ってくれ』
「ふふ」
健の遠慮がちな言い方に、自分でも気がつかない間に入っていた体の力が抜けた。
『いいよ。明日はどのホテルにいるの?』
そう返してスマホを閉じて廊下を進むと憲史が待っていた。
俺の部屋と親父の部屋の中間あたり、ちょうど来るときに憲史が止まったところと同じところで待機していたようだ。
「お話は終わったのですか」
「ああ。親父から話すだろうからこのまま親父の部屋に行ってくれ」
「……わかりました」
憲史は静かに答えた。
次の日、俺が高校に行くといつものように上級生に絡まれた。
生意気な目をしてるだとか、親がヤクザだからと調子に乗ってるんじゃねぇとか。
その都度難癖をつけて俺に喧嘩を売って、毎回ボコボコにされるのはもはやドMなんじゃないかと思っている。
だがいつもいつも3対1で襲い掛かられては俺も無傷とはいかないから本当にやめてほしい。
俺の足元で伸びている3人の上級生を見ながらそう思った。
夜になって健が指定したホテルに行くとファミレスに連れて行かれた。
「寝るだけってのは味気ないでしょ? 好きなだけ食べて」
「別にいいのに。まぁいただきます」
俺はメニューの中からステーキとハンバーグセットという中々にヘビーなものをチョイスして食べた。
「喧嘩でもしたの?」
「あ? なんで」
「傷。痛そうだ」
「ああ。いつも喧嘩売られるんだよなぁ。俺」
「ホテル行く前に消毒でも買って行こうか」
「や、いいよ。こんくらい」
「でもご家族の方とか心配しない?」
「んー。俺の家族は喜ぶんじゃねぇかな。喧嘩は毎回勝ってるし」
「勝ち負けの問題じゃないでしょ。マサが痛い思いをするのは変わらないんだから」
「お、健いいやつだなぁ」
「俺は心配してるだけだよ」
そう言って、健は本当に消毒と絆創膏などを買ってくれた。
ホテルについて部屋に入ってから『やべ、一緒に入ってるとこ誰かに見られたらまた憲史に怒られる』とは思ったけど、まぁ入っちゃったもんは仕方がないので諦めた。
その後、風呂に入ってから健が俺の手当てをしてくれてまた一緒に寝た。
「憲史、俺の部屋の前で待ってろ」
「ですが」
「安心しろよ。今から出かけたりしない。それにお前にとっていい話をしに行くんだ」
「俺にとっていい話……?」
憲史は首を傾げながらそう尋ねた。
「ああ」
「なんです」
「あ?」
「俺にとっていい話ってなんですか」
「そりゃあ、後からのお楽しみだよ」
「俺の話をするのなら、俺がいてもいいでしょう」
「憲史、命令だ」
「っ」
憲史は足を止めて、俺はそれを確認して親父の部屋へと急いだ。
「親父、いるか」
「あ”ぁ? 正親か? 入れ!」
親父は俺が部屋に入ると不機嫌そうな顔をして座っていた。
「何の用だ」
「ああ、憲史の件だ」
「憲史の?」
「親父が前から言ってたろ。俺の世話係を外してくれ」
「……なぜだ。お前は前から憲史になついて離れるのを嫌がっていたろう」
「ああ。だが俺も兄離れしないとなと思っただけだ」
「そうか……わかった。じゃあ憲史にも確認してから、憲史がそれでいいと言ったらそうしよう」
「憲史に確認する必要はないだろう」
「あ? あるだろ。あいつだってお前から離れるのを嫌がってた。お前だけが嫌がっているなら俺はすぐにでも憲史を俺の秘書にしたさ」
「憲史が……?」
やめろ。期待するな。
憲史は俺に甘かったから、俺が嫌がっていたから俺の近くにいただけだ。
だけど俺の心臓はドクドクと鳴っていた。
でももう今更か。
俺から憲史から離れると言ったと知れば、憲史だって俺から喜んで離れるだろう。
親父の部屋を出てスマホを見ると健からラインが返ってきていた。
『じゃあ、明日はどうかな。無理だったら気にせず断ってくれ』
「ふふ」
健の遠慮がちな言い方に、自分でも気がつかない間に入っていた体の力が抜けた。
『いいよ。明日はどのホテルにいるの?』
そう返してスマホを閉じて廊下を進むと憲史が待っていた。
俺の部屋と親父の部屋の中間あたり、ちょうど来るときに憲史が止まったところと同じところで待機していたようだ。
「お話は終わったのですか」
「ああ。親父から話すだろうからこのまま親父の部屋に行ってくれ」
「……わかりました」
憲史は静かに答えた。
次の日、俺が高校に行くといつものように上級生に絡まれた。
生意気な目をしてるだとか、親がヤクザだからと調子に乗ってるんじゃねぇとか。
その都度難癖をつけて俺に喧嘩を売って、毎回ボコボコにされるのはもはやドMなんじゃないかと思っている。
だがいつもいつも3対1で襲い掛かられては俺も無傷とはいかないから本当にやめてほしい。
俺の足元で伸びている3人の上級生を見ながらそう思った。
夜になって健が指定したホテルに行くとファミレスに連れて行かれた。
「寝るだけってのは味気ないでしょ? 好きなだけ食べて」
「別にいいのに。まぁいただきます」
俺はメニューの中からステーキとハンバーグセットという中々にヘビーなものをチョイスして食べた。
「喧嘩でもしたの?」
「あ? なんで」
「傷。痛そうだ」
「ああ。いつも喧嘩売られるんだよなぁ。俺」
「ホテル行く前に消毒でも買って行こうか」
「や、いいよ。こんくらい」
「でもご家族の方とか心配しない?」
「んー。俺の家族は喜ぶんじゃねぇかな。喧嘩は毎回勝ってるし」
「勝ち負けの問題じゃないでしょ。マサが痛い思いをするのは変わらないんだから」
「お、健いいやつだなぁ」
「俺は心配してるだけだよ」
そう言って、健は本当に消毒と絆創膏などを買ってくれた。
ホテルについて部屋に入ってから『やべ、一緒に入ってるとこ誰かに見られたらまた憲史に怒られる』とは思ったけど、まぁ入っちゃったもんは仕方がないので諦めた。
その後、風呂に入ってから健が俺の手当てをしてくれてまた一緒に寝た。
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