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景品

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そして中間テストは無事終わり、俺は惜しくも5位という結果に終わった。

景品はもらえるんだけど、景品と呼ぶにはあまりにも……。

「おーい。そんながっかりそうな顔されっと流石の俺でも傷つくんですけどぉ~」
「一十木先生……5位の景品が先生からのマンツーマン補修ってどう言うことですか。景品じゃないじゃないですか、罰ゲームじゃないですか」
「喜ぶやつも結構いるんだっての」

先生はめんどくさそうに頭をガシガシと掻いた後タバコに火をつけて吸い始めた。

「校内禁煙じゃなかったでしたっけ?」
「いんだよ。細けぇこと気にすんな。それにここは俺ん部屋だ。俺が吸いたい時に吸って何が悪い」
「社会科準備室でしょ。先生の部屋じゃないし」
「ここ使うの俺だけだから俺の部屋なの。んでなんか教えて欲しいことある?」
「特には。先生もだるいでしょうし、俺戻ります」

「待て待て。な? これは俺の仕事だからお前ェ返しちまったらあとで怒られるかも知れねぇだろ? ちょっと休んでけ。茶でも入れてやるから」

先生は慌ててそう言って机の上にガスコンロをガンと置いてヤカンでお湯を沸かし始めた。
俺は先生の目の前のソファに座ってそれを眺める。

「先生モテますよね」
「ん? あー、まぁこの学校は特殊だからな」
「俺まだ人を好きになるって分からないんですけど……教えて欲しいことって言ったらその感情です」
「んー。好きになるね。まぁ俺もあんま好きになることってねぇけど、なんかこう、楽しいこととか場所とか、あいつと来たかったなとかしたかったなとか思ったり、そいつの好きなもんが手に入ったら自分まで嬉しくなっちゃったり、俺ぁ、そんな感じかな」
「……へぇ」
「なんだよ」
「いや、ちゃんと教えてくれるんだなと思って」
「そりゃ、この時間は頑張って学年5位をとった石平へのご褒美だからな。景品については不服そうだけど」

ジトリとこちらを見た先生はむすっとしている。

「はは、先生こそ不服そうじゃないですか」
「当たり前ぇだろ。景品にされるのも嫌だったつぅのに当たった本人は嫌がってんだから」
「なんかすみません。でも思ったより結構楽しいです」
「……そりゃよかったよ」

ちょうどお湯が沸いてカップにティーバックを入れてお湯を入れてから俺に渡してくれた。

それから何だかんだと話して景品の時間として設定されていた3時間は終わった。
この3時間の間は授業も免除されるってのが特典で、だから今はちょうど放課後になった時間だ。

なんか楽しい時間だったな。
話すだけの時間なんてあんまりないし、相手が会長だったらどんなだったかな。
ってあれ、俺なんでそこでいきなり会長が出てくるんだ。

『楽しいこととか場所とか、あいつと来たかったなとかしたかったなとか思ったり、そいつの好きなもんが手に入ったら自分まで嬉しくなっちゃったり』

先生が先ほど話していた内容が頭を過ぎる。
俺はすぐさま頭を振った。

「いやいや、ないないない」

そうだ、俺の初恋が会長な訳ない。
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