12 / 17
ついに
しおりを挟む
仙石さんの記憶が戻らないまま、3ヶ月が経った。
仙石さんが警察の上層部の人の娘さんとお見合いをして付き合い始めたらしいと噂が回った。
俺はようやくその時がきたのかと安堵すらしていた。
仙石さんが、やっと幸せを掴むんだと。
俺は仙石さんの幸せを壊していた元凶の一人なのに、厚かましくも仙石さんの幸せを祈っている。
夜の街で聞き込み中、女性とデートしている仙石さんを見た。
幸せそうに笑ってエスコートをしている。
よかった。
本当によかった。
俺とはついぞ行ったことのないような、女性が好みそうな綺麗なレストランに入っていった。
あんなに素敵な仙石さんだから、きっと女性の方はもうすでに仙石さんのことが大好きだろう。
美男美女でお似合いの二人だ。
俺はその後も真剣に聞き込みをした。
頭の中からさっきの仲むずましい映像を消し去るように。
一緒に聞き込みに回っている池田に不審に思われないように。
その日は家に帰った後少し泣いた。
もうすぐここには居られなくなるんだと思うと少し寂しい気持ちになった。
次の日、出勤するとここのところめっきりタイミングも合わずに、話すこともできなかったのに、仙石さんがデスクに座っていた。
「仙石さん、おはようございます」
「おう、おはよう西」
「何だか久しぶりな気がしますね」
「そうだなぁ。俺が事故に合ってからタイミングも合わなかったしあんまり会話したことなかったかもな」
「ですね」
「なぁ、俺たちは以前は結構話してたのか?」
「ええ。仕事がここまで立て込んでいない時は飲みにも良く連れていっていただきました。仙石さんは俺の命の恩人なので。俺が警察官になったのも仙石さんに憧れていたからなんです」
「えっ、そうだったのか。えーと、じゃあ行くか? 飲み」
「え」
「えって何だよ。行きたくねェのか?」
「あ……えっといえ。そういうわけじゃなくて、あの、仙石さんにとって俺は初対面のようなものですよね」
「でも部下だろ? 部下と飲みくらい行くだろ」
「じゃ、あ。えっとお願いします」
「おう」
ニカリと笑った笑い顔が懐かしい。
仙石さんは覚えていないはずなのに、いつもの居酒屋に入っていった。
内心キャバクラに連れて行かれるんじゃないかとヒヤヒヤしていたので安心した。
仙石さんに出会いの話を聞かれたので、助けてもらった時の話をした。
「そんなことあったなぁ。じゃああん時の坊主が西だったのかァ。感慨深いなァ」
「ふふ。俺が警察になってから初めて仙石さんの下に配属された時も今と同じこと言ってましたよ」
「そうなのか。あー、あの時一緒にいたお袋さんは元気か?」
「あ、ええ。元気ですよ」
嘘だ。あのあと、両親は2人とも交通事故で死んだ。
仙石さんに以前、同じことを聞かれた時、そのことを正直に言ったらかなり気にされた。
だから今回は元気だと嘘をついた。
「そうか。そりゃよかった」
嘘をつくことへの罪悪感は0だった。
仙石さんが笑っている。それが最善だ。
「仙石さん、お見合いしてうまくいってるって聞きましたけど」
「おう、なんだ? 噂が回ってるのか? そうなんだよ。もう少ししたらプロポーズしようと思ってんだ」
仙石さんは照れ臭そうに下を向いてハニカムようにそう言った。
「そうなんですか。じゃあ今、幸せ再絶頂って感じですね?」
「何だァ、その恥ずかしい質問。だがまぁそうだな」
そうか。よかった。
仙石さんは幸せになれるのか。
よかった。
本当に。
仙石さんが警察の上層部の人の娘さんとお見合いをして付き合い始めたらしいと噂が回った。
俺はようやくその時がきたのかと安堵すらしていた。
仙石さんが、やっと幸せを掴むんだと。
俺は仙石さんの幸せを壊していた元凶の一人なのに、厚かましくも仙石さんの幸せを祈っている。
夜の街で聞き込み中、女性とデートしている仙石さんを見た。
幸せそうに笑ってエスコートをしている。
よかった。
本当によかった。
俺とはついぞ行ったことのないような、女性が好みそうな綺麗なレストランに入っていった。
あんなに素敵な仙石さんだから、きっと女性の方はもうすでに仙石さんのことが大好きだろう。
美男美女でお似合いの二人だ。
俺はその後も真剣に聞き込みをした。
頭の中からさっきの仲むずましい映像を消し去るように。
一緒に聞き込みに回っている池田に不審に思われないように。
その日は家に帰った後少し泣いた。
もうすぐここには居られなくなるんだと思うと少し寂しい気持ちになった。
次の日、出勤するとここのところめっきりタイミングも合わずに、話すこともできなかったのに、仙石さんがデスクに座っていた。
「仙石さん、おはようございます」
「おう、おはよう西」
「何だか久しぶりな気がしますね」
「そうだなぁ。俺が事故に合ってからタイミングも合わなかったしあんまり会話したことなかったかもな」
「ですね」
「なぁ、俺たちは以前は結構話してたのか?」
「ええ。仕事がここまで立て込んでいない時は飲みにも良く連れていっていただきました。仙石さんは俺の命の恩人なので。俺が警察官になったのも仙石さんに憧れていたからなんです」
「えっ、そうだったのか。えーと、じゃあ行くか? 飲み」
「え」
「えって何だよ。行きたくねェのか?」
「あ……えっといえ。そういうわけじゃなくて、あの、仙石さんにとって俺は初対面のようなものですよね」
「でも部下だろ? 部下と飲みくらい行くだろ」
「じゃ、あ。えっとお願いします」
「おう」
ニカリと笑った笑い顔が懐かしい。
仙石さんは覚えていないはずなのに、いつもの居酒屋に入っていった。
内心キャバクラに連れて行かれるんじゃないかとヒヤヒヤしていたので安心した。
仙石さんに出会いの話を聞かれたので、助けてもらった時の話をした。
「そんなことあったなぁ。じゃああん時の坊主が西だったのかァ。感慨深いなァ」
「ふふ。俺が警察になってから初めて仙石さんの下に配属された時も今と同じこと言ってましたよ」
「そうなのか。あー、あの時一緒にいたお袋さんは元気か?」
「あ、ええ。元気ですよ」
嘘だ。あのあと、両親は2人とも交通事故で死んだ。
仙石さんに以前、同じことを聞かれた時、そのことを正直に言ったらかなり気にされた。
だから今回は元気だと嘘をついた。
「そうか。そりゃよかった」
嘘をつくことへの罪悪感は0だった。
仙石さんが笑っている。それが最善だ。
「仙石さん、お見合いしてうまくいってるって聞きましたけど」
「おう、なんだ? 噂が回ってるのか? そうなんだよ。もう少ししたらプロポーズしようと思ってんだ」
仙石さんは照れ臭そうに下を向いてハニカムようにそう言った。
「そうなんですか。じゃあ今、幸せ再絶頂って感じですね?」
「何だァ、その恥ずかしい質問。だがまぁそうだな」
そうか。よかった。
仙石さんは幸せになれるのか。
よかった。
本当に。
81
あなたにおすすめの小説
記憶の代償
槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」
ーダウト。
彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。
そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。
だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。
昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。
いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。
こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です
その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。
ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。
水鳴諒
BL
目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)
離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?
目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる