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入学、再会
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入学の日、あんなに待ち遠しく思っていた日がこんなに憂鬱になるなんて。だけど、特待生入学のおかげで寮の部屋が1人部屋になるのは本当によかった。
日向と母親は最後まで文句を言っていたけど学園側に全て跳ね除けられていた。
日向は一般生徒なので2人部屋だろう。
それでも納得のいかない2人はどうあっても俺に一泡吹かせたいらしく、俺に黒髪のカツラをかぶって変装しながら生活をすることを強要してきた。目立たせないくらいしか意味はない行為だが。
だけど俺は目立ちたくなかったので願ったり叶ったりだ。
入学式の最中、その見た目の派手さから日向はチラチラと視線を集めているようだ。
生徒会長の挨拶で生徒会長らしき人が壇上に上がるとみんな一斉に黄色い声を上げ始めた。
やっぱり男子校だとそういう人もいるのか。かく言う俺もそうだけども。
あれ、生徒会長、重鷹さん……?
1年振りに見る重鷹さんは相変わらずかっこいい。重鷹さん、生徒会長だったんだ。
凛々しく生徒会長からの挨拶をする重鷹さんは生徒全体を見渡しながらゆっくりと聞き心地の良いバリトンボイスで話している。
だがある一点を見たときに視線が止まってわずかに目を見開いたのに気がついた。
あっちの方向は、日向の方だ。
重鷹さんはすぐに視線を逸らして、その後も何事もなかったように話を続けて入学式が終了した。
入学式が終わって各自、自分の教室に向かうことになり俺はAクラスに向かった。
この学園はクラス分けが成績順になっているので日向と同じクラスになることもない。
そう思ったら日向とはクラスも寮の部屋も違うから関わることも少ないかもしれないな。よかった。
それから早くも1ヶ月。
ここのところ、俺によくない噂がたっているようだ。
夜な夜なセフレたちを渡り歩いて遊んでるとか、特待生枠は理事長に枕営業してとったとか、そんな感じの噂らしい。
通りでみんな俺が話しかけても曖昧に笑って逃げていくと思った。
なんでそんな噂が立ったのかって言うと、多分俺が学校が終わった後バイトをしていて部屋に戻るのが遅いからだろう。まぁそれだけでそんな噂が立つのかは不思議だけど。金持ち学園なんで、バイトしてるなんて端から頭にないのかもしれないし、学年で俺が一番成績がいいわけだから妬みもあるのかもしれない。
もちろん、俺はそんな噂を知ったとき否定して回ったけど、なんの意味も為さなかった。
みんな事実がどうであれ、面白い方、過激な方を信じるんだ。
一方の日向は順風満帆にモテライフを送っているようだ。
日向は俺と正反対にいい噂ばかりが回っている。
それに日向が重鷹さんと付き合い始めたんじゃ無いかって噂も回ってた。
なんで友達もいない俺が噂を知ることができるかって言うと、俺のバイト先がこの学園の中にあるスーパーだからだ。レジは自動レジだから店員はいないけど、商品の搬入や品出しなど人の手が必要な部分はある。成績が少しでも落ちたら特待生枠の特典を受けられないから本当はバイトをしたくなかったけど、特待生枠で受けられる特典は学費や寮費や制服代などだけで、食費や文房具などのお金は自分出しだから生きていくために働かざるおえなかった。
金持ちばかりが通っている学園で変に思われたくなくてバイト中は茶髪のカツラに変えて変装していたことが今回の噂の敗因かもしれない。
ある日の放課後、俺はガタイのいい3年生3人に囲まれた。
「君が千葉くんだよね? セックス大好きって本当? 俺たちも相手してよ」
「あんなの根も葉もない噂です」
「でもさぁ、火のないところに煙は立たないって言うよね」
「初めてってわけじゃあ無いでしょう? 先っちょだけでいいしぃ」
そう言って空き教室に引っ張りこまれた。
「嫌だ! やめてください! やめろ!!」
「っと、おいおい、暴れんなって」
「なんだよ、いつもこんなことやってんだろう?」
「ああ、3人相手するのは初めてか?」
「やったね。千葉ちゃんの初めていただきっ」
抵抗しても3人は好き勝手なことを言って俺の制服を脱がしにかかる。
「やめ、ねぇ、やめてよぉ」
目から涙が出てくる。
男たちは一瞬動きを止めたけど、次の瞬間にはなぜだか性急に動き始めた。
「やべ、千葉ちゃん、可愛すぎ」
「いつもそうやって男誘ってんだ?」
「なに? 抵抗してんのも、ひょっとしてそういうプレイ?」
「な、に言って、やめて、やめろっだれか、助けて!」
抵抗も虚しく真っ裸にされて俺は必死に誰かに助けを求めた。
だって重鷹さんとの約束だ。
だけど、きっと誰も来てやくれないんだろう。
「おい! そこで何をしている!!」
教室のドアを開けて叫んだのは俺が聞きたくて仕方なかった重鷹さんの声だった。
日向と母親は最後まで文句を言っていたけど学園側に全て跳ね除けられていた。
日向は一般生徒なので2人部屋だろう。
それでも納得のいかない2人はどうあっても俺に一泡吹かせたいらしく、俺に黒髪のカツラをかぶって変装しながら生活をすることを強要してきた。目立たせないくらいしか意味はない行為だが。
だけど俺は目立ちたくなかったので願ったり叶ったりだ。
入学式の最中、その見た目の派手さから日向はチラチラと視線を集めているようだ。
生徒会長の挨拶で生徒会長らしき人が壇上に上がるとみんな一斉に黄色い声を上げ始めた。
やっぱり男子校だとそういう人もいるのか。かく言う俺もそうだけども。
あれ、生徒会長、重鷹さん……?
1年振りに見る重鷹さんは相変わらずかっこいい。重鷹さん、生徒会長だったんだ。
凛々しく生徒会長からの挨拶をする重鷹さんは生徒全体を見渡しながらゆっくりと聞き心地の良いバリトンボイスで話している。
だがある一点を見たときに視線が止まってわずかに目を見開いたのに気がついた。
あっちの方向は、日向の方だ。
重鷹さんはすぐに視線を逸らして、その後も何事もなかったように話を続けて入学式が終了した。
入学式が終わって各自、自分の教室に向かうことになり俺はAクラスに向かった。
この学園はクラス分けが成績順になっているので日向と同じクラスになることもない。
そう思ったら日向とはクラスも寮の部屋も違うから関わることも少ないかもしれないな。よかった。
それから早くも1ヶ月。
ここのところ、俺によくない噂がたっているようだ。
夜な夜なセフレたちを渡り歩いて遊んでるとか、特待生枠は理事長に枕営業してとったとか、そんな感じの噂らしい。
通りでみんな俺が話しかけても曖昧に笑って逃げていくと思った。
なんでそんな噂が立ったのかって言うと、多分俺が学校が終わった後バイトをしていて部屋に戻るのが遅いからだろう。まぁそれだけでそんな噂が立つのかは不思議だけど。金持ち学園なんで、バイトしてるなんて端から頭にないのかもしれないし、学年で俺が一番成績がいいわけだから妬みもあるのかもしれない。
もちろん、俺はそんな噂を知ったとき否定して回ったけど、なんの意味も為さなかった。
みんな事実がどうであれ、面白い方、過激な方を信じるんだ。
一方の日向は順風満帆にモテライフを送っているようだ。
日向は俺と正反対にいい噂ばかりが回っている。
それに日向が重鷹さんと付き合い始めたんじゃ無いかって噂も回ってた。
なんで友達もいない俺が噂を知ることができるかって言うと、俺のバイト先がこの学園の中にあるスーパーだからだ。レジは自動レジだから店員はいないけど、商品の搬入や品出しなど人の手が必要な部分はある。成績が少しでも落ちたら特待生枠の特典を受けられないから本当はバイトをしたくなかったけど、特待生枠で受けられる特典は学費や寮費や制服代などだけで、食費や文房具などのお金は自分出しだから生きていくために働かざるおえなかった。
金持ちばかりが通っている学園で変に思われたくなくてバイト中は茶髪のカツラに変えて変装していたことが今回の噂の敗因かもしれない。
ある日の放課後、俺はガタイのいい3年生3人に囲まれた。
「君が千葉くんだよね? セックス大好きって本当? 俺たちも相手してよ」
「あんなの根も葉もない噂です」
「でもさぁ、火のないところに煙は立たないって言うよね」
「初めてってわけじゃあ無いでしょう? 先っちょだけでいいしぃ」
そう言って空き教室に引っ張りこまれた。
「嫌だ! やめてください! やめろ!!」
「っと、おいおい、暴れんなって」
「なんだよ、いつもこんなことやってんだろう?」
「ああ、3人相手するのは初めてか?」
「やったね。千葉ちゃんの初めていただきっ」
抵抗しても3人は好き勝手なことを言って俺の制服を脱がしにかかる。
「やめ、ねぇ、やめてよぉ」
目から涙が出てくる。
男たちは一瞬動きを止めたけど、次の瞬間にはなぜだか性急に動き始めた。
「やべ、千葉ちゃん、可愛すぎ」
「いつもそうやって男誘ってんだ?」
「なに? 抵抗してんのも、ひょっとしてそういうプレイ?」
「な、に言って、やめて、やめろっだれか、助けて!」
抵抗も虚しく真っ裸にされて俺は必死に誰かに助けを求めた。
だって重鷹さんとの約束だ。
だけど、きっと誰も来てやくれないんだろう。
「おい! そこで何をしている!!」
教室のドアを開けて叫んだのは俺が聞きたくて仕方なかった重鷹さんの声だった。
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