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代わりに
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「やっべ、おい行くぞ!」
「またな」
「千葉ちゃん、今度また相手してねっ」
3人はそう言って去って行った。
また、重鷹さんが助けてくれた。嬉しい。
だけど、重鷹さんの目は冷たかった。
「おい、お前も服を来て早くいけ」
「え」
前の時は優しく大丈夫かって聞いてくれたのに。
「それと風紀が乱れる。少しは控えてもらえないか?」
「あ……えっと」
そう言われてやっと分かった。
重鷹さんも、あの噂を知っているんだ。
そして、その噂を信じているんだ。
俺は、誰にでも股を開くような人間だと思われているんだ。
もしかしたらさっきの3人も俺が誘ったと思っているのかな。
はは。あー、そうか。
そう言うことか。
「会長、じゃあ、会長が俺のセフレになってくれたらその他の人と遊ぶの、止めてもいいですよ」
俺は笑いながらそう言った。軽薄そうに見えるように。
遊んでる人なんていないけど。
「俺は好きなやつがいるからセフレは作らない」
チクリと胸が痛む。
「へー、好きな人って誰ですか?」
「お前も知っているんだろう? そしてお前は俺が好きなんだろう? だから俺の好きなやつをいじめたんだろう?」
重鷹さんのことが好きってバレてたか。
いや、また誰かが流した噂か。
重鷹さんの好きな人なんて俺は知らないけど、いや? 先輩は日向と付き合い始めたとかいう噂が流れていた。
「もしかして、日向……ですか?」
「やはり、知っていたか。では噂も本当なんだろう。まだいい返事はもらえていないが日向にアプローチ中だ。あいつに手は出させない」
また胸にチクリと痛みが走る。
重鷹さんにこんなに大切に思われてるなんていいなぁ。日向。
日向は重鷹さんのこと好きじゃないの? だったら俺が代わりに。また……俺が日向の代わりになってもいいだろ? 昔はよく日向と同じ髪の色にして、日向の嫌がる授業を受けたり、習い事に行ったりしていた。日向の代わりは慣れてるから、重鷹さんが俺を日向だと錯覚するくらい上手くできるはずだ。
「俺が日向をいじめてるって、日向がそう言ったんですか?」
「ああ」
「そうですか。会長、俺の顔、よく見てみてください。日向に似てるでしょう?」
「……」
「双子なんです。双子だけど、みんな日向を好きになる。あいつの方が可愛いからってのは分かってますよ。でも、俺だって代わりにくらいなるでしょう? 会長」
「代わりなんて誰にもいない」
「います。少なくともどう扱ってもいい人間ってのはいる」
「お前、クソ野郎だな。日向がそうだって言いたいのか」
違うよ、とまたチクリと胸が痛む。
どう扱ってもいい人間てのは俺だ。
だけど俺は重鷹さんの言葉は否定せずに無言を貫いた。
重鷹さんは無言を肯定と受け取ったようだ。
「分かった。じゃあお前を使ってやる。お前が簡単に言う、どう扱ってもいい人間ってのを二度と言えないようにしてやるよ。登録しておけ、俺が呼び出したらすぐに来い」
重鷹さんはLIMEのIDをメモにささっと書き込んでこちらに押し付けて教室から出て行った。
ふふ、代わりとしてでも愛されたらいいかなと思ったけど、この分だと無理そうだな。
まぁ抱いてもらえるだけマシか。
後ろを慣らしておいた方がいいかな。慣れていると思われているんだから。
俺はスーパーに2時間も無断で遅刻してしまった。
店長にはせめて連絡しろと怒られて、俺はその後二時間分を取り戻すようにマッハで仕事を終わらせた。
寮の部屋に帰って勉強を2時間した後、スマホで後ろの慣らし方について調べた。
ローションが必要かな。あと浣腸液か。
くそぅ。高いな。
だけど背に腹は変えられないか。食費から削ろう。
そしてさっそくネットで注文した。
明日には届くかな? 今日のところは風呂場で石鹸つかってやってみるか。
しばらくは呼び出されないといいけど。
風呂に入って、体を洗った後、石鹸をつけた指でそこを触ってみた。
「うわぁ、こんなところに入る気がしない」
怖気付いてしまってなかなかできそうにも無かったけど、えいっと人差し指を入れてみた。
意外とすんなり入ったけど、気持ちが悪い。異物感がすごい。
これって気持ちよくなるものなんだろうか。
頑張って広げるように動かす。
「うぅ……きもちわるいよぉ」
しばらくそうしていたけど、今日のところは2本目の指は入りそうに無いので、明日リベンジすることにした。
風呂から上がるとスマホに通知が来ていた。
『明後日の夜、俺の部屋に来い』
重鷹さんだ。明後日かぁ、早いな。じゃあなんとしてでも明日中に、なんとかしないといけなくなった。
「ああ、だけどこりゃ何がどうひっくり返っても俺のことなんか好きになってくれないじゃん。というか嫌われてるし」
だけど重鷹さんは日向が好きなのかぁ。
重鷹さんは俺のものじゃ無いから、奪われたってわけじゃないけど、やっぱり日向は俺が大切にしているものを、簡単に手に入れていくんだよなぁ。
「またな」
「千葉ちゃん、今度また相手してねっ」
3人はそう言って去って行った。
また、重鷹さんが助けてくれた。嬉しい。
だけど、重鷹さんの目は冷たかった。
「おい、お前も服を来て早くいけ」
「え」
前の時は優しく大丈夫かって聞いてくれたのに。
「それと風紀が乱れる。少しは控えてもらえないか?」
「あ……えっと」
そう言われてやっと分かった。
重鷹さんも、あの噂を知っているんだ。
そして、その噂を信じているんだ。
俺は、誰にでも股を開くような人間だと思われているんだ。
もしかしたらさっきの3人も俺が誘ったと思っているのかな。
はは。あー、そうか。
そう言うことか。
「会長、じゃあ、会長が俺のセフレになってくれたらその他の人と遊ぶの、止めてもいいですよ」
俺は笑いながらそう言った。軽薄そうに見えるように。
遊んでる人なんていないけど。
「俺は好きなやつがいるからセフレは作らない」
チクリと胸が痛む。
「へー、好きな人って誰ですか?」
「お前も知っているんだろう? そしてお前は俺が好きなんだろう? だから俺の好きなやつをいじめたんだろう?」
重鷹さんのことが好きってバレてたか。
いや、また誰かが流した噂か。
重鷹さんの好きな人なんて俺は知らないけど、いや? 先輩は日向と付き合い始めたとかいう噂が流れていた。
「もしかして、日向……ですか?」
「やはり、知っていたか。では噂も本当なんだろう。まだいい返事はもらえていないが日向にアプローチ中だ。あいつに手は出させない」
また胸にチクリと痛みが走る。
重鷹さんにこんなに大切に思われてるなんていいなぁ。日向。
日向は重鷹さんのこと好きじゃないの? だったら俺が代わりに。また……俺が日向の代わりになってもいいだろ? 昔はよく日向と同じ髪の色にして、日向の嫌がる授業を受けたり、習い事に行ったりしていた。日向の代わりは慣れてるから、重鷹さんが俺を日向だと錯覚するくらい上手くできるはずだ。
「俺が日向をいじめてるって、日向がそう言ったんですか?」
「ああ」
「そうですか。会長、俺の顔、よく見てみてください。日向に似てるでしょう?」
「……」
「双子なんです。双子だけど、みんな日向を好きになる。あいつの方が可愛いからってのは分かってますよ。でも、俺だって代わりにくらいなるでしょう? 会長」
「代わりなんて誰にもいない」
「います。少なくともどう扱ってもいい人間ってのはいる」
「お前、クソ野郎だな。日向がそうだって言いたいのか」
違うよ、とまたチクリと胸が痛む。
どう扱ってもいい人間てのは俺だ。
だけど俺は重鷹さんの言葉は否定せずに無言を貫いた。
重鷹さんは無言を肯定と受け取ったようだ。
「分かった。じゃあお前を使ってやる。お前が簡単に言う、どう扱ってもいい人間ってのを二度と言えないようにしてやるよ。登録しておけ、俺が呼び出したらすぐに来い」
重鷹さんはLIMEのIDをメモにささっと書き込んでこちらに押し付けて教室から出て行った。
ふふ、代わりとしてでも愛されたらいいかなと思ったけど、この分だと無理そうだな。
まぁ抱いてもらえるだけマシか。
後ろを慣らしておいた方がいいかな。慣れていると思われているんだから。
俺はスーパーに2時間も無断で遅刻してしまった。
店長にはせめて連絡しろと怒られて、俺はその後二時間分を取り戻すようにマッハで仕事を終わらせた。
寮の部屋に帰って勉強を2時間した後、スマホで後ろの慣らし方について調べた。
ローションが必要かな。あと浣腸液か。
くそぅ。高いな。
だけど背に腹は変えられないか。食費から削ろう。
そしてさっそくネットで注文した。
明日には届くかな? 今日のところは風呂場で石鹸つかってやってみるか。
しばらくは呼び出されないといいけど。
風呂に入って、体を洗った後、石鹸をつけた指でそこを触ってみた。
「うわぁ、こんなところに入る気がしない」
怖気付いてしまってなかなかできそうにも無かったけど、えいっと人差し指を入れてみた。
意外とすんなり入ったけど、気持ちが悪い。異物感がすごい。
これって気持ちよくなるものなんだろうか。
頑張って広げるように動かす。
「うぅ……きもちわるいよぉ」
しばらくそうしていたけど、今日のところは2本目の指は入りそうに無いので、明日リベンジすることにした。
風呂から上がるとスマホに通知が来ていた。
『明後日の夜、俺の部屋に来い』
重鷹さんだ。明後日かぁ、早いな。じゃあなんとしてでも明日中に、なんとかしないといけなくなった。
「ああ、だけどこりゃ何がどうひっくり返っても俺のことなんか好きになってくれないじゃん。というか嫌われてるし」
だけど重鷹さんは日向が好きなのかぁ。
重鷹さんは俺のものじゃ無いから、奪われたってわけじゃないけど、やっぱり日向は俺が大切にしているものを、簡単に手に入れていくんだよなぁ。
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