そして女神は……

菫川ヒイロ

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温泉が好き!

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 ここの温泉はいい。
 まるで沁み込んでくるようにじんわりと身体を温めてくれるからずっと入ってい
 られるし、不思議とのぼせるという事がないので何度も入ってしまっているのだ。
 まあ温泉へ来たのなら出来るだけ入りたい派なので関係はないのかもしれないが、
 それでも飽きるなんて事もなく入れるのはいい温泉の証拠だろう。
 
 
 そもそも命令されてやっては来たが、こんなにも面倒臭すぎる相手だと知ってい
 れば違った選択肢を選べたと思うのだ。自分の役割も果たさないような奴をどう
 して俺が面倒を見ないといけないのだろうか? そもそも干渉するのもよくない
 というに……もう手遅れかもしれない。
 
 
 だってぜんぜん言う事を聞かないのだ。
 あくまでこっちは第三者的な立場でなくてはならないのに、それだと完全に無視
 されてしまうのだから仕方がないではないか。まったくこういう面倒臭い事は常
 にこっちに回されるのだからやってられない。
 
 
 部屋へ帰れば食事が用意されており、
 
 
「はよごはん食べなさい」

 
 料理を堪能したらもう一度温泉へと向かう。
 
 
「さっさとお風呂入り」

 
 夜の静けさのなかでゆっくりと浸かる。
 
 
「いつまで入ってるの、先に寝るからね」


 見上げれば満天の星々。最高だった。
 
 
 戻ってくれば布団が敷かれており
 
 
「お布団干しといたからね」


 ふかふかの布団で眠る。
 
 
「お腹ひやさんようにするんやで」

 
 起きたらまず温泉。
 
 
「ほらもう起きなさい。いつまで寝てるの」
 
 
 そんな贅沢な生活サイクルで暮らしをしていた俺はもう元の生活になんて戻る事
 は出来ないようになっていた。ここでは誰も俺の邪魔をしないし、命令もしない。
 俺のペースで自由に出来るなんて最高意外のなにものでもなかった。たまにお母
 んみたいな奴が来るけど。
 
 
「こんなに贅沢をしていいのだろうか? 」


 なんて考えてしまう程のいい温泉で
 最高の気分でいた俺は何をしにここへ来たのかさえ忘れてしまっていたが、自分
 が今までやっていた事はあまりにもブラックな事だったのだという事だけはよく
 分かったのだ。
 
 
 もうあんな暮らしは懲り懲りだ。
 これからはここで暮らすのだと俺は心に決めた。
 
 
「温泉って最高だな」


 そんな言葉が不意に零れてしまうぐらいに温泉に心を奪われてしまっていた。
 
 
 
 
 






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