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菫川ヒイロ

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されど初恋

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 自分の行動があまりにも卑怯だという事は分かっている。
 でもだからってこの気持ちを嘘にするなんて事はできないし、そもそも後からだ
 という理由で諦めるなんておかしな話ではないか。恋に順番なんてものがある訳
 がないのだから。
 

「ごめんねテーナ。私、ヨギと付き合う事になった」


 こんな私の事をテーナは殴ってくれてもよかった。それぐらいの覚悟で私は彼女
 に言ったつもりだった。当たり前だ、彼女の気持ちを私は分かっていた、分かっ
 ていてそれを無視したような奴を殴る権利はあるはずだし、殴られるべきなのだ。
 その方が私の気持ちもすっきりする。
 
 
「そうなんだ。よかったね」


 でも彼女はそうしなかった。
 明らかに私を祝福しているような顔では無かったし、その言葉は口だけで気持ち
 なんてそこにはなかったけれど、これからの私とテーナの関係がどうなったとし
 ても私にはそれ以上に彼を優先したのだからこれでいい。もう後戻りは出来ない
 し、これは退路を絶った選択だった。
 
 
 そしてその年の夏は私にとって決して忘れる事は出来ないものになった。
 初めて出来た彼氏、二人で行った海もプールも花火も全てが信じられない程楽し
 くて、どれもこれも大切な思い出で日焼けした自分の肌がそれだけ彼と一緒に居
 たという証拠だった。
 
 
 だというのに……それは突然訪れてしまった。
 全ては私の独りよがりだったのだ。
 
 
「もう付き合えない」


 夏がもうすぐ終わろうとしていた頃、ヨギが突然そう口にしたけど私にはその
 意図がまったく分からなかった。
 
 
「どうしたの急に? 」


「別れよう」


 そう言った彼の意思はもう決まっているって事だけは分かった。
 分かったけどそれでも私は言う。
 

「何かダメな所があった? 何でも言ってくれれば私直すよ」


「シーラは何も悪くはない、そのままでいいんだ」


 何が起こっているのかが分からない。
 私はこのままでいいのにどうして別れないといけないのか?
 問題は私ではなくってヨギの方だとでもいうのだろうか?
 それなら余計に分からない、私にとって彼は最高の彼氏だったのだから。
 
 
 だからこんな形で私の初恋が終わってしまうなんて思っていなかったし、
 そして彼が三か月後にテーナに告白するなんてもっと思っていなかったのだ。
 『どうしてなのだろうか? 』なんて考えている内に私の焼けた肌はすっかり元
 に戻っていた。
 







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