24 / 425
婚約破棄が出来るとても素晴らしい世界で祝福を!
1
しおりを挟むいつものカフェテラスでいつも通りの待ち合わせ時間に行った俺は不測の事態に
見舞われていた。何故か俺よりも先に彼女が待っていたのだ。これは何か良くな
い事が起こる予兆だとこの時の俺は気が付くべきだったのに、残念ながらそんな
余裕はなくただただ彼女の元へと急いだのだった。
「いつもこんなに早くに来てるのね、何か頼む? 」
確かに今は待ち合わせの時刻よりも30分は早いはずである。
俺は必ず何があってもいいように早くに来て彼女を待っているのが習慣だったし、
彼女は必ず待ち合わせの時間よりも遅れて来るのが常であった。だから彼女が俺
よりも先にここに居るなんて事はあり得ないはずだった。
「お、おう」
手渡されたメニュー越しに見える彼女はこれといって怒っている訳でもないよう
だが、だからと言って油断してもいい状況ではないという事はわかっているから
手早く注文を済ませた俺はこれから起こるであろう事に対するシミュレーション
を必死に頭の中でしていた。
「今までごめんなさい」
そして彼女が口にした言葉は謝罪だった。
当然俺はその不意打ちに対処が出来る訳もなく言葉につまるから「えっ」とか
「おっ」しか言えずにただの無能になってしまう。予想外の事が起こった時に
人の本質が出てしまうのはどう仕様もない事だった。
「私、きっと今まで貴方に酷い事ばかりして来たと思う。今更謝ったって貴方の
気が済むなんて思ってはいないけど……それでも私は貴方に謝りたかったの」
何がどうしてこうなった?
ちょっと待て、今俺の目の前に居る人物は本当にヒメラルダ本人なのだろうか?
俺の知っているヒメラルダとはまったくもって違う人物に思えるのだが……
もしや影武者とかなのだろうか?
それならばきっと何処かからこの状況を見ているに違いないと俺は辺りを見渡し
てみるけれど、見つける事は叶わない。おそらくはこちらでは見つけられないよ
うな場所に居るに違いないのだ。そして俺がどのような反応を示すのかを見て楽
しんでいるはずだ。ヒメラルダとはそういう奴なのである。
危ない危ない、危うく罠にはめらる所だった。
長年こうしておもちゃのように遊ばれて来た俺だからこそ気が付けたのであって
そこら辺の奴には到底無理な話である。分かってしまえばなんて事はなかった。
いつもと何も変わらないではないか、それならばもう大丈夫だ。
「ヒメラルダ。君との婚約を破棄するよ」
俺は堂々と宣言した。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる