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婚約破棄が出来るとても素晴らしい世界で祝福を!
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しおりを挟むジリリリリ♪
ブザーが鳴り、ベットに寝転んで微睡んでいた俺はのそのそと玄関まで歩く。
こんな時間に一体誰が来たというのだろうか? 面倒臭いとは思いつつもそれで
も性格的に確認せずにはいられない俺はドアののぞき穴から確認をしたらそこに
は神妙な面持ちのメイドが一人立っていた。
フリージア
ヒメラルダの専属メイドである彼女もまた俺と同じように彼女の被害者だろう。
あんな滅茶苦茶な女の世話をしないといけないのはいくらそれが仕事であるとは
いえとても大変な事であろう事は想像出来るから俺は仕方なく彼女を部屋へ入れ
たのだ。
「何か飲みますか? 」
「いえ、結構です。それよりも私の話を聞いてくれませんか? 」
「昼間の事でしたら俺の気持ちは変わりませんよ」
先に釘をさしておいた。
分かっている。どうせヒメラルダに命令されて来たのだろうから、何かしらの
理由をつけてよりを戻すように言いに来たのだろうけど俺にその気はまったく
なかったし、寧ろあの場ですんなりと受け入れられた事に肩透かしを食らったよ
うな感覚ですらあったがもう遅い。
「ええ、それは分かっております。寧ろどうして今までそうしなかったのかが私に
は不思議で仕方ありませんでした。確かに玉の輿だったのかもしれませんが、
だとしてもあれではあまりにも割に合わないではありませんか。人生を諦めてい
るのだとばかり思っておりましたよ私は」
何か思っていたのと違う返答が帰ってきた。
「嗚呼、すいません。ついうっかり余計な事を言ってしまいました。そんな事より
も今日のお嬢様を見てどうお思いになられましたか? 」
そして次は変な質問である。
「どうって、いつもと違うやり方だとは思ったけど。そもそもあれは別人……」
ああ、そうか。別人だから無効だと言うつもりなのだ。
なんとういうやり口、これがお前らのやり方か! なんて言っている暇はない。
それよりもこの場をどうにか誤魔化さすべく必死に考える俺にフリージアは言う
のだ。
「そうなんですよ! まったくもって別人のようになってしまわれたのです。
私も最初は何かまた新しい事を始めたのかとばかり思っていましたがどうやら
本心から謝られているようなのです。私、本当に嬉しくて嬉しくて……これまで
の事がやっと実を結んだような感覚なんです。本当に家柄と容姿に恵まれただけ
で他の取り得なんてまったくもってなかったのに、何があったらこんな風に変わ
れるのか、何かご存じありませんか? 」
変わった? ヒメラルダが?
そんな事がある訳がないと俺は確信を持って言える程、今までの彼女の所業は
酷かったのだ。
「何も知らないよ俺は。もう帰ってくれ! 俺は眠いんだ」
俺はフリージアを追い出した。
正直、もうヒメラルダの事など考えたくなんてなかったし、これ以上何か余計な
事が起こるのも嫌だったのだ。もう俺は自由になったのだ。
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