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終わらない物語
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しおりを挟む「その本好きなの? 」
そう聞かれて答えるのに戸惑う。
「そんなに好きじゃないよ」
結果としてそれが正しい判断だったと今にして思うがその時は結構な博打を打っ
たと思っていた。だってそれが全ての始まりだったのだから。もしその時の返事
が間違っていれば俺はきっと今も彼女とはただの他人どうしだっただろう。
「そうなんだ。実は私もそんなに好きじゃないの」
そう言って彼女は俺に悪戯っぽい顔をして同じ本を見せてくれた。
たったそれだけの出来事でも俺の中ではとてつもない出来事だったのだ。
同じ読者という事がどれ程の事かなんてきっと理解出来る人の方が少ないだろう
事を知っているからそんな奇跡みたいな出来事に驚く。
本当に大切なモノは胸の奥に閉まっておく
それが当たり前の事だったはずなのにいつのまにか口に出すのがいい事だという
事になってしまった現在では理解が出来ないであろうこの会話が出来るという事
がとても嬉しかったのだ。それは俺にとって初めて学校という場所へ行く事が楽
しみになった理由だった。
でもだからといって日常が突然変わるなんて事はあり得ない。
相変わらず俺はあまりモノであったし、彼女とはあれから一言も話してはいない。
ただ後ろの席に座っているだけの存在でしかない俺には彼女のように振る舞う事
なんて出来ないのだ。
全ては初日に決まってしまったし、彼女の周りには常に取り巻きがいるし、
そんな中へ無理やり入って行ってまで話をするなんて事に必要性は感じない。
ただ同じ感覚を持っているという事実だけで満足は出来ていたのだ。だから
「感想を聞かせてよ」
なんてアドレスを渡された時が一番驚いた。
一体何が狙いなのかが分からなかったからだ。俺の感想なんて聞いてもどうしよ
もないだろうとは思いつつも当り障りのない感想を送ってみたら「そういうのは
いらない」とはっきり言われてしまった。
まあ確かに俺が間違っていた。
だからちゃんと感想を送ったら返信が馬鹿みたい長いメールでドン引きした。
一つ一つに返事を書いていればそうなってしまうのは仕方がない事ではあるが
だからってそこまでしなくてもいい訳でそんな事をしてしまう人だという事を
知って俺の中での彼女の印象が変わって行く。
学校での印象とはまったく違う彼女。
どちらが本質なのだろうか? 結局何も分からないまま一学期が終わってしまい
二学期になれば少しは分かるのだろうかなんていう俺の考えを彼女は容赦なく蹴
り飛ばした。
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