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菫川ヒイロ

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 コンテストとは優劣をつける為にあるものだ。
 だから勝者はそれを誇るし、その肩書は武器になる。
 私だって店で一番だという事で得られているものは沢山あるのだから誰もが
 欲する気持ちはよく分かる。
 
 
 ただ今日を生きるか死ぬかという世界で育った私には夢なんてものを描く余裕
 なんて無かったのも事実だし、そんな話をされた所で理解なんてできる頭も持ち
 合わせていなかったから理解させるのは大変だっただろう。
 ただ彼女にはそれが出来るぐらい頭がよかったから私は彼女に同意した。
 
 
 この街では当然のように自分を売る。
 それは別に特別な事ではなくて誰もが当たり前のようにそうするから誰もその事
 について疑問に思ったりなんてしていなかったから彼女は変わり者だったけど、
 みんなとは違う事が出来る特別な存在でもあったのだ。
 
 
 私が初めて仕事に行った日、帰って来た私を前に泣きじゃくった彼女の事は今で
 も覚えているし、そんなつもりも無かった私まで一緒に泣いてしまったのは忘れ
 る事なんてできない思い出だった。人の為にこんなに泣ける彼女なら信じてもい
 いと思ったのだ。本気で彼女の夢に賭けてもいいと思えたのだ。
 
 
 コンテストの勝者は当然、貴族との交流がある。
 平民ですらそうそうない事なのにそれが可能になるのだからコンテストで勝つと
 いう意味はとてつもなく大きいのだ。だから私は彼女が優勝する所を見たかった。
 どんな事をしてでもそれが彼女との最後になる事が分かっていたから。
 
 
 彼女が負けるなんて事が私には想像出来なかったし、実際に彼女が優勝する所を
 みれたというだけで私には十分だった。もう二度と会う事はないけどそれでも私
 はこれからも彼女の事は忘れはしない。
 
 
 『さようならミラベル』
 
 
 決して賢いとは言えない私だって全てを納得していた訳ではないし、言いたい事
 はいっぱいあったけどそれでもこれからの彼女の事を思うとそんな事はどうでも
 よくなったのだ。
 
 
 思い出すだけでも身の毛がよだつ。
 私は一度だけ貴族を見た事がある。
 彼奴らは人間ではない。というか自分達以外を人間だと認識していないのだ。
 だからあんな目が出来るのだ。
 
 
 そんな彼奴らとこれから渡り合おうとしている彼女の方が私達なんかよりもよっ
 ぽど……
 
 
 頑張れミラベル
 
 
 『絶対この世界を変えてみせるから』
 
 
 そう言ったあなたの夢は今はもう私達の夢でもあるのだから。
 








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