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ボクとキミ
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しおりを挟む空は嘘みたいに晴れていて、記録的な暑さだなんだと気象予報士が言っていた日。
「ちょっと待ってよマキチャ」
「もう、遅いよフータン」
そう言いながら目の前を男と女が通り過ぎた。
分かってはいる。確かにボクもそう思うよ。でもそれは思っていても言えないし、
寧ろ言ってはいけない気がしたのだボクは。
だって思い返してみて欲しい。
彼女からおかしなあだ名をつけられたなんて経験は誰にだってあるはずだし、
それに付き合っている時はそれがおかしいなんて思ってはいなかったはずだ。
寧ろ二人だけの特別な呼び方に心躍らせていなかっただろうか?
ボクはキミに呼ばれる度、その特別な感じがすごく好きだった。
だからそんな二人を見てもボクはただ昔の事を思い出すだけなのだ。
そうあの日もこんな感じで暑い日だった。
*****
結局の所、どちらの方が好きかなんて事に何の意味もないという事が分かった。
そんな事で争うなんて馬鹿げているし、こんな炎天下の中でする事ではない。
だからとりあえずお互いクールダウンしようと喫茶店へ入ったのは英断だった。
「おお、涼しい」
中は空調が効いてとても過ごしやすい温度設定である。
ヒートアップしていたボクたちにとっては最高の場所である事は間違いがなかっ
たのだ。
「二名様ですか? では奥の席にどうぞ」
案内してもらった奥のテーブル席に向かい合って座ったボクたちはメニューを
開いて注文をした。
「結構、雰囲気があるね」
キミにそう言われてボクは店の中を眺める。
中は落ち着いた感じの薄暗さで、オレンジ色の照明。
木目で統一されたその空間には重苦しさなんてものはないが、時間が止まって
いるような感覚になる。
微かに流れるBGMはいつかのクラシックのようだが、当然のように題名なんて
知りはしないけど、それでもなんだかこの店は当りのような気がした。
「お待たせしました」
そして注文していたものがテーブルに置かれる。
「おいしそうだね」
キミのその嬉しそうな顔を見ているだけでボクはとても幸せな気持ちになれるの
はどうしてなのだろうか?
「うん、すごくおいしそうだ」
そしてボクの前にはクリームソーダが置かれ、キミの前にはミックスジュースと
プリンアラモードとおすすめされたアップルパイ、チョコレートパフェにチーズ
ケーキ、ホットケーキにショートケーキ、コーヒーゼリーが並んだ。
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