59 / 425
同居人
3
しおりを挟む「ねえ、どうしてまだ居るの? 」
「どういう事? 」
二人で食卓を囲みながら私聞くが彼にとっても難しい質問だったようだ。
「いや、おかしくない? ここ私の家なんだけど」
そう言いながらも私の箸は止まらなかった。
このカレイの煮つけがおいしい所為である。
「知ってる」
知っているけど理解はしていないという事なのだろう。
でも流石に他人を家に置いておくなんて事は出来ないのだ。
「うん、そうね。分かった。これを食べ終わったら出て行って」
これだけの料理を作ってくれたのだから私も多少の譲歩はすべきだろう。
だからこれが最大限の譲歩である。きっと昨日夜は何かがあったのだろうが、
それはもう思い出せないし、思い出したくもないのだ私は。余計なモノまで思い
出してしまいそうだから。
「それは困る。毎日料理も作るし、掃除も洗濯するからここに置いてください」
彼は私にそんな事を懇願して来た。
確かに料理はおいしい、朝食も美味しかった。家事を全部してくれるのであれば
それはそれで有難いがこれから一緒にここで暮らすとなるとどうだろうか?
彼をよーく見てみる。
特に容姿に優れた所はないけれど、劣っている所もある訳ではない。
食事をする所作も別に変ではないけれど、
「ねえ、お願いする時は食べるの止めよっか」
こうして私達の共同生活が始まった。
*****
私も彼もお互いが努力をして来た結果なのだろう、上手く行っていたのだ。
このおかしな共同生活は順調だった。だから少しばかり私は油断していたのだ。
この関係がいつまでも続くようなそんな事を勝手に想像してしまっていた。
でもそれは仕方がなかった。あれもこれもどれも楽しかったから。
「今日までありがとう、明日出て行くよ」
その言葉に私の心臓は鷲掴みされた。
何が? 何で? どうして? 私、何かしたっけ?
そんな事を考えている自分が居た。
こんな関係はいつか終わるに決まっていたのに……
でも彼を留めるとして私には何がある?
だから何も言えない。
ただ言葉を飲み込む、料理と一緒に飲み込む。
これが最後の晩餐だというのに、今日の料理は今まで一番おいしいんだもの。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる