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同居人

２

「おはよう近藤さん。今日はいつもよりも気合が入ってるんじゃない？　何かあっ
　たのかな？　」
　
　
　この女、分かっているくせにそんな事を一々と。
　
　
「そうですか？　私はいつもとかわりませんよ及川さん。そういう及川さんはめず
　らしいですね、わざわざこんな所にまで来て。何かあったんですか？　」
　
　
「ええ、少しね。いいえ、とっても気になる事があったのよ。負け犬ってどんな
　顔をしているのかを見てみたくなったのよ。ねえどんな顔をしているかもっと
　よく私にみせてくれない近藤さん？　」
　
　
　普通、そこまでするか？　なんて性格が悪い女なんだ！
　というかどうしてこんな女を選んだのか私にはさっぱり理解出来ないのですが、
　俊彦さ～ん！！！！！！！！
　引っ叩いてもいいですか～？
　
　
　
　
　＊＊＊＊＊
　
　
　
　
「大丈夫ですか先輩？　」


「別に、もう全部忘れたから何も問題は無いわ」


「そんなに強がらなくてもいいですよ先輩。私、話聞きますから」


　私が思っていたよりもこいつはいい後輩なのかもしれない。
　まったく仕事が出来ないので私がいつもしりぬぐいをしてやっていたが、
　少しは私に恩返しをしてくれ後輩よ。そう思ってしまった私が馬鹿だった。
　
　
「あ、やっぱりなしでいいですか？　トモ君からお誘いがあったんで」


「ええ、いいわよ別に。私は何も問題ないんだから」


「そうですか？　じゃあまた今度って事で。ああそう言えば先輩、今日の先輩及川
　さんみたいだってみんなが言ってるんでやめた方がいいですよそれ。先輩はそう
　いうの似合わないですから」
　
　
　そう言い残して立ち去る後輩、お前は一体何がしたかったんだ？
　それにもうこんな化粧はしないよ、そんなにも不評だとか知りたくも無かったよ
　私は。そしてもうあんたの面倒も見ない事に決めたから、後は好きにやってくれ
　ていいよ。もう私は何も知らない。
　
　
「おかえり、ご飯で来てるよ？　それとも先にお風呂にする？　」
　
　
　そして家に帰ればまだ私の知らない男が居た。