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神に祈りを
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しおりを挟む「それで、どうするって? 」
「店の裏から入るのはダメらしい。だから表から入ってセンサーを切ってから
裏から出る」
「へえ、それだと大丈夫なんだ」
「ああ、裏から入ると全部ロックされてセンサーが切れないらしい。だから車は
裏に回しておけよいいなジル? 」
「ああ、分かってるよ分かってる。間違えないから心配するな。俺を誰だと思って
いるんだ? 」
「そうだな、お前は最高のレーサーだ」
俺達が生まれたのは肥溜めの様な町だった。
そこには世間から見放された者しか住んでおらず、最終処分場としての役割を
果たしていた。そんな場所で生まれ育って来た者の生業なんてものは大方決まっ
ているのだ。
車の中はいつも静かである。
誰も何も話したりはしない、ただジルだけが鼻歌を歌うのだ。
何処の誰の歌なのかも分からないその曲は大体三パターンあって、
スローなテンポのものと、ずっと同じリズムを奏でるものと、
ビャー ミャー ミャー ビョーン
今日の様に何処から音が出ているのかが分からないものがあった。
そしてその鼻歌はその日のジルの良し悪しを測るのにもっとも有効で、
だから今日はみんな集中していた。
着いた場所はこぢんまりとした店である。
でも中には貴金属が沢山あるのだから、とても素敵な店だった。
予定通り表から店に入店したら、当然のようにベルが鳴り響き中に閉じ込められ
る事となる。でもそれは全て分かっていた事で何も気にする事もなくカバンに
貴金属を詰め込んだ。
「おい、うるさいから早く止めろよ」
「分かってるって、ちょっと待てよ。え~とここをこうしてってと」
漸く鳴りやんだベル。
時間は迫っていた。
「よし、センサーは切ったんだな? 」
「ああ、大丈夫だ」
「ずらかろう」
ガチャリと鍵が外れ、ドアノブを捻れば外。
でもそこには待っているはずの車が無かった。
何かある事は分かっていたがこんな時にどうして、最悪だった。
「あの馬鹿、どこに居るんだ」
サイレンが聞こえる。
急がないといけない時に余計な事で時間を取られる事が何よりも腹が立つ。
嗚呼、神様どうすればいいですか?
「表だ、まだあそこに止まったままだ」
「くっそ、急げ! 走るぞ」
ポリスが来るよりも先に車に戻り、眠っていたジルを叩き起こして車を出させた
のはいいがそっちは逃げる方向と逆だった。このままではポリスの車とご対面
なのにジルはスピードを上げた。
「バカめ、俺を誰だと思っている」
向かって来る車と車の間をすり抜けてジルはさらにアクセルを踏んだ。
正にレーサー顔負けの運転だった。
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