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神に祈りを
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しおりを挟む「よく来たな。悪いが前置きはなしだ。今回はとても簡単な仕事だが料金は
いつもの倍を出そう、急ぎの仕事だ。この荷物を運んで欲しい」
そう言われてもそこに荷物などなく、一人の少女が居た。
歳は俺達とそんなに違わないような感じではあるが、この少女が荷物という事
なのだそうだ。それは誰が何と言おうとも荷物でしかない。この町ではよくある
事ではあったし俺達だって何度も見て来た。ただそれがよく居る少女ならである。
この少女は何かが違うと感じる。
何というか雰囲気があった。気品というべきものが感じられた。
俺達のような町の人間にはまったくないそれは、この少女が荷物として扱われる
事をしっかりと理解させた。
「分かりました」
俺達にはそもそも仕事を選ぶなんて事が出来るはずもない。
内容なんて拘っていらる程の余裕なんてある訳もなく、ただ言われた通りに
この荷物を港へと運ぶのが今回の任された仕事だった。
「分かっていると思うが、丁寧に運べよ? 」
「はい」
そして俺達は車に荷物を乗せて港へと急ぐ。
相変わらず車の中は静かではあった。ジルのスローなテンポの鼻歌が聞こえて
いる中で少女が口を開いた。
「ねえ貴方達、私を逃がしてくれない? 」
でもその言葉に誰も反応はしなかった。
それは正しい判断、これは荷物なのであって人ではないのだから。
無視するのが正解である。
「お金ならあるわ。パパに頼めば今回の料金の倍は貰えるわよ? 」
金額が倍になったとしても俺達がその誘いに乗る事なんてある訳がない。
金額が問題ではないのだ、そんな事をしたら生きていけない。それはただの
死を意味する。逆らっても生きていられるなんて事がある訳がない、高々倍の
料金では心は動かないのだ。
確かに彼女も命懸けなのだろう。
でもこっちだって同じだし、毎日が命懸けの生活をしている身からすれば
どっちをとるかなんて簡単に決められる。生憎よく分からない者を信用する程
俺達も馬鹿ではなかった。
「何か来た」
いつの間にか鼻歌は終わっており、ジルが言ったので後ろを確認した。
明らかに速度がおかしいのが一台突っ込んできている。こんな夜更けにそんな
スピードを出す必要ある奴らなんて碌な奴らではないのだ。
「どうする? 」
確かに丁寧に運べとは言われたが、要は荷物を汚さなければいいという事なの
だから問題ない。危険なものは早めに排除するべきだ。それが結果として荷物を
汚さないで済む一番いい方法だろう。
「撃っていいがあまり派手にするなよ」
「あいよ」
そして銃撃が始まる。
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