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神に祈りを
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しおりを挟む親なんてものを知らない。
それはこの町では決して特別な事では無かったから別に問題はなかったが、ただ
それに似た存在は居たのだ。シスター。それは俺を育ててくれた人だった。
そこには確かに愛情があったのだろう。だから俺はこうして今日も生きている。
生きていられるのはまだ生きていたいと思えるからだ。
この町では命の価値が軽すぎるのだ。
自分で生きる意志がないものは簡単に死んでしまう、まして生かされているよう
な奴らは簡単に死んでしまうのだ。だからこそここでは神様なんかに価値を見出
すものなど居ない。みんな分かっているのだ、ここで育てば肌で感じる事になる
から。
だから神様なんてものを信じてなんていない。
でも使えるものは使う。
それはここでは当然の事である。
誰だって強くはないから、神様だって都合のいい時に使うのだ。
不思議なもので祈りを捧げていれば救われたような気になるものなのだ、例え
それが背信者だとしても。
路地を歩き進んで行けば急に現れるその赤いドア。
俺はドアいつものようにノックしてしばらく待った。
そしてギーギーと音を立てながらドアが開いた。
「なんだ? 」
「いつものをくれ」
出て来たスキンヘッドの男に金を渡すと男はすぐにドアを閉めた。
しばらくするとまたギーギーと音を立てて男が出てくると手には小さな袋。
それを受け取ると俺は家へと帰った。
「帰ったぞ」
家へ帰ると中にはジルがベットの上で眠っていた。
いつも仕事が終わればジルは電池が切れたように眠る、だから今は何をしたって
起きる事はないのだ。どんなに大きな音を立てたって起きる事はない。
俺は引き出しを開けて中にある袋の中を見たら、思っていた通りに中はもう空っ
ぽになっていた。だから買って来たものと入れ替えたのだ。これがあるとないと
じゃ全然違うのだ。少なくとも今回のようなミスはなくなるだろうが、でも確実
に昔よりも量が増えているのは気になっている。
あとどれくらいジルと一緒に仕事が出来るだろうか?
ジルとは昔からの付き合いだし、ずっと一緒に居るのだとばかり思っていたが、
もうそんな事が不可能なのだという事ぐらいは理解出来るぐらいに俺達は歳を
とったのだ。
もうあの頃のジルとは大分変ってしまったけど、それでも最後まで一緒に居たい
と思えるぐらいには俺達は同じ時間を共有してきた。失敗も成功もいっぱい経験
してきたから良い思い出で終わらせたいと願っているのだ。
どうかお願いします神様。
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