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神に祈りを
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しおりを挟む「おい、何か少なくないか? 」
「いろいろ難癖をつけられてな、どうにかしてそれだけもぎ取って来たんだ。
だから今回はこれで我慢してくれ、悪いな」
「またかよ。アイツ絶対に最初からそのつもりだったんだぜ。俺達の事を見下して
いるんだ、次は絶対に俺達も一緒に行くよ。ソイダ一人じゃあ舐められる」
「嗚呼、それがいいかもな。それで、良い車はあったのか? 」
俺は話題を変えた。これ以上アイツの話をしたってずっと悪口を言い続けるだけ
で、碌な事にならない事は目に見えていた。面倒事はごめんだ。
「ああ、いいのがあったよ。ちょっと手間がかかったけど悪くはない。なあジル」
「まあな、俺はどんな車だって最高にしてみせるからよ」
「流石だなジル。お前は最高のレーサーだよ」
良い車が見つかって何よりだった。仕事に車があるとないとでは全然違うのだ。
早く見つかってよかった。
「じゃあな、また連絡するよ」
「ああ、頼んだぜ」
そしてみんなとは逆の方向、山の方へと俺は足を向けた。
いつもの様に道端には人が転がっているがそれは無視をして進むのはこれが日常
だからだ。どいつもこいつも目が真っ黒で、何が見えているのか分かったもので
はない。そんな道を歩いていけばそこにはこんな場所だからこそあるのだろか?
教会が建っていた。
中に入ればそこには誰も居やしない。
当然だ、こんな町で神様なんて信じている奴なんていやしないのだから。
現実から目を背けて生きていけるような場所じゃあないのだここは。
じゃあ俺がここへ何をしに来たのかというと、当然お祈りをしに来たのだ。
それ以外にこんな場所へ来る理由なんてないだろ?
手を合わせて神様に祈りを捧げ、そして聞くのだ。
「何だい、また祈っているのかいこの背信者は」
「なんだ婆か」
「あ? 私はまだそんな歳じゃないよ。だいたいシスターと呼べといつも言ってい
るだろ。もう物忘れが始まってしまったのかい? それとも神様からの罰なのか
ね、ソイダ? 」
「忘れた訳じゃない、わざと言っているんだ。そもそも婆に婆と言って何が悪い?」
「まったく口が減らないね、誰に似たんだか。今日は泊まって行くのかい? 」
「いや、まだやる事があるんだ。ちゃんと飯を食えよ」
俺はそう言うと金を置いてまた来た道を戻る。
まったく困ったものだ、また痩せていた。また子供にばかり飯を食わしているの
だろう。もう少し自分の事を考えるべきだといつも思うのは別に婆を心配してい
るからではない、婆が居なくなったら子供が飯を食えなくなってしまうからだ。
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