恋愛倉庫

まだ恋をした事がない

４

　きっとタイミングが大事なのだろう。
　だからマキタさんもああして走って行ってくれたのだ。マキタさんのその行動に
　感銘を受けながら今度こそはと期待して待つ。どうかまだ誰も決まっていないで
　欲しい。そんな事を願いながら待つ時間はとてもとても長く感じた。
　
　
「すいません、少し時間がかかってしまって」


　そう言って戻ってきたマキタさんの顔はすごく申し訳なさそうだったので、
　まさかまたなのか？　また先に話が決まってしまっていたなんて事が？
　そんな不安が脳裏をよぎった。
　
　
「ちょっと向こうといろいろ話しておりまて、時間がかかってしまいました。
　その～、何と言えばいいのかですね。非常に言いにくく、お気を悪くするかも
　しれませんがご了承ください。こう言う事は知っておいた方がソヨダさんの為
　にもいいと思うのですよ、ええ。やはりあちらにもあちらの事情というものが
　あってですね、条件が合わないという事でして……」
　
　
　そうは言うもののやはり言いずらそうなマキタさん。
　
　
「条件ですか、それはどういう？　」


「そのまあ、ソヨダさんの稼ぎの方がですね、あちらの求めているものに到達して
　いないという事でして……」
　
　
　それを言われてしまえばどうする事も出来ない。
　現状で自分でどうにか出来るような事でもないのだし、こればかりは諦める
　しかないのだろう。
　
　
「私の方からも一度だけでもあってみてはどうか？　とグイグイ行ってみたのです
　が、どうしてもその条件は譲れないという事でして。ですからこちらの誠意も
　感じて欲しくて別に巨乳が目当てではないという事もお伝えしたのですけどダメ
　でした。NG判定されてしまいました」
　
　
「NG？　」


　何だそれは、どういう事なのかまったく分からない。一体マキタさんが行って
　帰って来る間に何が起こったというのか？
　
　
「二度とごめんだという事です。今後一切の連絡を断られました、絶縁ですね」


　とんでも無い事が起こっていた。
　まだ会った事もない人に絶縁された。こんな無茶苦茶な話があるだろうか？
　こっちだってそんなお金でしか人を判断出来ないような人は御断りである。
　絶縁だ、こっちだって絶縁だ！
　
　
「巨乳の人って人気がありますからね、こういう事はありがちなのですよ」


　マキタさんの補足説明。
　この日、私は一気に巨乳が嫌いになった。
　だから今日は巨乳記念日となったのだ。