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菫川ヒイロ

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春だから

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 何となくこうなる事は分かっていた。
 彼女がミラルダ様のグループから抜けたと聞いた時から予想はしていたのだ。
 それはそうだ、僕達を引き合わせたのはミラルダ様なのだから。
 
 
 でも僕には彼女がどうしてそんな行動に出たのかが分からなかった。
 だってこのままでいる事に何の不満があるというのだろうか?
 別に嫌がらせをされていた訳でもないだろうし、そんなにも自己主張がある方
 では無かったはずだ。
 
 
 そんな彼女に一体何が起こったのか、僕は知りたいと純粋に思ったのだ。
 
 
 だからこれは僕が悪いのだろう。
 でも彼女の答えがあまりにも斜め上をいってしまってもう手が付けられない。
 
 
「私、貴方の事全然タイプじゃなかったのよね。そういう可愛らしい系の顔?
 それはよく言い過ぎか。その幼稚な顔とか全然好きじゃないの。もっと男らしい
 がっつりした方が好きなのよ私。そもそも化粧とかしてるが気持ち悪すぎて反吐
 が出そう。止めた方がいいよそういうの流行ってるからってすぐに便乗するのと
 かはダサいって。え? ああ、好きでやってたんだ。そっか、じゃあ仕方ないね
 それならまあ、がんばって。じゃあその声とかもそうなの? そのメス声。
 わざとやってるよね? 地声がそんな人っているの? 本当に? ゾワゾワして
 無理なんだけど、ほら普通の声出せるじゃん。そっちの方がいいよ絶対。喉痛め
 るから止めときな、ね」
 
 
 何故か僕の全てを否定された。
 もうどうすればいいのか分からなくなってきた。
 
 
「ああ、後ね」


「もういい。もう止めてくれ。これ以上は……致死量だ」


 情けないとは思う。
 でも本当に限界だったんだ。
 これ以上何かを言われたらもう生きていけない。
 
 
「でも知っておいた方がいいかもよ? 」


 そんな事があるはずがない。
 僕はゆっくりと首を振った。
 
 
「許して下さい」


 僕のその言葉に流石に彼女も諦めてくれた。
 
 
「分かったわ。じゃあこれでさようならね」


「嗚呼。これから大変だろうが頑張ってくれ」


 そこには当然嫌味も籠っていたけど、実際にこれからの彼女の事を思っての言葉
 だった。なのに彼女からは憂いは感じられなかった。
 
 
「ありがとう、貴方も頑張ってね」


 寧ろさっぱりとしたとてもいい顔をしており、そんな彼女を見たのは初めてで
 僕は見とれてしまった。
 
 
 





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