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最愛の人
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しおりを挟む彼女が結婚するという話を聞いた。
当然、相手は私ではない。
まあ、そうなるのではないかとはなんとなく予想はしていたが
まさかそれが本当になるとは……
私は最近思うのだ。
あまりにも彼女の負担が大き過ぎないかと。
確かに愛の無い結婚というものも世の中にはあるのだろう。
何かしらの理由があってそういう事が起こりうるとは理解出来るし、そこに
口出しする程私も馬鹿ではない。
ただ今回のは私がどうにか出来るのだ。
それならばどうにかしないといけないのは確かである。
彼女の愛に答える為にも私は覚悟を決めたのは結婚式前日の夜だった。
だから碌な準備なんて出来なかったけど、形などもはやどうでもいい。
今、重要な事はそこではないのだから。
私はドアを開けた。
目の前には彼女があの男と二人で立っており、どうやらまだ誓いは立てて
いないようだ。
良かったと思いながら私は足を進める、二人の元へ。
そしてそっと彼女の手をとった。
懐かしいこの感触、今までの事が一気に思い浮かんでいく。
「さあ、撃って」
私は持ってきた拳銃を彼女の握らす。
やっと彼女に触れられたという感動はあるけれど、そんな事よりも早くしないと
いけない事があるのだ。こんな男と結婚するのなら私を殺すべきだ。
そして理想を現実にしよう。
「ミドルド? 」
彼女の声に私は頷く。
さあ、今すぐ旅立とう永遠へと。
君とならどこまでだって行ける。
祝福の音は響き渡る。
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