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天秤は傾く
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しおりを挟む俺は信じられなかった。
否、今でも信じていないのだ『フラれた』という事実に。
どうしてこの俺がフラれるなんて事があるのか?
そんな事があり得るなんて誰が想像出来るだろうか?
きっと神様だって無理だっただろう。
それぐらい今回の事は驚くべき事だった。
あり得ない。馬鹿じゃないの? どんな感覚してるのよ! 最低ね!
彼女に対する誹謗中傷。
かわいそう。どうして彼が、私が慰めてあげたい。私なら絶対に断らない。
俺に対す憐れみ。
当然の結果だと思う。
これは当たり前だと俺は思うのだ。
彼女が今どのような状況になっていたって俺は胸を張って言い切れる。
「当然だ! 」と
「俺を振ったのだから当然の酬いだ。そんな事も分からないなんて残念な頭
だな! 」と
「お前の苦しみなんて俺の苦しみ比べたら大した事はない! ははは!
これからもっと、もっと苦しめばいいさ。いまさら後悔したって遅いぞ」と
だから俺の今の楽しみは彼女の苦しむ顔を見る事だ。
苦渋に歪んだ表情を見れば俺の気持ちも少しは晴れるだろう。
俺が直々に手を下さなくともみんながやってくれる。
なにせみんなは俺の味方だからだ。
*****
「失礼しますお嬢様」
私はお嬢様が使うものは先に触れて大丈夫かを確認します。
お付きとしては当然の行動です、お嬢様に何かがあるなんて事はあってはいけな
いのですから。ただ私に出来る事にも限度があって、誹謗中傷をしてくるような
相手に対してはどうしようもありません。
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も? 」
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確かにこれは気持ちが悪い。
こんな人の事を誰もが慕っていたなんて考えたくもありません。
「ところでお嬢様、器とは何の事でしょうか? 」
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